挑戦機会を楽しみ、その先の発展を掴み取る
2022.11.13
クレド6.大変なことこそ率先して楽しむ。守るな、攻めろ!
サービス深化・成長に近道なし。大変なことこそ深化・成長のチャンス。悩みながらも楽しむことで人生が豊かになります。
はじめに
今回、記事で扱うクレド「大変なことこそ率先して楽しむ。守るな、攻めろ!」について、私は以下のように解釈しています。
現状に満足せず、更なる発展・成長を目指して負荷のかかる挑戦をすること。そして、その挑戦自体を楽しむこと。
例えば、以下のような例が考えられます。
- 現在ある商品(食品)を販売し、問題なく売上も出ている。しかし、自分の中ではまだ納得する味になっていない。そのため、改良を重ねるために食材の研究を行い続けている。
- 現在部活動で一定の成果を上げているが、更に順位を上げるため、基礎体力を強化するトレーニングを追加し、更に練習に励んでいる。
自身が提供するサービスの質を高めること、自分自身を成長させること、そして、自身が所属する組織の発展を実現するためには、必ず挑戦が発生し、それには常に負荷(=大変なこと)が伴います。
しかし、その一歩を踏み出し、大変なことと向き合うことができれば、サービス、そして自分自身は大きく進歩します。
今、まさに大きなプロジェクトや挑戦を抱え、一歩踏み出すことに不安を感じている人。
私はこの記事を通して、そのような方々が、一歩を踏み出す勇気を持ち、確実に大変な事が待ち受けていたとしてもそれを楽しみ、自分のものにすることを応援したいと思います。
挑戦により自身とサービスを向上させる
私は、大学一年時から四年間、学習メンターというアルバイトを行っています。
このアルバイトの中で、私は現状に満足せず挑戦を行い、それに伴う大変なことを楽しみ、成果を生み出すことができました。
学習メンターとは、生徒の学習をさまざまな面からサポートしていく仕事です。 おもな仕事内容は自習指導や面談、集団講義と異なり、学校のプログラムのもと生徒の自学力を育てることが最終目的となります。 そのため勉強を教えるというよりも、生徒の気持ちに寄り添いながらサポートしていくことが求められます。
生徒対応の方法はかなりメンターに権限があり、私が配属された当初は主に以下のような指導を中心に行われていました。
- 自習をしている生徒から教科質問を受け付け、対応を行う。
- 生徒と個人面談を行い、学生生活に対するヒアリングや進路アドバイスを行う。
- クラス全体に向けた進路イベントの実施
- 特に強化すべき科目・分野について講義形式で指導を行う。
私はこのアルバイトを大学1年時から現在も続けており(現在大学四年)、同じ生徒(担当クラスに所属する8人)を三年間受け持ちました。そして、その中で段階的に挑戦を重ねてきました。その挑戦について、時系列で紹介します。
大学一年時:自分自身を成長させるための挑戦
アルバイトを始めた当初、私は自分自身が行なった受験勉強の経験から得たことをもとに生徒の教科に関する質問への回答や、大学を探すためのアドバイスを行なっていました。
私は一般受験で利用した受験方式の多様さや、受験した科目数が多く、さらに当時弟の受験も見ていたため、ある程度受験に関する知識は豊富に持っていました。そのため、生徒さんからの質問に問題なく対応することができており、十分な価値を提供し続けることができると考えていました。
しかし、担当していた生徒は全員私と異なるバックグラウンドや思考をもっています。更に、まだ高校一年生であることから、十分な知識や視点を持っていません。そのため、テスト対策や苦手箇所に関することなど、目の前の課題を解決するための質問は生まれますが、今後の高校生活に関することや文理・学問選択に関することなどは、質問すべき内容自体がわからないといった現状がありました。
そこで、このままの状態では本当の意味で担当生徒の可能性を広げ、自分が関わったことにより生まれる価値を与えることができないと感じました。
また、複数の生徒からは、「学習メンターは高校時代から優秀であり、自分とは違う考え方を持っている」と思われていました。そのような生徒が自らメンターに質問を投げかける機会は少なく、価値提供をするための十分な情報を得ることが難しい場面も多くありました。
現状:生徒と密な関係構築をすることができていない
そこで、より生徒に自己開示をしつつ寄り添い、生徒に身近な存在であると感じてもらうため、そして自身の提供できる価値の幅を広げるため、新たに学ぶことを決意しました。
