誠実さと知恵で「大変なこと」を味方に
2023.08.01
クレド6:大変なことこそ率先して楽しむ。守るな、攻めろ!
サービス深化・成⻑に近道なし。大変なことこ深化・成⻑のチャンス。悩みながらも楽しむことで人生が豊かになります。
0. はじめに
「大変なことはなるべくやりたくない」
「楽して近道して、目的や目標を達成したい」
こんな考えは誰しもが持っているものだと思います。
例えば、受験勉強で、進められた参考書が分厚くて見るからに大変そうだし、中々覚えられない。そこで、薄くて何だか楽そうな参考書に手を出してみる。
こんな風に、必要だと頭で理解していても、大変さが目について、他の方法に手を出したくなってしまうことは、私は今まで沢山あります。
そして、勿論、この分厚くて大変そうな参考書は、本当に大変なだけで本人の学力向上に繋がらず、志望校合格には薄い参考書の方が良い場合もあります。しかし、分厚くて大変そうに見える参考書が、実は長期的に考えると、本人の学力向上や志望校合格に本当は強い力になる場合もありますよね。
つまり、大変そうに見えて、別の楽な方法を探りたくなる場合でも、目的や目標を果たすために、大変そうに見える方法を取るべきかどうかを正しく判断し、選択する力が重要なのではないかと思います。
そこで今回の記事では
向き合うべき「大変なこと」を正しく選択し、取り組むための方法
「大変なこと」を楽しむための方法
についてお話ししたいと思います。
「大変なこと」と向き合うことに苦手意識がある人も、逆に「大変なこと」を抱えすぎてしまう人にも、「大変なこと」を味方に変える一つの方法論としてぜひ読んでいただきたいです。
1. 「大変なこと」を正しく選択し、向き合う
とはいっても「『大変なこと』こそ率先して楽しむ」。何となく重要性は感じながらも、実際に実践できる人は数少ないのではないでしょうか。
私も実際そうで、「大変なこと」から逃げたくなったり、向き合いきれていない時期もありましたし、まだまだ完璧では全くなく、向き合う余地はあると思います。
そこでここからは、私が「大変なこと」を向き合い、その大切さを実感した経験を紹介することで、実体験から「大変なこと」に向き合う意味とその方法をお伝えできればと思います。
1-1. 「大変なこと」を正しく選択し、一歩一歩着実に
私は、en-courage早稲田支部という、早稲田大学の就活生に向けたキャリア支援団体の運営として活動しています。そしてその中でも、コアサービスである就活生へのキャリア面談の設計と管轄を行う、部署責任者に今年の6月に就任しました。
就任した当初の部署は、「楽しく、楽に」をモットーにしているような文化で、目についたことから取り組む。楽しくて、なるべく楽そうなものから、個々人が自由に施策を打つ。といった、自由闊達といえば聞こえはいいですが、部署としてはまとまりがない状態でした。
ですが、私も当初は、「楽しく、楽に」という文化に染まっていたので、そこまで問題視はしていませんでした。そんな時、このA&PROでの”幹部研修”で「楽しく、楽に」では実現できないことがあることに気が付いたのです。
幹部研修とは、en-courageの部署やチームの責任者などのリーダー陣が集まり、各部署の年間計画を共有し、コーチングし合う研修です。そこで私も部署責任者に就任したため、年間計画を書き始めました。
部署として顧客である就活生にどんな価値を届けたいか。そのためにはどんな目標を立て、各月ではどんな方針で進めるべきか。これらについてを年間計画を書く中で考えるようになると、「楽しく、楽に」という文化では、顧客である就活生に届けたい価値は生み出すことが出来ないと痛感したのです。
そこで、「大変なこと」を避ける楽さ重視の思考を一旦捨て、部署として大切にすべきことを、優先すべき順で以下のように整理しました。
- 面談サービスとしての信頼と記録を確立する
- 継続的に利用される面談サービスにする
- 面談サービスが終了後も、顧客の人生に残るような「最後の面談」を設計する
すると、面談サービスを提供する100人の運営メンバーに、業務を徹底してもらう必要があるため、い今までは「大変そう」と避けていた「1.面談サービスとしての信頼と記録を確立する」というものが最優先事項になったのです。
それを部署のメンバーに共有すると、案の定「大変そう」と難色を示すメンバーもいました。
しかし
「いずれにせよ、やらなければならないこと。これをやらないと前には進めない」
というメンバーの意見をきっかけに、私は「大変なこと」よりも、サービスにとって「重要なこと」であるかを優先した決断をし、年間計画を確定することができました。
