リーダーが意識するべき2つの役割
2021.01.26
今月の研修:社会人が持つべき習慣(私的成功)
皆さんこんにちは!いきなりですが1つ質問です!
「今月の目標値は◯◯だから、達成のために◯◯と◯◯を◯日までにやらなきゃ・・・」
皆さんが組織で日頃活動している際、頭の中でこのようなことばかり考えて行動していませんか?
そんなあなたにもう一つ質問です。
今あなた自身が責任を負っている目標(数値)は何のために達成すべき目標でしょうか?
この質問にすぐに答えることができたでしょうか?
もしすぐに返答することができず、組織を統括するリーダーの立場であった場合、メンバーからは「今追っているこの数字って何のために追っている目標でしたっけ?」などの声が上がってくるかもしれません。(実は既にあがっているのかもしれません。)
これは、我々A&PROの言葉で表現するならば、「知的創造」と「物的創造」の使い分けができていない状態です。あなた自身がこのような考え方に陥り、あなた自身の統括する組織でこのような声が上がっている場合は組織に危険が迫っているサインかもしれません。
今回はこの2つの創造の役割を理解することで、日頃リーダーとして多くの人をまとめ上げている立場の人間が、どのような意識で組織と向き合う必要があるのか、実際にどう日頃の活動に取り入れていくべきかを一緒に考えていきたいと思います。
知的創造と物的創造
社会人として活躍できる人間は、あらゆる活動の際に2つの意識を持って行動しています。それが「知的創造」と「物的創造」です。
- 「知的創造」:目的を適切に設定し、達成のために計画を立てること
- 「物的創造」:計画に基づいてその結果を実際に生み出すこと
部活動のサッカーを例にこの2つを考えてみましょう。
はじめに行うことはボールを蹴ることではなくて、チームの目的を決めることです。ここではわかりやすく「全国大会優勝」を目的に掲げたとしましょう。単に優勝を掲げるだけで目的が達成できるわけはなく、全国大会で優勝するために必要な要素を洗い出し、どのようなスパンでそれぞれの要素(目標)を達成するための練習を行うか計画します。これが知的創造にあたります。この計画の下にいかに効率よく練習を行うのかを考え、実際に練習を行うことが物的創造にあたります。
知的創造が曖昧であったら、つまり目標達成までの計画が曖昧であった場合、思うような成果が出なかった時に、目的から逸れたアクションを選択する危険性があります。仮に、守備が脆く全国大会優勝のために守備力強化を目標にしているチームを考えてみましょう。
知的創造を計画的に行った場合、守備力向上に必要な要素として、フィジカル面の向上・連携の強化・技術面の向上など要素が候補になります。このチームの最大の弱点が守備時の連携面であった場合、練習では連携強化のためのトレーニングを重点的に行い、守備力向上という目標の達成を目指します。
しかし、単に前の試合で走り負けたからフィジカルトレーニングを強化するなどのように反射的な練習を行っていると、一番の原因である連携強化のための練習を行うことができなくなります。たとえ、全力でフィジカルトレーニングに熱量を注いだとしても、その練習は目標に対して全く意味のない行為となってしまいます。
目的達成への最優先事項
このサッカー部の例からわかることが一つあります。
「いくら練習(物的創造)の精度が高くても、それが目的に結びついていない(知的創造が疎かになっている)と、その練習は組織にとって何の意味も持たない」ということです。
これを図に表すと以下のようになります。
日頃、組織で活動している際は物的創造の進捗に目が向きがちになってしまいます。しかし、組織が目的を達成するには、まずは組織の目的・目標を適切に置くことが大切であるということがわかったと思います。
まずはメンバーに目的を見せる
これまではチームでの知的創造と物的創造のあり方を紹介してきました。
これからは、チームで目標を掲げ、達成を目指す組織のリーダーとして両者にどのように関わるべきであるか考えていきましょう。
リーダーに必要な能力として「マネジメント」と「リーダーシップ」という言葉と耳にすることが多くあると思います。普段この2つを使い分けて行動できているでしょうか?
