優先順位とスケジュール管理で「緊急中毒」から抜け出す

今月の研修:社会人の持つべき習慣(基礎1)

自己マネジメントの習慣と4つの領域

4つの領域

第1領域には締め切り時間や納期が追っていて、遅れることのできない仕事や、クレームや問題が発生して即対応が必要な仕事。必ず今行わなければならない仕事が当てはまります。

第2領域は特に時間が迫っているわけではなくとも、自分にとって重要な仕事を指します。来期の計画作りや品質管理の制度づくりなど問題を事前に防ぐ準備、計画などの仕事。またはスキルアップのための勉強などがこれに当ります。

第3領域は重要性はなくとも、とにかく時間が決まっている仕事です。定例ミーティングのための資料や、突然の来訪、飛び込んでくる様々な情報や仕事を指します。

第4領域は重要度も低いが緊急性も低いことが当てはまります。無意味な電話やEメール、仲間との無駄話などやるだけ無駄な仕事を指します。

緊急中毒とその対処

緊急中毒とは第1領域にとどまり、ずっと目の前の仕事で手いっぱいになってしまうことです。加えて、この忙しい状態により発生するアドレナリンで中毒を起こしてしまう症状です。

例えば、日中は目の前の忙しい仕事に手一杯になり、それをなんとかこなしたとします。仕事をやりきったことでアドレナリンが出て「自分はやり遂げることができた」と満足します。ところが家に帰ってきてからの時間、その満足感からテレビ、スマホを見てしまい、気づいたら就寝時間に。そして翌日からまた仕事に追われる、と言うような負のサイクルを繰り返してしまうケースが挙げられます。

加えて、この緊急中毒は「忙しいだけで効果が上がらない状態」を作り出してしまいます。

緊急中毒から抜け出すにはどのようにしたらよいでしょうか?

目の前のことで手一杯になる前に「備え」をすることです。この備えは第2領域へ焦点を当てることで可能になります。計画や準備をすることで、根本的に「目の前の仕事で手一杯な状態」から脱却できます。第1領域がスケジューリング不可能な仕事であるのに対し、第2領域はスケジューリングが可能です。

過去の自分を振り返って

忙しい状態に依存していた5・6月

実は私も去年の就活繁忙期、この「緊急中毒」に陥ってしまっていました。その状況をここで記すとともに、当時、自分がどうすれば良かったかも含めて書きたいと思います。

3年生の5・6月は私にとってとても忙しい時期でした。なぜなら、サマーインターンの申し込みに並行して、アルバイト・サークル・エンカレッジの活動・A&PROの活動・大学の講義など、様々なことに取り組まなければいけなかったためです。

当時の私は、目の前のことに手一杯になってしまい、「緊急中毒」にも陥ってしまっていました。インターンのESの締め切りに意識が向きすぎて大学の課題を出し忘れてしまったり、エンカレッジの仕事にも支障が出てしまっていました。逆も然り、大学のレポートに意識が集中したことで参加したいインターンの申し込み締め切りを過ぎてしまうこともありました。そのような状況であったにもかかわらず、「忙しい自分」にどこか満足感を覚えていました。

今考える対処法

では私はこの時どう対処すれば良かったのでしょうか?振り返りも兼ねて考えたいと思います。

前の章でも書きましたが、第2領域に目を向けることで忙しい状態からの脱却を図る必要があったと思います。では、5・6月の状況でいう第2領域とはどんなことでしょうか?何をどう計画・準備する必要があったのでしょうか?研修を受けた私が、当時の私にアドバイスしたいことを以下に2つ挙げて書きます。

1.物事の優先順位を明確化
2.to doリストで終わらせず、具体的な時間まで落とし込むスケジューリング

1.物事の優先順位を明確化

様々なことに取り組んでいた私ですが、そもそも当時の私のキャパシティを超えてしまっていました。例えば、以下のように優先順位をつけて取り組めば、取り組むべきことが減り、効率が上がると考えました、