1-2. 「大変なこと」に向き合った先にあるもの
そして、最近、なぜこの「大変なこと」より「重要なこと」を大切にした決断ができたのかを考える機会がありました。別大学のen-courageの面談部署の責任者から、「1.面談サービスとしての信頼と記録を確立する」ことに関する相談を受けたからです。
内容は
「もうすぐ後輩への引き継ぎを意識する時期ですが、どんなに他の施策を打ち、その成果が出ても『1.面談サービスとしての信頼と記録を確立する』という当たり前を大切にする文化が徹底されていない状態のままでは、胸を張って引き継げないと危機感を抱いています。早稲田支部はその大切な文化が徹底されていることを示す、面談の基礎業務の実行率が95%であると聞きましたので、どのようなことを意識されていたかなどについて教えていただきたいです」
というものでした。
まず、この相談をきっかけに、「大変なこと」に向き合ったからこそ、今、後悔なく、部署として提供したい価値を追求できているのだと気づくことができました。実現したいものがあるとき、後悔せずに実現に向けて努力しきるために、時に「大変なこと」に向き合う過程は不可欠であると実感したのです。
そして、このように「大変なこと」よりも「重要なこと」を大切にした決断ができた背景には、以下の2つのポイントがあると考えました。
- 大変さを理由にやらないで後悔しないか、を自分が納得いくまで確認した過程
- 大変なことの意義を理解し、一緒に悩みながらも取り組んでくれる仲間の存在
1.大変さを理由にやらないで、後悔しないかを自分が納得いくまで確認した過程
これは、やらない選択のその先を想像する、とも言い換えられます。短期的に考えれば、大変そうで手を付けたくないことだったとしても、やらない選択をして本当に後悔しないものなのかを自問自答します。この際、やらない選択をとっても、または代替できる方法をとるとしても、後悔しないのなら、問題ありません。しかし、組織にとって本当は重要なことであったり、自分の成長に繋げられるのではないかと、後悔してしまうなら、大切に取り組むべきだと思うのです。
2.大変なことの意義を理解し、悩みながらも一緒に取り組んでくれる仲間の存在
個人単位ではともかく、組織単位で大変なことをやり切るには勇気がいると思います。だからこそ、大変なことを一緒に取り組んでくれる仲間を持っておくことは重要です。大変さやそれに伴う悩みも楽しみも共有できる相手や、「大変なこと」の大切さを肯定する環境を自ら構築しましょう。私も大変だと感じた時や、上手くいかず悩んだ時の支えには、一緒に大変なことに向き合ってくれる部署メンバーの存在がありました。大変なことに向き合っている時こそ、”独りよがり”に陥らないことが重要だと思います。
1-3. 大変なことに向き合える人は「誠実な人」
そして、上記の2つのポイントは一言で「誠実であるか」という問いにも言い換えられます。
前提として、A&PROでは「誠実」とは「あるべき姿を実現しようとする姿勢」を指します。そして、誠実と正直は異なります。
大変なことに対して、「大変だ」と感じたままを周囲に発し、大変さを理由にやらない選択をとる人は、”正直”な人と言えるでしょう。しかし、そこから、本当にあるべき姿とは何かを考え、あるべき姿を実現するために時に大変な手段も選択出来る人は、”誠実”な人になり得るのです。
つまり
「大変なこと」を正しく選択し、取り組むためには、日々、自他に対して”誠実”であること
が重要なのではないでしょうか。
2. 「大変なこと」を楽しむ思考転換
ここまでは、「大変なこと」に向き合う意味と、「大変なこと」を正しく選択し取り組む方法についてお話ししました。ですが、実際問題、「大変なこと」の意味も、どんな「大変なこと」に向き合うべきかも判断出来ていたとしても、「大変なこと」を率先して楽しむことは、案外難しいのではないでしょうか。
そこでここからは、「大変なこと」を乗り越えるだけでなく、自他の成長などに還元し、楽しい過程に変えていくコツについてお話していきます。
2-1. 「大変なこと」に葛藤した経験
最近、私は「大変なこと」に新たに挑戦するかどうかに悩んでいました。
その「大変なこと」とは、内定者インターンです。内定者インターンは、内定者が学生のうちに、実際の職場で継続的に働く、内定者限定の長期インターンのようなものです。週2~3日、フルタイムで働くため、比較的多くの時間を費やすことになります。
そして、この内定者インターンは公募制だったため、応募するかを大変悩みました。理由は、先述のen-courageでの活動に、既に週15~20時間ほどの時間を使っているからです。また、部署責任者でもあるため、部署の成果を追求し続ける姿勢は常に求められますし、何より他活動に手を出すことでen-courageでの活動が中途半端になってしまうことは私自身も好みません。
