最後まで走り抜け!モチベーションの方程式

9.最後まで成し遂げる

中途半端な仕事を拒み、期待以上の成果を上げ、信頼を積み重ねます。自己流に固執せず、業務プロセス、報連相、守破離を積極的に取り入れ、堅実・大胆にプロジェクトを成し遂げます。

何かを始めてすぐはやる気に満ち溢れていたが、途中でペースダウンし最後に帳尻を合わせる。このような経験は誰にでもあるのではないでしょうか?

このような取り組み方では最善のアウトプットに繋がらない可能性があり、あるべき姿とは言えないでしょう。

そこで今回の記事では、モチベーションの方程式をもとに、やる気を維持する方法を紹介します。

モチベーションを維持するのが苦手な方に是非読んでいただきたい内容です。

モチベーションの方程式

モチベーションの方程式は、上図のように考えられています。

目標の魅力は、何かをする際に「やりたい」と感じさせ、やる気を引き出します。例えば、好きなものを食べろと言われた場合、その行為に魅力を感じるため、やる気が損なわれることはないでしょう。

実現可能性は、何かを「やれそう」と感じることでモチベーションにつながります。マラソンでゴールが近づくと、急に気力が込み上げてくるといった場合が例として挙げられます。

危機感は、何かを「やらなきゃ」と感じた際に動機となります。例えば、提出物を、期限ギリギリになってから必死に仕上げる場合は、危機感が働いていると考えられます。

これら3つの要素が、モチベーションにつながっているのです。

やる気を持続させる方法

上記の3要素に働きかけることで、やる気を持続させることができます。

目標の魅力に関しては、インセンティブを設定することが有効です。目標を達成することで自分にご褒美を与える、もしくは、目標自体の捉え方を変えてみるのもいいかもしれません。

「この目標は自分の将来にとって○○の観点からとても重要なんだ」と目標を捉え直すことで、目標につながるでしょう。

実現可能性に関しては、マイルストーンを設定することがやる気につながります。漠然と大きな目標を掲げるだけでなく、途中過程で小目標を設定することで、「一つひとつの作業なら自分にもできそう」と感じられるのです。

危機感に関しては、目標達成にかかる時間を概算することが有効です。所要時間を把握することで、期限までの距離感がより明確になります。また、未来に目を向けることも重要です。目標を達成できなかった場合にどのような不利益を被るのかが分かると、その不利益を避けようとするモチベーションになるのです。

成功例と失敗例

以下、私がモチベーションの維持に失敗した経験と、反省を活かして成功した経験を紹介します。

今なら防げた一夜漬け

恥ずかしい話ですが、私は中高を通じてテスト勉強に一夜漬けで取り組むタイプでした。毎回のように「今回こそは余裕を持って計画的に進めよう」と2週間前から勉強を始めるのですが、三日坊主になり、結果として前日の睡眠時間を削って勉強する羽目になっていたのです。

方程式を踏まえると、3つの要素全てが不十分でした。

まず、当時の私はテスト勉強を義務として捉えていました。やらなければならないが、何のためになるのかがわからない。つまり、目標の魅力を感じられていなかったのです。日々のテスト勉強は受験勉強にも繋がるというように捉え方を変えていれば、より主体的に取り組んでいたでしょう。

また、実現可能性も十分ではありませんでした。勉強を始めた際に無理のあるスケジュールを立て、徐々に「これはできなそう」と感じ、中弛みにつながっていたのです。無理のない範囲かつより細かなマイルストーンを設定しておけば、こまめに達成感を感じ、モチベーションを維持することができたはずです。

さらに、危機感も足りていませんでした。「まだ大丈夫だろう」と勉強を先延ばしした結果、前日に膨大な量のテスト勉強を消化することになっていたのです。今思えば、おおよその所要時間と勉強可能時間を見積もり、余裕がないことを強く実感する必要がありました。

