自分に合った記憶法を見つける
2022.06.24
今月の研修:記憶のメカニズム
皆さんは「2×4」の答えを聞かれたとき、答えをどのように導きますか?
2が4個あるからという概念で考えたり、“にしがはち“というゴロを思い出したり、人によって様々な導き方があるでしょう。
多くの人が小学2年生で学んだ1桁同士の掛け算の解き方を今でも長期的に覚えているのは、ある3つのメカニズムのどれかに従って覚えているからです。
今回は長期記憶の3つのメカニズムについて、勉強を例に挙げながら詳しく説明します。
長期記憶とは..?
長期記憶とは、比較的長い期間にわたって保持される記憶のことを言います。長期記憶は、3つの種類に分けられます。
①意味記憶とは、「指定された速度に従って運転しなければ違反となる」というように、物事の一般的な知識や情報についての記憶のことです。
②エピソード記憶とは、「住宅街を運転していた時に子供が飛び出してきて危なかったなぁ」というように、個人的な経験や思い出に結び付けた記憶のことです。
③手続き記憶とは、「自動車に何回も乗っているから運転の方法を忘れない」というように、学んだことを何回も繰り返すことで身に付く記憶のことです。
勉強に対する長期記憶
冒頭の掛け算の例で考えると、2が4個という概念で覚えているのは意味記憶、習った当時の出来事と関連付けて覚えているのはエピソード記憶、ゴロを何回も言ったり問題を何回も解いたりして覚えているのは手続き記憶へのアプローチであるといえるでしょう。
では、勉強で長期的に何かを覚えたいときのアプローチ方法として、具体的にどのようなものがあるでしょうか。
意味記憶
- 教科書やプリントを読んで理解する
- 自分が覚えやすいようにノートにまとめる
エピソード記憶
- 友達と同じ内容を一緒に勉強して教え合う
- 教科ごとに環境を変えて勉強する(場所、匂い、色、時間など)
- 学んだことを誰かに教える
- 誰かが言っていたり教科書の隅にあるような豆知識や無駄話などと関連付けてみる
- みんなの前で発言する
手続き記憶
- 教科書やプリントを何度も音読する
- ゴロを何回も言う
- 覚えたいことを何回も書く
- 問題を何回も解く
自分の勉強例
私は、この研修を受けた1ヶ月後に期末試験を受けました。その1ヶ月間の勉強中は、特にエピソード記憶にアプローチできるように意識しました。
そのおかげで、試験中にど忘れしてしまっても、勉強した時間や場所などの様子を思い出しながら正解の選択肢を選ぶことができました。
では、具体的にどのようなことをしたのかを以下に記します。
【実践してみたこと】
- 教科ごとにファイルの色を変える
- 特に覚えたい所には黄色いマーカーを引いて強調する
- 壁に覚えたいことを書いた紙を貼る
- 友達と勉強して、ゴロを一緒に作ったり、勉強内容に関連した体験談を話し合ったりする
- 作ったゴロの文章の様子を絵にする
【その結果】
実際の薬理学の試験でこのような問題が出ました。
その時に、このような絵を思い出しました。
そして、「チオちゃん静かにして、ケタケタ笑わないで、プロにフォールされるよ(落とされるよ)」というゴロを思い出し、正解の選択肢を選ぶことができました。
他にも、手続き記憶へのアプローチとして、隣に誰かがいるつもりで何回も解き方を説明したり、覚えたいことを青ペンで何回も書いたりするのも効果的でした。
友達に話を聞いてみると、自分でまとめノートを作った方が覚えられる人、何も書かなくても音読を繰り返すことで覚えられる人など、人によって自分に適した覚え方があることも分かりました。皆さんも、意味記憶、エピソード記憶、手続き記憶、どれにアプローチすると覚えやすいかを考えながら、自分に合った勉強法を見つけてみて下さい。
これから研修を受ける方々へ
ただ学ぶだけでは意味がありません。学んだことがあったら、それを自分の知識の一部にできるようにすることが大切です。ですから、教える側になった場合も学ぶ側になった場合も、相手や自分がどうやったら長期的に覚えられるかを考えながら学習してみて下さい。
研修で学んだこと
- 記憶には、短期記憶、中期記憶、長期記憶があり、それぞれアプローチの仕方が異なる。
- 長期記憶の中には、エピソード記憶、意味記憶、手続き記憶がある。
- 復習をすると、しなかった時よりも定着率があがる。
- 記憶はシナプスが関係している。
- よりよく記憶するためには睡眠も大切である。
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