「マイナスな点を注意できない……」相手に対する真の誠実さとは

今月の研修:アサーティブ研修

みなさんは、組織で一緒に活動するメンバーに対して感じている思いを発信することを躊躇ってしまった経験はありませんか?

「本当はしっかり仕事をして欲しいけど、忙しそうだから言えないな」

「組織の雰囲気を悪くしてしまいそうでメンバーに対して怒ることが苦手……」

このように、特にマイナスなことを伝えられないという悩みを抱えている人は多くいるのではないでしょうか。

今回の記事では、一見マイナスだと感じることもしっかりと相手に伝えることがプラスに作用すること、そしてそのための有効な手段をお伝えしたいと思います。

アサーティブコミュニケーション

誰かに自分の考えを伝える時、伝え方には大きく4つのクセがあります。

  1. アサーティブ(自己主張的)・・・自分の要求や意見を、相手の権利を侵害することなく誠実・素直・対等に表現するコミュニケーション
  2. アグレッシブ(攻撃型)・・・判断材料もなく説得力がないのに、一方的で強引なコミュニケーション
  3. パッシブ(受身型)・・・相手に遠慮して言い出せないコミュニケーション
  4. パッシブ(作為型)・・・遠回しな伝え方・皮肉な伝え方をしたり、あとで仕返ししたりする、最も避けるべきコミュニケーション

しっかり仕事をしてほしいと伝えることやメンバーに対して注意することは、受け手にとっては耳の痛い話ですよね。上記の4つのうち、どのコミュニケーションスタイルが最も有効でしょうか?

この場合、自分の意見を伝えつつ相手の権利を侵害しないことが大切になってきます。すなわち、アサーティブコミュニケーションが最も有効です。

DESC法

さて、アサーティブコミュニケーションが有効だということは認識できても、相手にとってマイナスなことを伝えるとなると、その方法に悩みますよね。そこで、この悩みを解決できるアサーティンブコミュニケーションの方法の1つであるDESC法をご紹介します。

DESC法とは

  • Describe(事実描写)
  • Express(感情表現)
  • Specify(提案)
  • Consequences(結果の伝達)

この方法を実際に用いるとどうなるのか、具体例として私がDESC法によって成功した体験を基に説明していきます。

嫌われる覚悟が功を奏す

私は所属していたダンスサークルで広報部長を務めていました。

広報部の仕事はどれもスピードと正確さが求められるため、以下の2つを部署内のルールとして設けていました。

  1. 役割分担を明確にして自分の仕事は期限内に行うこと
  2. SNSに流す文言や動画にミスがないかまずは自分でチェックする

しかし、部署の後輩たちが自身の役割を果たさず遅れやミスが目立ち、私を含めた同期がカバーしてスピード・正確さが欠けることを防ぐ状況が続きました。

この状況に課題感を持っていた私は、期限を守ることや誤字脱字をチェックすることを定期的に注意していました。しかし、状況はなかなか改善されないままでした。

今まで部署の雰囲気を重視していた私は、メンバーに対する自分の甘さがかえって仕事がしづらく不満が溜まってしまう部署環境を作っていることに気づきました。

そこで、自分が嫌われてしまうかもしれないという覚悟を持って、後輩たちに次のことを伝える決意をしました。

  1. 広報部は活動を応援してくださる方々に唯一情報を届ける架け橋であるにも関わらず、責任感が不足していて遅れやミスが多すぎること(事実描写)
  2. お客さんにも練習を頑張る他のメンバーにも失礼だと私たちが怒りを感じていて、ルールを守って欲しいこと(感情表現)
  3. 忙しい時はあらかじめメンバー全員に共有して、お互いにカバーする体制を整えること(提案)
  4. 当事者意識を持って動くことで、未来の広報部を背負っていけるように成長する(提案の結果)

その結果、後輩たちは自分たちの状況を自覚し、責任を持ってルールをしっかり守るように行動が変化しました。またそれだけでなく、1年以上経ってから後輩が心に響いたエピソードとしてこの事例をブログに書いてくれたそうです。

当時は何も知らずに行っていましたが、今振り返ってみるとまさにDESC法に則ったアサーティブコミュニケーションでマイナスもはっきり伝えたことが功を奏したと思います。

本当の誠実さとは

今回は、一見マイナスだと感じる怒りの感情や相手にとって耳の痛い事実でも、アサーティブコミュニケーションを用いて相手に伝えることでプラスに作用する場合があることをお伝えしました。すなわち、DESC法の”Describe”と”Express” を恐れずにするということです。マイナスなことを伝えることは、自分の心も痛みますし勇気がいることだと思います。しかし、これは相手に誠実に向き合っている証拠です。相手に好かれようとせず、相手にも自分の気持ちにも誠実であるべく是非アサーティブコミュニケーションを意識してみてください。

これから研修を受ける方々へ

この研修は、組織で活動する中でコミュニケーションという側面で困った経験がある方々にオススメしたいです。おそらく大半の方が当てはまるのではないでしょうか。研修中、インプットしたことをすぐにロールプレイングでアウトプットして評価してもらうことで、頭では理解していたつもりでも実践できていない部分があることを実感することができます。そのため、実際組織での活動に落とし込む際に、特に自分は何を意識すべきかを明確にして臨むことができます。学生のうちにコミュニケーションについて学び、クラス・サークル・アルバイトなどで実践することで、今後の社会人生活で大きく役立てることができると感じます。

研修で学んだこと

  • アサーティブコミュニケーションとは、自分も相手も大切にするコミュニケーション
  • アサーティブコミュニケーションによってアグレッシブな相手とも冷静に話すことができる
  • DESC法を心がけると、他者との関わり方がアサーティブになる
  • 相手に好かれようとせず、耳の痛いことも誠実に言うことが重要

この記事の著者/編集者

星野歩華 早稲田大学 文化構想学部  

早稲田大学文化構想学部複合文化論系所属。
大学1年次から3年次まで、下駄を履いて踊るという唯一無二のパフォーマンスをするダンスサークルの活動に熱中。広報部長を務め、コロナ禍だからこそできる新たなパフォーマンスを企画・発信した。
現在はキャリア支援団体にて1学年下の就活生の支援をしつつ、一緒に活動するメンターたちが一人前になれるようサポートを行っていくエントランス・育成に携わるセクションのリーダーを務めている。

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