両立を目指すには、それだけの覚悟が必要
2020.12.10
今月の研修:社会人の持つべき習慣(私的成功)
チームが持つ力を最大化するとは?
共通の目的を達成するための「強い」組織を作るには、まずメンバーが「自立・自律」していることが必要。
- 自立:自身の責任の下で、与えられた仕事に取り組んでいる。
- 自律:自分自身や組織の価値観・理念に基づき、仕事そのものをより正しい方向へと進化させている。
上記の組織が目指すべき次なるフェーズが、メンバーが「相互協力・相乗効果」を生み出している状態。
- 相互協力:必要に応じ、他者の仕事を代行し合う補完的な関係
- 相乗効果:他者を巻き込むからこそ可能な新たな価値を生み出す創造的な関係
今回の研修では、まずはメンバー個人個人が「自立・自律」をしている状態を作り、さらには「相互協力・相乗効果」を生む出す状態へと進化させるためにはどんなことが必要か、研修参加者が属する組織を例にとりながら深掘りました。
「チームの力の最大化を目指す」と口で言うことは簡単です。しかし上記の考え方を知った際、私は自身が束ねるチームが「相互協力ができている状態」にあることに満足してしまっていた、と痛感しました。チームメンバー個々人の役割・ミッションを互いに巻き取り合って消化するだけでは不十分。異なる仕事を同じチームで受け持っているからこそ、さらに効果的・効率的な仕事に昇華させることはできないか。この視点が欠けていたことに気づけたことは、1つの大きな財産です。
そして、こうした相乗効果を生み出すためには、別々であったものを「両立」する必要が出てきます。以下では、この「両立」というキーワードに関連する、私自身が得た特に有意義な学びを、研修後に深めた思考と合わせお伝えしていきます。
時間的・人的な制限を取っ払い「両立」を目指す
私自身が得た学びが、「一見両立が難しそうな2つの課題に直面した際は、時間的・人的な制限を1度排除して思考することで、同時に解決できる可能性が見えてくる」ということです。
先に断りを入れますが、もちろん、どんな状況でも両立を考えるべきだ、というわけではありません。最終的にはどちらかを捨てる、という可能性も頭の片隅に置いた上で、まずは両立の可能性を模索することが、知恵のあるリーダーが真っ先に考えるべきことである、というスタンスです。
話を戻しますが、以下は、上記の学びがまさしく当てはまると感じた私自身の、現在進行形の経験です。
私は現在、学生が運営するキャリア支援団体で活動をしており、「メンター」と呼ばれる先輩が、後輩の就活・キャリア観の育成をマンツーマンでサポートするサービスを提供しています。このサービスの理念自体とても共感する点が私自身多くあります。一方で「1対1」という構造上1人1人への価値提供がブラックボックス化し、時にメンターによってサービス品質に差が出てしまう、という状態も見受けられました。
こうした課題意識を抱えていた一方、現状1対1でもうまく回っている部分にもテコ入れをすることのリスクや、改革を実行するだけの時間・人的なコストに目がいってしまい、なかなか行動に移すことが出来ていませんでした。
そんな中で今回の研修は、こうした私自身の思考を転換させてくれるものでした。1人で実行が難しいのであれば、同じ課題意識を抱えているメンバーを中心に仲間を集め、チームでこの課題に取り組む体制を整えればいい(人的資源の拡大)今年度中の完全な改革が難しくても、来年再来年まで見据えれば実現可能なのではないか(時間的資源の拡大)
現在では、メンター制度の仕組み・構造自体から見直しを図り、今の価値提供を維持しながらも、より良い形を模索・構築するための組織改編がなされ、そのチームのリーダーとしてこれからこの課題に取り組んでいく予定です。
「両立」にはリスクも伴う
そして、上記の役割を全うするにあたって常に意識すべきこと、それが「両立を目指すことには、リスクも伴う」ということだと研修後に思考を深めました。
メンター制度の仕組み・構造を見直すということは、現状の課題解決に繋がることである反面、既に一定度うまく回っている部分に、マイナスな影響を与えるリスクがあることでもあります。現状できている「ある一定の価値提供」と、うまく回っていない部分の改善、この両者のどちらも蔑ろにすることなく取り組むことが重要です。
また上記でも記載した通り、巻き込む人・投資する時間が確実に増えます。メンバーに対する適切なマネジメントができれば、それだけ成果物は大きくなります。しかしそもそもの進む方向性が間違っていたら、どれだけアウトプットを出しても無駄になってしまう、というリスクもあります。
常にチームを前進させながらも、進んでいる方向が間違っていないか、懐疑的に自分たちを見つめる視点も持ち合わせる。一度決めたGOALに向けてメンバーをマネジメントすることに終始せず、より良いGOAL設定を模索し示し続けるリーダーシップも欠かさず発揮します。
自身が講師として
話は変わりますが、今月の研修では、私自身が他の大学生メンバーに同じ研修を実施するという、新たな挑戦をしました。学んだことを第3者に伝えることは、言うまでもなく難しいことです。参加者が変わることによって違った角度からの質問がきたり、自分では疑問に感じなかった部分について疑問が投げかけられたり。
しかし裏を返せば、同じ研修内容でも、異なるメンバーと参加することでまた違った気づきや課題提起がもたらされる、とも考えられます。教える側と教えられる側という棲み分けではなく、互いに気づきを与え合うというフラットな関係・意識さえあれば、学びを何倍にも深めることができると感じた経験でした。
これから研修を受ける方々へ
上記でもお伝えした通り、本研修は参加者と講師という立場に関係なく、互いに気づきを与え合えるような内容であり、ご自身の経験に落とし込むことで具体的な学びまでかみ砕くことができます。何かを両立しようと考えたが諦めてしまった、もしくは両立に向け動いたが失敗してしまった経験はありませんか?今回の記事が、そんな経験を振り返る手助け・きっかけになれば幸いです。
研修で学んだこと
- 一番変えやすいものは、自分自身の行動
- 1メンバーとしては、様々なことに手を出す以前に、自身の責任・役割の領域で影響を出すことが必要(興味・関心を広げるのはその後)
- ビジネスでは、計画的・戦略的に負けることもある
田村稔行 早稲田大学 基幹理工学部 情報通信学科