しかし、それでも悩んだのは、内定者インターンが魅力的だったからです。ここで挑戦しなければ後悔するのではないかという想いと、これ以上「大変なこと」を増やして大丈夫なのかという想いが葛藤し、中々「大変なこと」を楽しむ状態には程遠かったです。
2-2. 「大変なこと」こそ率先して楽しむには
そこで、今まで自分は、どんな「大変なこと」を挑戦し、何を得たかを振り返ってみました。
例えば
- 高校2年生の夏休みに、知り合いもいない中、一人で参加した異文化交流のサマーキャンプ。
- 部活にも勉強にも追われている夏休みだったので、精神的にも時間的にも「大変なこと」で、参加を悩みました。ですが、参加してみると、普段の学校生活では出会えない多くの人の価値観や異文化に触れる学びと楽しさが溢れる場で、自分がやりたいと思ったことは躊躇せずに挑戦することの大切さを学びました。この学びは、その後の学校生活のさまざまな場面で生かされ、学校説明会を自ら企画したり、新聞部で主体的に取材に挑戦したりできたのは、「大変なこと」で得た学びがあったからこそでした。
- 大学時代、ボランティア団体の代表職と並行しながら挑戦した、2か月間の企業への事業立案ワークショップ。
- ボランティア団体の学生代表に就任したての大学2年生の冬。代表職とワークショップの2つの「大変なこと」を同時に取り組めないと思い、挑戦することに消極的な時期もありました。しかし、代表として今後、人前に出て、多く人に提案やプレゼンテーションを行う経験は不可欠だと考えたとき、ワークショップは実は代表として必要な学びの機会だと思い、参加を決意しました。実際、ワークショップで相手目線で伝えることの大切さを楽しく学び、それは代表として行った新入生歓迎活動にも生かされました。
このように振り返ってみると、「大変なこと」を楽しめた経験では、「大変なこと」から得た学びが別の活動に生かされ、実践されていると考えられます。つまり
「大変なこと」から得た学びを、その場で終始させたり、個別化させることなく
他活動での更なる学びの可能性に繋げ、還元すること、すなわち「学びの体系化」をできるかどうかが、「大変なこと」を楽しめるかどうかを左右する
のではないでしょうか。
そう考えると、「大変なこと」と考えていた内定者インターンには、「学びの体系化」の素材となり得る、”ロジ評価”という仕事内容がありました。”ロジ評価”では、行われた施策に対して、評価と分析を行ったり、そこから新たな施策の可能性も模索するそうです。そしてこの”ロジ評価”は、en-courageでの自分たちの代の活動を、次の代に引き継いでいくにあたって、行った施策を伝えて終わりではなく、講じた施策の分析や改善点、新たな可能性の提示まで行える、組織の進化に直接寄与する引継ぎのために重要な知見であると気づいたのです。
そのため、一見別物に見えていた、en-courageの活動も内定者インターンも、「学びの体系化」ができる可能性があると思えたことで、「大変なこと」である内定者インターンに期待を胸に申し込むことができました。(その後、インターン参加に必要な面接も無事に合格し、11月より内定者インターンで働く予定です)
初めは「大変なこと」に思えていても、その過程で「学びを体系化」し、学びが有機的かつ横断的に繋がり、発展する楽しさを率先して体験しにいくこと。それこそが、「大変なこと」を率先して楽しむためのコツなのではないでしょうか。
3.最後に
まとめも兼ねて、改めて要約した2つのメッセージをみなさんに送りたいです。
- 「大変なこと」を正しく選択するために、日々、”誠実”である
- 「大変なこと」を楽しむために、”学びの体系化”するという知恵を磨く
一見、消極的に思えてしまう「大変なこと」。けれど、いざ向き合ってみると「大変なこと」は沢山の可能性も秘めているはずです。
「大変なこと」を自他の糧に変えられる、誠実さと知恵を持った人財。そんな人財になれるよう、私も日々、「大変なこと」と自分自身に向き合い続けたいと思います。
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新着コメント
2023年08月03日
“今まで自分は、どんな「大変なこと」を挑戦し、何を得たかを振り返ってみました。”
自分の進むべき方向が見えてくる、熟考された実践例だと思いました。
「大変なこと」を正しく選択し、プラスへ転換するために。
ぜひ、取り組む前の参考にしたいと思います*