不確定要素に惑わされず計画をたてるために

今月の研修:プロジェクトマネジメント(基礎1)

皆さんは過去にプロジェクトに関わったことがあるでしょうか?プロジェクトとは判断・決断を繰り返すことで不確実性を小さくし、独自の活動を期限内に実施する業務です。学園祭や、サークル内のイベントを企画することもプロジェクトの一種です。

不確実な要素があるという理由でプロジェクトを実施しないことは、プロジェクトの本質を理解出来ていないと言えるでしょう。今までになかった物事を生み出すのですから、不確実な要素が存在して当然です。実際は、不確実な要素に対応できるようプロジェクトマネジメントを行うことが大切になります。

不確実性とどう向き合うか

不確実性とは何でしょうか?簡単に表現すると、プロジェクトの持つ「何が起こるか分からない性質」のことです。プロジェクトとは独自性を持つものです。そのため、必ず前例のない、経験したことがない要素が存在します。それこそがプロジェクトの持つ不確実性です。

例えば、大学生向けの就活イベントを企画するのであれば、どの程度の学生・企業がイベントに参加してくれるのかなどが不確実な要素となります。

このような不確実性と適切に共存することでプロジェクトを進めることができます。主な対応方法は以下の3つがあります。

  • 計画をたてることにより不確実性そのものを小さくする
  • 問題発生時に対応できるようバッファを用意する
  • 計画を進めながら不確実性を徐々に小さくする

この3つの要素はどれもが大切であり、1つのみを極めるのではなく3つの要素をバランスよく実施することが大切です。

その中でも準備段階で最も時間を割くことになるであろう、「計画をたてることにより不確実性そのものを小さくする」ことについて扱いたいと思います。不確実性そのものを小さくするためにはプロジェクトに充てることのできる人員数、使える資源の種類と量などの判断材料を集める必要があります。また、プロジェクトの目的をしっかり意識することで、不確実性に惑わされずブレることのない計画作成が実現できるでしょう。

私の体験

私が不確実性と向き合いながら実施した活動をご紹介します。

私の所属するバドミントンサークルでは定期的にバドミントンの練習イベントを開催しています。普段の練習では試合をするだけなのですが、練習イベントでは基本動作の確認など普段は実施しない練習を行います。現在私はこの活動のリーダーを務めており、私の代が卒業するまでという期限内でメンバーにサークルを好きになってもらうことを目標に活動中です。目的に合わせ、毎回異なった練習会を実施しています。独自性を持ち、有期性を持つため、1つのプロジェクトだと考えることができるでしょう。

先日初心者向け練習会の練習計画を作成しました。この練習イベントの目的は「初心者のミスを減らし、経験者に対して抱く申し訳なさを軽減すること」でした。

普段の練習では初心者と経験者は同じコートに入り試合をします。経験値に差があるため仕方のないことですが、経験者に比べ初心者はミスが多くなります。そのことに申し訳なさを感じる初心者が多くいるのです。

練習計画を考える段階ではどの練習メニューが初心者にとって有効なのか、参加者がどの程度のレベルで一つひとつの練習メニューをこなせるのかが分かりません。参加するメンバーによって、練習イベントのレベルが変わり、適切な練習計画も変化するでしょう。不確実性が多い中、私たちはどのような練習計画をたてればいいのかで悩み、決められずにいました。

私たちは基本動作に関する複数の練習メニューをネットから見つけだし、それらを組み合わせて練習計画を作成しようとしました。練習メニューの有効性やおおよその初心者のレベルを調査し、判断材料を集めることで、不確実性と向き合おうとしていたのです。しかし、様々な可能性を考慮する中でいつの間にか、既存の練習メニューを如何に効率的に組み立てるか、既存の練習メニューありきで練習計画を考えるようになっていました。

本来練習計画は目的を基に作成するもの。練習計画をなかなか決められない原因は意思決定の基がずれていることにありました。

そもそもミスをする原因として、基本動作が不完全なのは当然です。より根本的な問題として、試合中の動き方が分からないのではないかと考えました。基本動作を身に付けても、試合中に動けなければミスは減りません。根本的な問題解決をするため、基本動作に加えて試合中の動き方を中心に練習することに決めました。

目的に立ちかえり、初心者のミスの原因を考えることで行うべきメニューが明らかになったのです。目的は計画を作成する際の道しるべになります。

練習イベントの目的を意識するようにしてからは無駄に悩まされることなく意思決定を行うことができました。

迷うことがあれば、目的に立ち返ることをおすすめします。不確実性に惑わされず計画をたてることが肝心です。

これから研修を受ける方々へ

今回の研修ではプロジェクトマネジメントの基礎を学びました。研修内容は「プロジェクトとは何なのか」からはじまり、プロジェクトの本質に迫っていきます。そのなかで自分自身が進めるプロジェクトを具体的にどのように進めるべきかも明確化していきます。

これはプロジェクトの本質を捉えた研修だからこそできる活動です。是非皆さんも研修に参加し、自分の参加しているプロジェクトを見直す機会を手に入れてください。今後にも大いに役立つと思います。

研修で学んだこと

  • プロジェクトの定義
  • プロジェクトの5つのプロセス
  • 不確実性との向き合い方
  • 課題ログ
  • 目的・ニーズ・成功基準の明確化
  • ニーズ調査の方法
  • 品質機能展開

この記事の著者/編集者

長谷川拓志   

東京都出身。高校時代はハンドボール部に所属していました。大学に入ってからはバドミントンサークルに所属しています。趣味はスノボや山登りなど、自然に触れながら体を動かすことです。毎回の研修で得たものを実践し、価値ある記事を作っていきます。

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