第1群=調整が不可能且つ、最も重要なもの
・就職活動(サマーインターンの申し込み・選考)
・大学の講義(授業の出席・小課題の提出)
第2群=一部調整が可能且つ、重要度が高いもの
・A&PRO(ビジネス基礎研修・記事執筆)
・エンカレッジ(チームリーダー)
第3群=調整が可能且つ、他のものに比べて重要度が低いもの
・サークル
・アルバイト

第1群は今まで通りこなします。第2群は重要度が高いことには変わりませんが、自分から主体的に相談・行動をすればをすれば、緩和されるものであったと考えます。

例えば、A&PROの記事執筆では、事前に記事を書き貯めしておけば、当月の記事に回せるという制度があります。これを活用することで、就活・大学の繁忙期とのバッティングは避けられたと思います。エンカレッジの活動も、自分が積極的にプレーヤーとして動くのではなく、もっとチームメンバーを頼り、そのサポーターに回ることができたかもしれません。

第3群について(当時は)重要度が低いと考えました。アルバイトも事前に相談、または有給申請をすればバッティングは回避できました。サークルも、私は役職にはついていないので無理に行く必要はありませんでした。

2.to doリストで終わらせず、具体的な時間まで落とし込むスケジューリング

当時、私はto do リストなるものをスマホのメモ欄などに作っていました。しかしそれも今ではあまり効果的でなかったと感じています。なぜなら、具体的な時間まで落とし込んだものではなく、ただやる事を書き連ねただけで、どう消化するか考えられていなかったためです。書いたことに満足してしまう他、余計に圧迫感を感じてしまうため、むしろ逆効果であったとも言えます。

例えば、googleカレンダーなどに何日の何時〜何時まで時間をとって何に当てるか書いておけば改善していたと思います。こうすることで、計画を持って行動することができ、余計な圧迫感を感じることなく、物事に集中して取り組むことができます。

最後に

今回の記事では、研修で学んだ「社会人の持つべき習慣」から「重要事項を優先する」と言うテーマに焦点を絞って書きました。繁忙期の振り返りの形として書きましたが、もちろん社会人になってからは学生時代とは比べ物にならないほど忙しくなると思います。来るときに備えて、改めて学生のうちから準備したいと思いました。

これから研修を受ける方へ

今回の研修もインプットとグループワークを繰り返しながら、学びを深めました。社会人になるにあたって必要な習慣を学生のうちから学ぶことができる大変貴重な機会でした。社会人の方だけでなく、社会人に向けて準備したい学生の方にもお勧めできる内容となっています。

研修で学んだこと

・大きな変革はパラダイムの転換によって実現される。
問題が生じたとき、結果に対して行動・システムプロセスから見直すのではなく、そもそものニーズから物事を転換して考える。
・良い・悪いは別として、依存するメンバーでは、強いチームが作れない。
段階として依存→自立・自律→相互協力・相乗効果
・インサイド・アウトの組織改革
環境のせいにするのではなく、状況を変えるには個人から組織へ働きかけなければいけない。
・第一の習慣「主体性を発揮する」
刺激→選択の自由→反応
刺激から反応にすぐ持っていくのではなく、洗濯を挟むことが重要
・関心のわをただ広げて評論家になるのではなく、影響の輪を広げる必要がある。
・知的創造と物的創造
知的創造は物事を計画立てる。
物的創造は実行のプロセス
・マネジメントとリーダーシップ
梯子をかけ直すのがリーダーシップ梯子を早く登るようにするのはマネジメント。
・重要事項を優先する
緊急性と重要性の2軸で考えて優先順位をつける。
一番重要なのはIIの領域。(緊急でなく、重要)
Ⅰ(緊急度高く、重要である仕事)の中毒症状にならないよう注意が必要。

この記事の著者/編集者

小川勇 早稲田大学 政治経済学部  

サークルの後輩や同期のキャリアの関心度が低いことを課題に感じ、それを変えるべくキャリア支援NPO法人『エンカレッジ』に加入。現在は1・2年生に向けてオンラインイベントを通してキャリア支援を行なっている。加えて、長期インターンの分野で学生と企業のマッチング事業の立ち上げのリーダーとしても活動している。

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