成果を導くプロジェクトマネジメント

今月の研修:PJマネジメント(基礎1)

プロジェクトの定義

皆さんは、「プロジェクト」を実行した経験はありますか。

「プロジェクト」と聞いて、「何人もの人員を集めた壮大な計画の実行」を思い浮かべ、まだ経験したことがないと思う方は、特に学生の場合、多いかもしれません。

しかし、実は、多くの方がプロジェクトとして取り組むべきものを日常から実行しているのではないでしょうか。

プロジェクト:やったことがないことを計画・実行して期限までに終わらせること

プロジェクトとは、上記のように定義することができます。

例えば、ダイエット。

「○月△日までに何キロ体重を減らす」

計画的に取り組むことで、プロジェクトとして実行することができます。

他にも、サークルの新入生歓迎活動。

おそらく、多くの団体が「○月×日までに〇人集める」という計画を立て、さまざまな施策に取り組んでいると思います。

この取り組みは「プロジェクト」として実行されていますね。

「プロジェクトは身近なものではない」と思う方も、特に学生の方だといるでしょう。でも実は、みなさんもプロジェクトとして取り組むべきことを持っているはずなのです。

このように、実は身近に存在するプロジェクト。

せっかくプロジェクトとして取り組むのであれば、成功させ、成果を生みたいですよね。

この記事では、皆さんが今実行しているプロジェクトが一歩でも成功に近づくことができるよう、プロジェクトを成功させるために重要なポイントを紹介します。


目的・目標とニーズを明確にする重要性

目的・目標

私は現在、en-courage早稲田支部というキャリア支援団体において、人事部署の責任者を務めています。人事部署では支部に所属する約100人のメンバーのモチベートを目的とし、多くのプロジェクトを実行しています。この記事においては、学生団体の人事部署の例を扱うため、以下に学生団体が持つ特徴を紹介します。

  • メンバーの加入時期がバラバラであり、一人ずつ初期研修等を行なっていく
    • そのため、新規メンバーは既存メンバーによって確立されたチームに一人ずつ加わっていく形になる
  • 活動目的や加入理由はメンバーによって異なる
    • そのため、活動のモチベーションは個人個人で異なる
  • 人事部署の活動目的は、メンバーのモチベートである

私が所属する人事部署で一つのプロジェクトを開始する際には、以下の項目を検討する必要があると考えています。

  • 目的
    • 誰のためなのか
      • 支部のメンバーの中でも新規メンバーなのか、既存のメンバーなのか。
    • 何のためなのか
      • メンバー間の交流を創出するためなのか。メンバーの組織理解を深めるためなのか。
  • 目標
    • どうなればプロジェクトは成功したといえるのか
      • 対象とするメンバーの部署ミーティング参加率が向上したら成功なのか。新規メンバーが一人でも支部内に相談できる仲間を見つけることができたら成功なのか。

上記のように、目的・目標を明確に定めておくことは、なぜプロジェクトを実行する上で重要なのでしょうか。

それは、目的・目標を明確に定めなければプロジェクトの範囲はひとりでに広がる傾向にあるからです。

以前、私の部署では目的・目標を定めず、「部署としてやりたいこと」「提供したい価値」を基準にプロジェクトを走らせてしまったことがありました。

その際、「やりたいこと」ベースに次々に施策が生まれてくることから、多くの施策を打つことができた一方、最後までやりきれず中途半端に終わってしまう施策が出てきたり、プロジェクトの成功失敗を判断できずに終わってしまうことがありました。

目的・目標に沿った施策が多く出てくる分には、複数の選択肢から最適な施策を選ぶことができます。また、複数の施策を組み合わせることでより価値を高めることができるかもしれません。このような合理的な広がりには積極的に対応すべきです。

しかし、目的・目標が明確でなく、無秩序に広がってしまうと、本来生み出したい価値を高い水準で提供することは難しくなります。また、客観的に成功を判断することができず、十分な振り返りもできないでしょう。このような無秩序な広がりには建設的な防衛策を練ることが必要です。

目的・目標とニーズを一致させる

プロジェクトの目的・目標とニーズが一致していなければ、プロジェクトを成功に導くことはできません。そして、ニーズを正しく把握できていなければ目的・目標は本来あるべきものと異なってしまいます。

例えば、私が所属しているen-courageの人事部署において「新規メンバー間の交流を創出する」という目的を掲げ、「直近に加わったメンバーの8割が支部イベントに参加する」といった目標を設定するとします。

しかし、対象としている支部の新規メンバーは「他のメンバーとの交流」を求めておらず、「業務の理解を深めること」を強く求めているとしましょう。

このプロジェクトは新規メンバーのニーズを満たすことができず、「直近に加わったメンバーの8割が支部イベントに参加する」といった目標を掲げたプロジェクトは失敗に終わるでしょう。

