無形商材の工数を削減しよう

今月の研修:サービス理論(基礎1)

世の中の商材というのは有形商材と無形商材の2つに大別されます。

この記事では広義で考えて、有形商材を「形が変わらない商材」、無形商材を「形を変えられる商材」と定義します。

(そのためここでは動画コンテンツを手に取ったり触ったりはできなくても形が変わらないため有形商材として考えます)

有形商材と無形商材にはそれぞれ長所と短所があり、それらを理解することがより優れたサービスを生み出すことにつながります。

無形商材の特徴

無形商材は無形性、非分離性、変動性、即時性の4つの特徴があります。

無形商材は顧客に合わせて柔軟に形を変えられるという長所がある一方、品質管理が難しく、提供者によってサービス品質が変化し、提供できるサービス量に限界があるという短所もあるのです。

工数の多い無形商材

形を決めるところから始まるため、無形商材を1から作って提供するとなると多くの工数がかかります。

では無形商材の「顧客ごとに形を柔軟に変えられる」という長所を損なうことなく効率よくサービスを提供するためにはどうしたらよいのか。

私の実践例と紐付けながら、上述の課題を解決する2つの方法について紹介します。

方法①:「有形商材化」「個別対応」

1つ目の方法は無形商材を有形商材に変え、必要に応じてミニマムに顧客ごとのアプローチをとるという方法です。

業務説明を動画で撮影して工数を削減

私はメンバーに対して業務内容を説明をする際に「有形商材化」「個別対応」を活用することで質を損なうことなく、自身の工数を減らすことに成功しました。

私が所属する学生団体の中で、時には10人以上に対して同じ説明をそれぞれ日程を調節して説明する必要があります。

そこで私の部署では、業務内容の説明動画を作成し(有形商材化)質問があれば個別に答える(個別対応)ようにしました。

すると、1回の動画撮影によって何十人にも対応できるようになりました。更に、全員が同じ動画を見るため説明の漏れがなく、言った言わないの議論が起こることもありませんでした。

このように、無形商材の内容がほぼ同じなのであれば、無形商材に拘らずに有形商材として残す方がよっぽど効率的なのです。

方法②:「モジュール化」

2つ目の方法は小さく作っておいた有形商材を部品のように見立て、それらの部品を顧客に応じて組み合わせることで1つの無形商材を作り出すという方法です。

(モジュール部品=いくつかの部品を機能や部位に応じてひとつにまとめた組立て品)

よくある質問を組み合わせて面談を最適化

私は面談を通じて後輩の就活支援をしています。

その際にこのようなことをよく言われます。

「中都さんって質問するとぴったりの回答が返ってきてすごいです!!」
「中都さんと話すと必ず疑問が解消されます!!」
(※本当に嬉しい限りです、、、)

しかしこの面談を行う上で後輩の悩みを事前に聞き、答えを用意していたわけではありません。

就活軸の見つけ方ガクチカの作り方就活の全体感など、よくある質問に対しての答えを作っておき、それらを面談内で適切なタイミングで組み合わせて披露しているだけなのです(笑)

もちろん対応できない質問もありますが、その際は後でじっくり答えを考えてモジュールとして自分の持ち札にするだけで、以降は対応が可能になります。

このように、顕在ニーズがあるものに対してモジュールを作り、それらを組み替えることで顧客のニーズに刺さるサービスを簡単に作ることができるのです。

一つ一つの歯車がモジュール。それらを組み替えることでさまざまなメカを作ることができる。

終わりに

無形商材は顧客にカスタマイズして最適化することができますが、ビジネスにはコストというものも切り離せない関係にあります。有形商材と無形商材で切り分けるのではなく、「ここからここまでは有形商材、その先は無形商材」というようにバランスよく組み合わせるところにビジネスチャンスがあるのかもしれません。

これから研修を受ける方々へ

A&PROでは社会人になっても役立つ研修を行っています。私自身も今回の研修で無形商材への見え方がとてもクリアになりました。また、自身が行っているプロジェクトの話に落とし込むことでより実践的にこれらのスキルを学ぶことができます。そのため、学生のうちから社会人として活躍するスキルを身につけたい方にぜひおすすめしたい研修です。

研修で学んだこと

  • 有形商材と無形商材の違い
    有形商材と無形商材ではそれぞれメリット・デメリットが存在する。特に無形商材での4つの特徴を踏まえ、無形商材ならではの柔軟性を意識し、より顧客に深い価値を与えられるようにする。
  • サービス品質は思いつきで測れない
    サービス品質の良し悪しは戦略的に考える必要がある。サービス品質をあげる要因は何か事前に考え、どこに注力するのか狙いを定めた後にそれを図る指標は何か考える。

この記事の著者/編集者

中都智仁 早稲田大学 教育学部数学科 

早稲田大学在籍。サークルとバイトだけの大学生生活を送っていたが、コロナ禍になり自分のキャリアを見つめ直し、ビジネススクールに入校。
『もっと早くからキャリアを考えればよかった』という後悔からキャリア支援団体のen-courageで早稲田生のキャリア支援をしている。1、2年生向けのイベントを企画する部署のリーダーを務めたり、メンバー採用の最終フェーズの担当者を務めたりしていた。
メンバーの成長を促進する一流のリーダーになるべく、リーダーズカレッジに参画。

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