メンバー視点で考えるミーティング設計

クレド3.目配り・気配り・心配り、常に相手の立場に立つ

尊敬し合えるチームでは企業理念を判断基準とし、目配り・気配り・心配りの質を高めていきます。些細なことにこそ敏感に気づき、周りに共有することで、スピード対応に繋げます。相手(顧客・提携先・メンバー)の立場に立ち、一歩先を行くサービスを提供していきます。

ミーティング設計に妥協していませんか

皆さんはリーダーとしてミーティングの議題を考える際に、より質の高いミーティングになるように意識できていますか?

なんとなく直前に思いついた議題を何も検討せずに取り扱うことは、ミーティングの質に大きく影響を与えます。

質の低いミーティングは何も決まらなくて時間の無駄になる上、それが常態化するとメンバーのミーティングへの意識が低下してしまいます。

なかなかミーティングで発言しないメンバーや、ミーティングに消極的なメンバーがいた場合は、もしかしたら議題を設定するリーダーが原因かもしれません。

あなたはミーティング設計に妥協をしていないと自信を持って言えるでしょうか?

ミーティングの失敗はチームワークの低下に

ミーティングの間にメンバーから「この議論は時間の無駄じゃない?」「ここで話す意味あるの?」と思われている場合、そのミーティングは失敗であると言えるでしょう。

このことはサービスで例えると、顧客が「面白くない」「退屈だ」と感じ、価値を感じなくなっていることと同じことです。

顧客のロイヤリティが下がるように、メンバーがチームに対して帰属意識を持たなくなることも十二分にあり得ます。

しかしミーティングの場で上記のように、メンバーの気持ちをそっちのけにしてしまっていることは、リーダーとして陥りがちな失敗です。

リーダーが常日頃から感じている課題感や求めるアウトプットの質は、メンバー視点に立って考えたときに、視座が高く抽象的で捉えられないケースも多々あるからです。

ミーティングの場でメンバーを置いていかず、さらにメンバーのアウトプットを引き出すにはどのようにしたらよいのでしょうか。

そのときにサイモン・シネック氏のゴールデンサークル理論を用いて議題を決めることが一つの解決策になると考えます。

ゴールデンサークル理論とは

ゴールデンサークル理論とは物事を相手に伝えるときにWhy→How→Whatの順に伝えることで、意義が相手に伝わり、行動変容につながりやすいというものです。(脳のメカニズムにより科学的に説明できるらしいですが、私は専門家ではないため、ここでは省略します。)

そこで身の回りを見てみると、多くの人の理解と行動変容を促すためにゴールデンサークル理論が適用されていることがわかります。

例えば、コロナウイルス関連では、

コロナウイルスによる感染急拡大を防がなければならない(Why)
→コロナウイルスの潜伏期間の最大値は2週間程度である(Why)
→検査結果にかかわらず、感染者と接触してから潜伏期間の間は他人と接触することを避ける(How)
→PCR検査で陰性だとしても、濃厚接触者は感染者と接触してから2週間の隔離を行う(What)

これをWhatのみ説明され、「濃厚接触者は2週間の隔離をする」とだけ伝えられた場合、皆さんは納得するでしょうか?

Whyの説明がきちんとされているため、日本全体において2週間の隔離が受け入れられているのだと私は思うのです。

ゴールデンサークル理論のミーティングでの応用

私はゴールデンサークル理論を応用し、ミーティングの議題をWhy→How→Whatの構成にすることで、ミーティングの場でメンバーを置いていかず、さらにメンバーのアウトプットを引き出すミーティングにすることができると考えます。

Why:なぜこの議題を扱うか(意義づけ)

まず最初にゴールデンサークルの一番内側の部分であるWhyを伝えます。

議論を始める前に議題について話し合う意義を伝える、または考える時間を設けましょう。そうすることでメンバーはなぜ議論をするのかが分かり、「この議論は時間の無駄じゃない?」と考えて議論に集中できなくなることを防ぎます。

How:どのように解決するか(抽象)

次にHowを考えます。

Whatを考える前に抽象的にどのように解決するかを挟むことで、議論の方向性を定め、施策ベースで議論があちこちに行くことを防ぎます。

What:何をするか(具体)

最後にWhatを考えます。Whatは最後の”決め”のところであるため、Whatが決まらなければそもそも議論をした意味がありません。

メンバーはミーティングを行い、少しでも現状が改善されていくことに価値を感じます。ミーティングの場を有意義なものに感じられるように、最後のWhatの部分は明確に行いましょう。

所属団体での応用例

私が所属する学生団体では、週次の定例ミーティングで、次週までの行動目標(=ネクストアクション)を定めます。

今までは「来週までのネクストアクションを決めてください」ということで、Whatを投げ出していたため、メンバーによっては何を書けばよいのかわからず、ミーティングの時間が無駄になっていました。

活動の先には必ず顧客がいて、価値を提供する必要があります。そこで、ゴールデンサークル理論を用いて、

①価値提供したい顧客を思い浮かべてください
②なぜその顧客に価値を与えたいのですか(Why)
③どのように価値を提供しますか(How)
④次回のミーティングまでに何をやりますか(What)

という構成に変えました。このようにすることで、メンバーのネクストアクションがとても明確になり、かつそれを行動に移そうと思えるようなミーティングの場にすることができました。

ネクストアクションを考えるグーグルフォーム。例示するなど、メンバーがよりアウトプットを出せるように工夫した。

まとめ

ミーティング設計におけるゴールデンサークル理論の応用はいかがだったでしょうか。この理論はあくまで一つの手段でしかなく、一番重要なことはミーティングを設計する際にメンバー視点で考えられるか、です。

私自身も、リーダーとして「メンバーの時間を使っている」という自覚を持って、より有意義なミーティングになるようにミーティング設計に向き合おうと思います。

この記事の著者/編集者

中都智仁 早稲田大学 教育学部数学科 

早稲田大学在籍。サークルとバイトだけの大学生生活を送っていたが、コロナ禍になり自分のキャリアを見つめ直し、ビジネススクールに入校。
『もっと早くからキャリアを考えればよかった』という後悔からキャリア支援団体のen-courageで早稲田生のキャリア支援をしている。1、2年生向けのイベントを企画する部署のリーダーを務めたり、メンバー採用の最終フェーズの担当者を務めたりしていた。
メンバーの成長を促進する一流のリーダーになるべく、リーダーズカレッジに参画。

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