自他ともにモチベート【法人営業】

テスト勉強では途中で失速していましたが、反省を経てモチベーションの維持に成功した例を紹介します。

私は大学2年生からインターン生として、学生のキャリア支援を行うNPO法人エンカレッジに所属しています。

エンカレッジは面談やES添削などのサービスを提供していますが、以前は長期インターンに関してサポートできていない状況でした。そこで、私は3人のメンバーと協力しながら、学生に向けて長期インターンを紹介するホームページを開設しました。

私は企業向けの営業を担当していましたが、その過程では自分だけでなく、他者(営業先)もモチベートすることが求められます。そこで、どのようにモチベーションを向上・維持させたのか、対象を私と営業先に分けて説明します。

まず、私自身に関しては、活動の意義をモチベーションとしていました。そもそも、この取り組みに関わろうと思ったきっかけは、私自身が長期インターンを選ぶ際に苦労したことでした。エンカレッジにおいて長期インターンを紹介する仕組みが出来れば、私と同じような思いをする人を減らすことができると考えたのです。

このように活動の意義を言語化したことで、「やりたい」というモチベーションにつながりました。

そして、営業に取り組む過程では、週毎・月毎の目標を立ててタスクを整理することで、「やれそう」というモチベーションにつながっていました。

さらに、目標に伴い期限が決まったことで、危機感につながりました。また、当時は私が営業を成功させない限り、サービスが成立しないという状況でした。

責任のあるポジションに就き、目標を定めたことで、「やらなきゃ」というモチベーションが生まれたのです。

  • 目標の魅力
    →意義の言語化
  • 実現可能性
    →中間目標の設定
    →タスクの整理
  • 危機感
    →立場に伴う責任
    →目標に伴う期限

営業では成果が出ないことも多く、精神的に辛さを感じることも多くありました。しかし、モチベーションの3要素を活用することで、失速することなく取り組み続けることができたのです。

次に、営業先に関して、モチベーションの維持から動機づけにまで話を広げた上で整理してみます。

まず、「やりたい」に関しては、実利意義の2点から働きかけていました。エンカレッジの利用者には、キャリアへの関心が強く優秀な学生が多くいます。そこで、優秀な人材を、長期インターン生として獲得することができるという実利を提示していたのです。

また、サービス自体の意義も伝えていました。長期インターンを紹介することで、学生がキャリアを形成する過程での選択肢を増やすことができます。そのため、企業が長期インターンをHPに掲載することには、学生のキャリア形成に貢献するという意義があるのです。

これらの実利と意義を伝えることで、「やりたい」というモチベーションを引き出していました。

「やれそう」に関しては、取り組みの経緯や内情を知らない営業先にも伝わるよう、客観的に実現可能性を示す必要がありました。そこで、エンカレッジのサービスを利用する学生に対してアンケートを実施し、ニーズがどの程度あるのか、定量的に示していました。

さらに、営業先に「やらなきゃ」と思わせるため、現段階で長期インターンを掲載するからこそのメリットを説明していました。

具体的には、ホームページが開設されたばかりで掲載社数が少ないため、多くの学生からのエントリー獲得につながることを説明していました。これは掲載社数が増えていくにつれて失われるメリットであり、今「やらなきゃ」と思わせることにつながります。

このようにして営業先の動機付けに取り組んだことで、十分な数の企業に興味を持っていただき、無事サービスを開始することができました。

  • 目標の魅力
    →エンカレッジのサービスを利用する優秀な人材の獲得
    →学生のキャリア形成への貢献
  • 実現可能性
    →ニーズ調査の結果
  • 危機感
    →エントリー獲得における先行優位性

以上のように、方程式が分かっていれば、自分がモチベーションを維持する上でどの部分が不足しているのかが明確に把握できます。またそれによって、モチベーションの低下に対処しやすくなるでしょう。

おわりに

最後に、この記事の重要なポイントをまとめてみました。読者の皆さんが学びを反復し、今後の活動に役立てるために使っていただけたら幸いです。

  • モチベーション=目標の魅力×実現可能性×危機感
  • 目標の魅力=「やりたい」
    →対処法:インセンティブの設定
  • 実現可能性=「やれそう」
    →対処法:マイルストーンの設定
  • 危機感=「やらなきゃ」
    →目標達成にかかる時間の概算&未来に目を向ける

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