挑戦:理系の進路選択・生徒への寄り添い方について学び、実践する
学び①:理系の進路選択
私は文系で大学受験を行ったため、理系の学生がどのように進路を選択しているか把握をしていませんでした。しかし、担当生徒の中には理系分野を専攻したいと考えている生徒も複数名いました。そこで、私は理系を検討している生徒にも有益なアドバイスをするため、友人へのヒアリングや分野選択に関する本を読むなど、理解に関する知識を身に付けるための行動を行いました。もともと自分自身が興味を持たなかった分野に関する知識であったため、学習を始める際には戸惑いましたが、新たな視点の獲得を楽しもうと考え、生徒へのアドバイスができるまでに知識を習得することができました。
学び②:生徒への寄り添い方
学習メンターのアルバイトは、私自身にとって初めての仕事であり、かつメンター・生徒間の関係性に慣れることも時間を要しました。そのため、積極的に自ら生徒に声をかけ、関係を構築すること自体が自分にとって大きな挑戦でありました。メンターとの関係構築は、価値提供の可能性を広げるためには非常に重要な段階であり、その能力は他活動で生かすことができると考え、生徒との寄り添い方を自己流ではなく学び、実践することを決意しました。
生徒と関係構築をするために学んだ内容は以下の通りです。
- アイスブレイク
- 生徒個人が興味を持っているもの関する知識
- 話を引き出すための質問方法
- 会話を広げる方法
実際に学び、実践する過程では、十分に生徒の話を引き出すことができなかったり、自分のアドバイスを受け入れてもらえないなど、多くの失敗がありました。悩みながらも改善し、少し生徒の反応が変わることに喜びを感じながら自分なりにコミュニケーション手法の研究をし続けた結果、
- 自分が直接経験しなかった理系志望の生徒さんの進路選択にも関われるようになり、文理問わず多くの相談を生徒さんからもらうようになった
- 初めはなかなか自ら状況などを教えてくれなかった生徒さんとも関係構築ができるようになり、生徒さんのリアルな課題を認識できるようになった
といった変化を生み出すことができました。
大学二年次:価値提供の手段と対象を広げるための挑戦
大学一年時の取り組みにより、私は目の前の生徒と関係構築を行い、生徒に合わせたアドバイスをすることができるようになりました。そして、その上で、目の前の生徒だけでなく、自分と直接会話をすることができない生徒に対しても価値を提供したいという思いを持つようになりました。
現状:目の前の生徒にのみ価値を提供している
そこで、オンラインにて全国の中高生を対象とした大学生活の紹介を行うイベントの運営に挑戦することを決意しました。
挑戦:新規イベントの企画・運営
全国規模、かつ実際にあったことのない高校生、親御さんが参加するイベントを企画し、登壇することは初めてであり、自分にとってはかなり負荷のかかる挑戦でした。実際に、以下のような大変なことが存在しました。
- 必要資料の作成や情報収集・プログラム決定などを行うため、多くの時間を必要とした。
- 状況やニーズに合わせて臨機応変に内容を調整しながら話すトークスキルや説明能力やファシリテーション能力など、自分自身が弱みとしている部分を克服しなければならなかった。
準備は非常に大変でしたが、悩みながらも活動自体や自身の成長を楽しみ、目標達成に近づく実感にやりがいを感じながら最後までやり遂げることができました。
その結果、以下のような成果を得ることができました。
- 多くの生徒さんや保護者から「参加してよかった」という声をもらう事ができた。
- 自分自身が弱みであると感じていた能力を伸ばす事ができ、通常時の生徒対応や後の他活動にも生きている。
イベントの企画・運営を迷った際、「実施しない選択」をとる方が楽であったかもしれません。しかし、この挑戦を通して得られたものは大きく、挑戦してよかったと強く感じています。
大学三年次:生徒に本気で向き合い、将来本当に取り組みたいことを発見するための挑戦
担当生徒は高校三年に上がり、本格的に進路について考え始める時期になりました。そして、担当生徒に以下のような生徒がいました。
一見将来の目標が決まっており、順調に進路選択ができているように感じますが、私はそのまま単純にに生徒の目指す「教師」という目標を受け入れ、応援するのではなく、「なぜ教師を目指したいのか」を面談を通して深掘りしていきました。
