「責任を取って辞任」「責任を全う」この違いとは?
2019.04.20
■今月の研修■ 『責任・権限・義務』
権限・義務の整合性を保ってこそ、理想の上司
『責任・権限・義務』のそれぞれが一体何なのか、またそれらがどのように関連しているかを正しく理解したうえで“運用”できるようになることが、5年後10年後の自分にとって必要不可欠である。自分は今回の研修を通じてこう感じました。
まず責任・権限・義務について簡潔に説明します。責任とは、あるミッションを計画通りにやり遂げることであり、そうした目的遂行のために必要なツールが権限、そして権限をもつのと同時に発生する守るべきルールが義務です。研修中の料理の例を引用させていただくと、誰かのために美味しい食事を作るという責任を持つ人には、料理のために包丁を使用する権限が与えられるが、同時に包丁を安全に使うという義務が発生する、といったイメージです。権限を付与されたのならば、必ずそれ相応の義務を果たさなければならないという、いわば当たり前のことを改めて考え直すことが出来ました。
そして将来的に部下をもちチームを動かす立場になると、責任・権限・義務を適切に運用することが求められます。ここで大事なのが、部下がもつ権限・義務の整合性だと考えます。もし権限に比重がかかりすぎてしまうと、場合によっては組織全体に損失を与えかねません。例えば、仕事の進捗状況を逐一報告するという義務を部下が怠った場合、間違った方向のまま仕事が進行してしまい、リスク管理ができません。一方部下に権限以上の義務ばかり課してしまうと、仕事の自由度を奪うことになり部下のモチベーション低下につながる可能性があります。以上のことから、責任ある仕事を担う部下が持つ権限と義務の整合性を保つことが必要です。
ではこうした力をつけるために日々できることは何なのか?それは、現在の自分にどんな権限が与えられていて、それに伴い発生している義務は何なのかを逐一意識して行動することだと考えます。例えば生徒の授業を行うという責任ある仕事には、その授業を設計する権限が与えられるのと同時に、その進捗状況や次回に向けての計画を上司に正確に報告するという義務があります。こうした意識・行動を徹底することで、目の前の仕事を全うしていきます。そして将来的に部下を抱えた際には、部下に適切な権限を与えるとともに、それ相応の義務を部下自身に考えさせ実行させられる上司になります。
まだこの研修を受けていない人へ
この研修は、普段ニュース等でよく目にするシーンを題材にしながら、『責任・権限・義務』について改めて考え直すことが出来ます。例えば、不祥事を理由に”責任を取って”辞任する企業の経営陣の会見を見て、読者の皆さんは何を思うでしょうか?以前の自分は、型通りのお決まりの会見だとしか思っていませんでした。しかし今回の研修で責任は全うするものであると学んだことで、こうした会見で引責辞任する経営陣は本当に責任を全うしていると言えるのか、と考えるようになりました。社会人になる前の段階で学ぶことがとても重要な内容満載ですので、読者の中でも特に大学生の皆さんの参加をお待ちしております!
研修で学べた事(キーワード)
- 責任は取るものではなく、持つもの・全うするもの・果たすものである
- 権限と義務は対になる
- 権限は付与されるものである
- 想定外の事にも対応できる状態でいることが、責任を果たしている状態
- 判断力と決断力の度合いによって、人は『人財・人材・人在・人罪』に分けられる
矢後慶樹 早稲田大学 商学部