ニーズを正確に把握するためには、顧客の声をヒアリングする必要があります。

ニーズを正しくヒアリングするためには、場当たり的ではなく、事前準備が欠かせません。

  • 誰を対象とするのか
    • このプロジェクトの結果を利用するのは誰か
    • 外部顧客(プロジェクトから価値を受け取る外部の存在)は誰か
    • 内部顧客(プロジェクトから価値を受け取る内部の存在)は誰か
  • 何を聞くのか
    • 対象とするそれぞれの立場の人からどんなことを聞きたいのか
  • いつ
    • どのタイミングで聞けば最も情報が得やすいのか
  • どのように
    • ニーズ調査から得られた情報をどのように利用するのか

以上のような項目を抑え、事前準備を行うことで正確にニーズを調査することができます。正確なニーズを把握することで適切な目的・目標を設定することができ、プロジェクトは一段階成功へと近づくでしょう。

ニーズ調査

さて、皆さんは「ニーズ調査の方法」と聞いてどのようなものを思い浮かべるでしょうか。

ニーズ調査に頻繁に使用される方法の一つとして「アンケート」があると思います。

正確なニーズを調査するためには、この「アンケート」作成においても目的・目標を明確に定める必要があります。

アンケートの失敗

「新規加入メンバーが求めていることを知りたい」という目的でアンケートを取ろうとした時、「せっかくアンケートを取るならメンバー全員からアンケートを取りたい」と、対象を絞らずにアンケートを取ってしまうと、どうなるでしょうか。

アンケートの設問内容は、本来「新規加入メンバーに焦点を当てた設問」にすべきところ、既存メンターも解答できるよう、回答に幅を持たせられるような設問になってしまうでしょう。

集まる結果は、既存メンバーと新規加入メンバーどちらからも回答が集まり、適切にアンケート結果を活用することができなくなるでしょう。

また、新規メンバーの回答のみを優先してしまうと、既存メンバーの回答は活用されなくなり、既存メンバーのプロジェクトに対する共感は得にくくなってしまいます。

このように、アンケートの目的・目標をプロジェクトの目的・目標から広げてしまうと、正しくニーズ調査を行うことが難しくなります。また、プロジェクトの範囲は自然と広がってしまうでしょう。

アンケート調査は正しく用いることができれば効果的なニーズ調査の手段となりますが、事前準備や設計を怠ってしまったり、「知りたい」ベースで作ってしまうと、プロジェクトを成功から遠ざける手段にもなってしまいます。

また、アンケートは「欲しい結果」を操作することもできてしいます。

例えば、商品や施策の「プロモーション」をしたい場合は、アンケートで「よかった点」を記入してもらいます。アンケートの回答者は「よかった点」を想起しながら回答するため、「プロモーション」につながるでしょう。

商品や施策の「不平不満」を呼びたい場合は「悪かった点」を記入してもらいます。アンケートの回答者は「悪かった点」を書こうとするため、「マイナスイメージ」を付けることができます。

上記の「欲しい結果」を集めるアンケートはニーズ調査にはなりません。

ニーズを調査するときには、目的・目標が明確化されており、プロジェクトと一致している必要があります。

研修を受ける方々へ

皆さんの身の回りにあるプロジェクト。

実行するための準備はできそうでしょうか。

プロジェクトを成功に導くためには目的・目標の設定、そして正しくニーズを調査することが重要です。

みなさんが目標達成に向かって一歩踏み出すことを応援しています!!

研修で学んだこと

  • プロジェクトとは、やったことがないことを計画・実行して期限までに終わらせること
  • 目的・ニーズ・成功基準がプロジェクトの範囲を決める
  • プロジェクトの範囲はひとりでに広がる傾向がある
    • 合理的な広がりには積極的に対応
    • 無秩序な広がりには建設的な防衛策
  • ニーズ調査は場当たり的ではなく、「準備して」から調査
  • メインターゲットとなる人は全体の2割である
    • 質問を考える段階で、必要な情報が聞き出せる機会があるのなら活用する
    • 聞きたい情報を聞き出すための準備を怠らない、念入りにすることが大切。顧客の共感を得るためにも必要
  • アンケート調査は簡単にプロジェクトや人を潰すことができてしまう
  • アンケートの設問によって意図的に印象を与えることができる

この記事の著者/編集者

川村杏   

早稲田大学商学部の4年生。
"新たな価値観を知りたい"という思いのもと、幼少期から多くの挑戦を重ねてきた。
大学時代は様々な方法で将来の進路に悩む中高生のサポートに力を入れてきた。大学4年時は自らができる価値提供先を増やしたいと考え、キャリア支援団体にて就活生の自立支援をおこなっている。団体においては人事部署のリーダーを務め、組織力の向上を目指している。

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