- マネジメント:目標を達成するための手段や計画を考え、管理する能力
- リーダーシップ:適切な目標を掲げ、そこへメンバーを導く能力
つまり、マネジメントが「正しく行う」ことであるのに対し、リーダーシップは「正しいことを行う」ことなのです。
普段仕事をしていると、「いかに目標に対して到達できそうか」というマネジメントの思考ばかりを使ってしまうことが多いのではないでしょうか?
リーダーの最も大切な役割は「先陣を切って組織の目的を決定すること」、つまりメンバーが正しい目標に向かって実行できるための計画を練り、そこにメンバーを導くことです。
リーダーがいかに効率的にマネジメントする能力があったとしても、その目標の方向性が適切でなければ、全く成果の上がらない状態となってしまうのです。
そのため、リーダーは組織の目指す姿やそれを達成するための理想状態、理想状態を達成するためのアクションプランを叩き台としてメンバーに示し、メンバーからの説得力ある意見を取り入れながらゴールを決定するリーダーシップが必要になります。
リーダーシップの落とし穴
しかし、ここで注意してほしいことがあります。掲げたゴールが正しくない場合でも、メンバーはその目標に向かってアクションしてしまうことがあります。
私は現在、キャリア支援団体で新規事業の責任者として活動しています。私は一刻も早く成果を上げるために、妥当性が決して高くないゴールに向かってメンバーをアクションさせていたことがありました。しかし、2週間ほどすると次第にその目標に対する不満が高まり、物的創造が全く進まない状態に陥ってしまいました。
このような事態に陥ると、いくら物的創造が進められていてもそれは意味のない成果になってしまいます。
こうした事態を未然に防ぐために、私は2つのことが大切であると考えます。
1つは、積極的に外からの意見を叩きに取り入れること。リーダーとして示す目標に確信が持てない場合は思い切ってその分野に精通している人間に意見をもらいに行きましょう。これによって間違った計画を立てることを防ぐことができます。
2つは、こうして計画した叩き台に対しメンバーから意見を貰う時間を充分に取ることです。ここで上がった説得力ある意見は積極的に取り入れて計画に磨きをかけていきます。また、メンバーにも目標を考える時間設けることで、組織として高い視座を持つメンバーを多く持って活動することができるようになります。こうした説得力ある意見をメンバーが生み出すためにも、メンバーも各々知的創造を行い、常に目的の適切さを考える必要があります。
それでも目標の位置を間違って設定してしまった場合は、改めて正しい方向性に目標を設定し直すこともリーダーの役割です。
私も、前述した経験では改めて、外部からの意見を参考にして叩きを作成し、メンバーとディスカッションする中で理想の目標を設定することができました。その結果、メンバーは自身の役割が明確になったことで、物的創造が進むようになりました。
最後に
皆さんお疲れ様でした。今回は「知的創造」と「物的創造」という観点から、リーダーとしての振る舞い方について紹介しました。
以下の3つを学ぶことができたと思います。
- マネジメントが「正しく行うこと」であるのに対し、リーダーシップは「正しいことを行う」こと
- リーダーは先陣を切って組織の目的を決定することが大切
- 組織の目的・目標が間違っていた場合には、目的・目標を設定し直すことも必要
この記事を契機に一度自身の持つ組織において、メンバーに組織の目的を見せることができているかを振り返ってみて下さい。
このように、リーダーズカレッジでは、リーダーとして持つべきスタンスやコミュニケーションについて体系的に学ぶことができます。
日頃の業務に忙殺されている方は、本研修を通じて日頃の行動を振り返る貴重な機会が得られると思います。
研修で学んだこと
本研修では、「知的創造」と「物的創造」以外にも以下のようなエッセンスを学びました。
- まずは、組織が正しい方向に進めるように道筋を示すことがリーダーの役割。
- 上手くいかない原因を環境に求めない。まずは、自分が影響を及ぼすことができる範囲から変えていく。
- 常識を常に疑い続ける。
- リーダーが責任を抱えすぎると、依存したメンバーが育つ。