可能性は無限大!記憶のツボは「扁桃体」にあった!!
2018.06.15
■今月の研修■ 記憶のメカニズム
心が動いたストーリーは、脳に刻まれる。
今回の研修では、記憶のメカニズムに関する基本的な知識を全体で確認しながら、そのメカニズムの生かし方や気付きをグループワークで共有しました。私が最も重要だと感じた記憶の仕組みは「エピソード記憶」というものです。これは文字通り、ある情報を記憶する際に、それを得た時の状況やストーリーと一緒に一つのエピソードとして覚えることです。
このメカニズムは、何かを自分が覚えるときだけでなく、人に強く印象付けて覚えさせたい時にも役立ちます。例えば自己紹介で、単に名前を言うよりも、「遠藤といいます。逆から読むと『うどんえ』なので、あだ名は『うどんちゃん』です」なんて話した方が、覚えてもらえる可能性はぐっと高まるでしょう。また生徒指導の場面なら、英単語をただ暗記させるよりも、「この単語を知らないって言うのは、数学でいう三平方の定理を知らないようなものだぞ」と教えた方が、別分野の事柄や危機感と一緒に頭に入るため、記憶に定着しやすいものです。
興味深いのは、この「エピソード記憶」が長期記憶になる理由の一つとして、扁桃体の刺激が挙げられることです。つまり、喜び・悲しみ・怒り・恐怖などの感情と経験が結びつくと扁桃体が刺激され、記憶に強く残るのです。[感情+経験→扁桃体刺激→長期記憶]この仕組みを理解しておくことは、様々な場面で記憶を効果的にコントロールすることに大いに役立つと確信しています。
これから研修を受ける方々へ
「記憶力がほしい」。これは、誰しもが一度は抱いたことのある願いではないでしょうか。短時間でもっと多くのことを、長期間覚えていられる人になれたらどんなにいいだろう、と。私もそのように思うことが多々ありました。しかし今回の研修で記憶のメカニズムを学び、どうしたら長期記憶にできるのかを理解したことで、ほんの一工夫加えるだけで私たちの脳は驚くほど「言うことを聞いてくれる」と気付きました。また、長期記憶には容量の制限がないという事実を知り、私たちは記憶力がないのではなくてやり方を知らないだけだ、鍛えてコツさえつかめばいくらでも記憶できるのだと、希望を手にした気持ちになりました。
私は今、お気に入りのミュージカルである『メリーポピンズ』で出てきた、メリーポピンズの「なんでもできるのよ。自分が邪魔をしなければ。」というセリフを思い出しています。私たちは自分で「できない」と思い込んでいるだけで、本当は可能性は無限大に広がっているのです。学ぶという営みは、そのことに気付くためにあるのだと感じました。まだこの研修を受けていないあなたへのメッセージとして伝えたいことは、学ぶことでこんなに前向きになれて、こんなに目の前の可能性に気付けるようなチャンスは、この研修以外にはないだろうということです。
研修で学べた事(キーワード)
- 感覚記憶・短期記憶・長期記憶
- 陳述・非陳述記憶
- エピソード記憶
- 意味記憶
- 手続き記憶
- 記憶に関する脳の仕組み
- エビングハウスの忘却曲線と復習の関係
- 睡眠のメカニズム
- 記憶のメカニズムに基づく指導法
- 長期記憶に容量制限はない
- [長期記憶につなげる方法]
- 主体的に情報を取りに行く
- 感情と結びつける(=扁桃体刺激)
- 5W1H全てを記憶に生かす
- 過信(覚えた気になる)に気付かせる
- 情報や知識の身近さ、有用性を知る
- ストーリー性を持たせる
上野美叡