連載ビジネス基礎研修 -実体験に結びつける-

自分と組織を高めるためには、判断力を磨き続けること

その行動の判断材料は手元にありますか?

今回の研修では、「責任・権限・義務」というテーマで、大きく分けて以下2つのことを学びました。

①責任・権限・義務の言葉の意味とそれぞれの関連

②組織に求められる人財

①責任・権限・義務の言葉の意味とそれぞれの関連

まず責任は持つ/全うするものであるということがポイントです。自分の持った仕事に対して、先々を想定し、対応できる必要があるということです。しかし仕事をしていると、想定外のことも起こり得ます。想定外を減らす方法は様々ありますが、想定内を広げていくこともその一つですね。このように見ていくと、責任を全うできる人には、仕事を任せられそうですね。

次に、責任を全うする上で、必要なものがあります。それが権限です。例えばシェフという仕事(責任)を持ったら、包丁を使うこと(権限)が必要だということです。ここで忘れてはならないのが、誰から権限を移譲されるか?を考えることです。シェフの例では、シェフ長やオーナーである可能性がありますね。これを考える理由としては、権限を移譲された相手に対して義務が発生するからです。このように、義務は権限と対として用います。シェフの例では、包丁を使う権限をもらったら、包丁の安全管理の義務が発生するということです。

以上のように責任・権限・義務を合理的に設計し、自ら義務を提案することで権限をかき集められそうですね。しかし、「わかる」ことと「できる」ことは違います。ここで実際に仕事をする際を考えてみましょう。責任・権限・義務を意識したら、次は行動に移しますよね。その行動、正しい判断に基づいていますか?

②組織に求められる人財

人材は聞き覚えのある方も多いかと思いますが、人財とは何でしょうか。

A&PROは、人財を「判断力(考える力)と決断力(行動力)がある人」と定義します。

ほかに3つの「じんざい」があります。

人材:判断力はあるが決断力がない(考えてはいるが動けない)

人在:判断力がなく決断力もない

人罪:判断力はないが決断力がある(行動するが考えが浅い)

ここでの重要な気づきは、組織にとって一番困るのが、人罪(判断力がないまま決断してしまう人)だということです。そのような人は組織にとって罪であるということに気づかされました。

誤解を避けるために断っておきますが、「組織にとって一番困るのは、判断力がないまま決断してしまう人」という記述については、その人自体を否定しているのではなく、ある場面における行動について述べています。例をあげると、国民的アニメの主人公「アンパンマン」が否定しているのは「バイキンマンの行為」であって「バイキンマン自体ではない」ということです。

人罪となってしまいそうな相手に対しては、判断力を磨かせることが必要です。また、現在判断力/決断力があると考えている人も、「自分はできる」と能力に安住してはいけないということです。一人の小さな決断が、周囲の状況を大きく左右することを忘れてはいけません。よって私たちは、常に判断力を磨いていかなければなりません。

この研修を受けた後、私自身の過去を振り返り、人罪となっていた局面が多々あったと反省しました。そのような「人罪としての私」の経験の中から一つを選び、人罪についての具体例として書いていきます。また、それが責任・権限・義務とどのように結びつくかについても記述します。

私は高校時代バレーボール部に所属していました。私が人罪となってしまった、つまり判断力がないまま行動してしまったのは、先輩の引退試合でした。私はセッターというボールを繋ぐ役割をする司令塔のような存在でした。試合中に足がつってしまったのですが、選手交代の打診を断りました。他に任せられる人もいないと思ったし、私の体はまだ持つと過信したためです。この行動こそが人罪そのものでした。その後、あと一点取られたら負けというタイミングで私のサーブ順が回って来ました。そこでサーブを打った瞬間、反対の足までも攣ってしまい、身動きが取れなくなってしまいました。結局、チームから突然セッターが消える、という想定外の出来事に対応しきれず負けてしまいました。

当時の私は、本質的な問題や原因を分析できていたわけではなく、悔しさのような漠然としたものだけが自分の心を渦巻いていたことを覚えています。A&PROの研修を受け、この出来事を改めて振り返って初めて、当時の私の問題点は一回の判断ミスではなく、判断力の欠如にあると考えるようになりました。また、これまでその問題の本質を見抜けなかったために対策を打てず、現在も判断力が足りないまま行動をしているのではないかと仮説を立てました。

ではこの問題に対処し、人財へと変わっていくためには何が必要でしょうか。結論を述べると、まずは目標設定と動機を明確にすることが必要です。そもそも問題意識というのは目標に対するギャップによって生じるものだからです。加えて、A&PROでは「目的・目標とモチベーションを結びつける」ことを大切にしています。内発的な動機に基づく目標であれば、達成が難しい場合も建設的なアイディアを出し目標達成に向かうことができると考えるからです。

私が目標にしたいのは、人財です。バレーボールの試合であれば、判断の材料(自身のコンディションや試合の状況)を揃えた上で、セッターとして何をすべきか判断し実行する力と言い換えられるでしょう。その目標の動機としてあるのは、チーム/組織にWIN(価値)を生みたいということです。バレーボールなら、勝利に貢献したいと言えます。

目標と動機、そして問題とのギャップが明確になりました。では原因はなんでしょうか。私はそれが、責任・権限・義務を意識していないことだと、A&PROでの研修を経て考えるようになりました。仕事や役割を自分の中で整理しておくことが、判断材料を集めていることになり、結果として正しい判断に結びつくからです。セッターであれば、責任は勝利に導くことがあり、権限はその背番号をつけてセッターとして出場し、誰にトスをあげるか判断できることがあります。またその権限は、キャプテンおよび監督から移譲されています。義務としては、信頼関係の構築や試合相手の分析などが挙げられます。これらを合理的に設計せず、普段から意識して対策を打ってこなかっために、あの試合状況を作ってしまったと考えました。設計していたならば、それに対して事前に対応しておくことも可能だったでしょう。対応策の一例としては、「勝利に導く」という責任に対して、自身のスキル強化だけでなくセッターの後輩育成等があると思います。

よって、人財になるための初手として、責任・権限・義務を合理的に設計して明文化しようと思います。明文化する理由は、曖昧なものに対して努力するというのは難しいためです。今後A&PROで活動する上でも、これを実践することで判断材料を揃え、今後想定外のことにも対応しきれる人財になっていきたいと思います。

これから研修を受けようとしている方々へ

研修で得るのは、辞書通りの意味ではなく、実効性のある学びです。わかっている知識を使いこなし、正確に伝え、しかも相手に「できるようにさせる」というのは、とても難しく時間もかかります。知恵も必要です。しかしそこまでできるトレーニングを積んでこそ、実践に生かすことができます。そういった循環する学びをしたい方にぜひ受けていただきたい研修です。

この研修で学んだこと

  • それぞれの言葉の意味と繋がり: 
    • ①責任・権限・義務 
    • ②4つの「じんざい」(人財・人材・人在・人罪) 
    • ③判断力と決断力
  • リーダーは権限を渡したい

この記事の著者/編集者

向井七海 早稲田大学 文学部  

小学生の頃からずっと世界平和を目指しています。平和を考える中で哲学に惹かれ、高校時代ドイツに留学。そこでシリア難民に出会ったことをきっかけに、大学では中東・イスラーム研究コースに所属。多文化や教育を学びながら、「ことばや文化が異なる人々が助け合い生きる社会」を目指して活動しています。

この連載について

ビジネス基礎研修 -実体験に結びつける-

連載の詳細

頭で理解するだけでは不十分。参加者自ら実践し、習慣化するまで責任を持つ30の研修プログラム。各クライアントの課題・ニーズに合わせて個別に設計。

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