面談を通して、以下の様な生徒さんの本当の思いを引き出すことができました。
- 歴史が好きな理由は、彼女自身が携わる演劇が歴史物を扱う機会が多いから
- 本当は演劇に関わる職業につきたいと思っているが、どのような進路を選択すると実現できるかどうかがわからないため、身近な存在である教師を進路目標とすることにした。
- なんとなくで教師の道を志したため、そこまで勉強に身が入らない
現状:生徒が本当に目指したい目標を見つけることができず、本気で学習するモチベーションを保つことができていない
受験までの日数も多くはないことから、生徒が教育学部を持つ大学を目指し、学習指導をすることもできました。しかし、生徒が目指したいものに向けて本気になってほしいという思いから、私は演劇に関する勉強をするとともに生徒に対し、「本当にやりたいことは何か」という問いかけをし続けました。
挑戦:生徒の将来に本気で向き合い、アドバイスをするために自ら学ぶ
進路に関する具体的な面談を始めた当初、生徒は進路について考えることを放棄してしまったり、妥協しようとする時も多くありました。しかし、生徒との面談を重ねていくうちに、次第に生徒も本来自分がやりたかったことに向けて「挑戦したい」という思いを持つようになり、進路を一転することとなりました。
そして、演劇に関わる分野の研究が可能な大学や学部、受験方法などを一緒になって懸命に探しました。
懸命に探したのちに志望大学を見つけることができ、生徒は真剣に自分自身に向き合い、勉強に打ち込むようになりました。
最終的に、生徒は志望大学に合格し、進学することができました。生徒からは「向き合ってくれてありがとう」「高校生活に学習プログラムが存在してよかった」「寄り添ってくれて心の支えになった」という声をもらう事ができました。
生徒に問いかけをし続け、自分に知識がない分野に向かうサポートをすることは非常に大変でした。
しかし、今振り返ると、生徒と本気で向き合い、一緒に挑戦ができてよかったと感じていると同時に、このような経験をさせてくれた生徒に非常に感謝をしています。
「大変なことこそ率先して楽しむ」ことは、理想的だと感じる一方で、実際行うことは難しいと感じる人も多いと思います。
実際、私も挑戦の必要性を理解しつつも、自分自身にかかる負荷と天秤にかけ、多くの挑戦機会を逃してしまったことがあります。
挑戦を諦めそうになった時、私が大切にしていることは「挑戦できる機会を楽しむ」ことです。
その挑戦を通して得られることはどのようなことでしょうか。私は学習メンターでの挑戦を経て得られた価値には以下のようなものがあると思っています。
- 知識
- コーチングスキル
- 相手の環境を理解し、提案する力
- 質問力
- 関係構築力
- 企画力
- ファシリテーション能力
- 生徒との信頼関係
- 感謝
- やりがい
挙げていくとキリがないほど多くの価値を得ることができました。そして、挑戦過程の中で価値を実感できた時、挑戦に対する行動を楽しんで起こすことができます。
挑戦を迷う時、目の前の大変なことの存在が大きく感じ、一歩を踏み出すことに対して躊躇することは誰しもがあることだと思います。
しかし、目の前の大変なことを乗り越え、その行動自体を楽しむことができれば大変なことの負担以上に大きな価値を得ることができます。
得られる価値を大切に、挑戦に対して前向きになれる人材を一緒に目指していきましょう。
今後に向けて
私は現在、en-courage早稲田支部というキャリア支援団体において、人事部署の責任者を務めています。人事部署は「メンバーのモチベート」など定性的な目標が多く、また施策の成功や失敗が目に見えにくいことが特徴です。
達成したい目標に向けて一歩を踏み出し、施策を打ち出すときに「確実に成功する」といった確証がない場合が多くあることから、メンバーが施策の実施に伴う「大変なこと」を避けてしまいたいと感じる場面が発生します。
私はリーダーとして、そこで一歩を踏み出さずに何も実施しないと判断するのではなく、「大変なこと」を乗り越え、施策を実施した際に生まれるプラスの価値に焦点を当てていきたいと思っています。そして、いかに工夫し、価値を最大化できるかを考えられる組織を作ります。
リーダーとして、メンバーに対して大変な仕事へ取り組むことを促すのではなく、一緒に「大変なことを率先して楽しむ」その姿勢を見せ続け、大変なことに取り組んだその先を描くことで多くの価値を生み出していきます。
ログインするとコメントすることができます。
新着コメント