とある喫茶店に見た"無形サービスの変動性の克服"

今月のテーマ:サービス理論(基礎1)

今回の研修では、無形サービスの特徴、そしてサービス品質の決定要因について学びました。本記事では、とある喫茶店で私が体験したサービス理論に関するエピソードを深掘りしていきます。

読者の皆さんも是非、過去に受けた良いサービスを思い出してみてください。そして、その経験を本記事で説明する無形サービスの特徴と照らし合わせてみてください。きっと、経験に合致する特徴が見つかり、ご自身が提供するサービスにも活かすことができるでしょう。

とある喫茶店にて......

先日、映画館へ行く前に時間があったので、とある喫茶店に入りました。私はそのお店のことを全く知らず、ただ映画館の近くにあったからという程度の理由で入ったのですが、単なる暇つぶし以上の価値があるお店だったのです。

初めに深く一礼があり、その後私の目を見ての「いらっしゃいませ」。その瞬間、私は「あ、ここは高品質なお店かも」と感じました。席に案内されてメニュー表を開くと、案の定価格は4桁。「きっとかなり美味しいんだろう」と期待して、カフェラテを注文しようと辺りを見回すと、先ほどの店員さんとは別の方と一瞬だけ目が合いました。私は手も挙げず、声も出さなかったのに、その店員さんは「お伺いします」と注文を取ってくれました。

届いたカフェラテは当然美味しく、思いがけずリッチで満足な暇つぶしができました。

無形サービスの特徴とサービス品質の決定要因

さて、この喫茶店でのエピソードを深掘りする前に今回の研修内容をご紹介します。

無形サービスとは、基本的に無形かつ所有の対象とならないものを提供する活動のことです。そして、無形サービスの特徴は以下の4つです。

  • 無形性(サービスは目に見えない)
  • 非分離性(サービスは生産と消費が同時)
  • 変動性(サービスは提供者、時間、場所によって大きく左右される)
  • 即時性(サービスの在庫を持てない)

また、サービスの品質がどのように決定されるかの要因は以下の7つです。

  • 信頼性(約束したサービスを正確に提供できること)
  • 反応性(顧客の求めに積極的かつ迅速に対応できること)
  • 確信性(サービスの質に関する確信を印象付けられること)
  • 共感性(顧客の気持ちを理解し、共に解決しようとすること)
  • コミュニケーション(顧客がわかる言葉で正確に説明すること)
  • 安全性(サービスが安全であること)
  • 物的要素(サービスのクオリティが正確に形として現れること)
cafe

私は先日訪れた喫茶店のサービスの中に、これらのポイントのいくつかを見出しました。

確信性

お店に入った瞬間の挨拶で、私はこのお店のサービスが高品質であることを確信しました。丁寧な分離礼が私のお店に対する期待を大きく膨らませたのです。

反応性

案内してくれた店員さんとは別の方が、私と一瞬目が合っただけでオーダーを取ってほしいことを感じ取ってくれました。まさに私の求めに対して積極的かつ迅速に対応してくれたと言えるでしょう。

変動性

挨拶や注文取りは無形サービスと言えます。つまり、その品質は提供者によって左右され得るのです。しかしこのお店では、出迎えてくれた店員さんだけでなく、オーダーを取ってくれた店員さん、カフェラテを運んできてくれた店員さん、会計してくれた店員さんが丁寧に接客してくださり、無形サービスの変動性を克服していました。この点が最も感動したことかもしれません。

service

私の活動

私はA&PROにおいて、自身がリーダーとして成長すると共に、メンバーをリーダーとして育成させるプロジェクトを行なっています。

先日訪れた喫茶店から最も見習いたいのは「変動性の克服」です。メンバー全員がどこの組織へ行っても恥ずかしくない、ひいてはどこの組織でも誇れるリーダーとなるためには、メンバーによってリーダーシップの質(レベル)に違いがあるのは望ましくありません。メンバーがいずれリーダーとなった時に発揮されるリーダーシップを無形サービスと捉えるなら、その質を高く保つことが「変動性の克服」となります。

A&PROのビジネス基礎研修での学びを徹底すること。それがリーダーシップの質を高く保つための最優先事項だと思います。例えば、プロジェクト内ではメンバー間で度々意見が異なることがありますが、ビジネス基礎研修で学んだアサーティブコミュニケーションを取り入れることでこの対立は解決できます。表面上の議論をするのではなくお互いの真の欲求にフォーカスすることで、双方が納得できる解決策に辿り着けるのです。

まずはリーダーである私がそのような姿勢を示し続けていこうと思います。

これから研修を受ける方々へ

皆さんは自身が関わる無形サービスの長所をどう生かし、短所をどう克服できるでしょうか。A&PROには多様な出自をもつメンバーが集まるため、さまざまな視点から無形サービスについて議論することができます。また、議論に留まらず、具体的に何ができるかというレベルまで落とし込むため、実践に直結します。ぜひ、実践レベルで無形サービスについて考えてみましょう!

研修で学んだこと

  • 変動性を克服するための人財育成にはサービス方針と照らした精査が必要。
  • 非分離性の強みは消費行動に応じて生産行動を変えられること。
  • 顧客に選択を任せる時ほど、説得力のある提案を準備する。

この記事の著者/編集者

藤原穫   

秋田県出身。高校時代は強豪校でバドミントンをしていました。大学に入ってからは民族舞踊に励み、修士2年になった現在は薬物動態の研究をしています。趣味は旅行。死ぬまでにすべての温泉地を回りたいと思っています。これまで複数の組織で培ってきたリーダーシップに磨きをかけるべく、A&PROでの研修に励んでいます。

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