あなたの組織の「共通目標」、機能していますか?
2023.04.07
クレド6. 大変なことこそ率先して楽しむ。守るな、攻めろ!
サービス深化・成長に近道なし。大変なことこそ深化・成長のチャンス。悩みながらも楽しむことで人生が豊かになります。
「共通目標」が苦難を乗り越えるきっかけになる
突然ですが、皆さんがリーダーを務める組織にはMVVやスローガンと言ったメンバー全員が認識している「共通目標」はありますか?
そして、今その「共通目標」を何も見ずに口ずさむことができますか?うまく活用できていますか?
もし、一度決めたことがある共通目標が形骸化してあまり浸透していない場合は多くの苦悩を経験するかもしれません。
逆に、リーダーは「共通目標」を掲げることで、大変な時も全員で楽しみながら前に進めることができるのです。
もし、あなたの組織で一度でも共通目標を立てたことがあるのだとしたら、それを活用しない手はありません。
今回は、「共通目標」を掲げられなかったことによって苦労した私の実体験、そして「共通目標」を持っていたことによってその苦難を楽しんで乗り越えていた周りの良い例を通して、「共通目標」を効果的に使う方法について考えていきたいと思います。
そもそも「共通目標」が組織にない場合は、どのような目標が効果的なのか、また、共通目標をどのように立てるかについて一度考えてみましょう。
こちらの記事を参照ください。→書き上げ次第追加
「共通目標」が効力を発揮する2つの瞬間
「共通目標」とは、メンバー全員で決めた組織の目指すべき姿や果たすべき使命のことです。
「共通目標」は以下のような状況で活用できます。
- 仕事内容がメンバーのモチベーションに必ずしも沿っていない時
- 組織として勢いがなくマンネリ化しており、新しいチャレンジや価値を生み出したい時
では、それぞれのケースを考えていきましょう。
仕事内容がモチベーションに沿っていない時
人のモチベーションが上がる時は、「明確な成果が出た時」「目の前の相手からありがとうと言われた時」「周りの人と一緒に頑張っている時」など本当に人それぞれです。
しかし、仕事は必ずしもやりがいがあることだけではありません。あまり乗り気になれないことも多くあると思います。
その際に組織・メンバーを大きく前に進める力をもっているのが「組織の共通目標」なのです。
では、なぜ共通目標が効果的なのでしょうか?その理由は以下の3つが考えられます。
- メンバー全員からの意見が反映されており、メンバーが納得できると賛成した目標なためメンバーが主体的になれる
- 全員で共通目標を目指すことで組織としての団結力を生む
- 目の前の仕事をやる目的に、「自分のため」以外に「組織やチームのため」が追加される
自分個人の目標とは別に、自分が納得している組織の共通目標があれば、メンバーがその目標に向かって主体的に動くことができます。
共通目標を使ってメンバーのモチベーションを仕事に結びつけ、「やらなければならない」仕事から「やりたい」仕事に変化させましょう。
ここで、私自身の具体例とうまく共通目標を活用していたチームの具体例を振り返りながら考えてみたいと思います。
共通目標があるチームは、プロセスを楽しめる
私は、キャリア支援団体において就活生に個別面談サービスを提供しています。そこで5人チームのリーダーを務めており、就活生へのインターンの紹介数に責任を負っていました。
チームとしての紹介数を上げていくためには、地道な就活生への声掛けや案内が必要です。チーム全員でその仕事を行っていたのですが、私たちのチームには共通の目標がありませんでした。
「明確に数値を上げたい」と思っていたわけでもなく、「一定数以上こだわりを持って就活生に価値を届けたい」と思っていたわけでもありませんでした。
そのため、「就活生に声を掛ける」仕事がやらなければならない仕事になっており、数値を上げること自体がモチベーションではないメンバーにとってその仕事はとても苦しいものでした。そして、それはリーダーである私も同様でした。
しかし、「共通目標」を掲げられているチームは違いました。
あるチームは、団体の中の支部で一番の成績を取ることを目指して「支部1」という共通目標を打ち出していたため、それを目指して声掛けを行っていました。
数値を上げること自体がモチベーションではなかったメンバーも、チームで「支部1」を目指す過程の仕事として、納得感を持って声掛けに取り組めていました。
そして、そのチームは各週の進捗を楽しみながら振り返り、うまくいかない時も改善させようと常に前に進んでいくことができました。そして結果的に支部で一番の成績を残しました。
自分のモチベーションに直接的につながらない仕事でも、共通目標として全員で決めたからこそ、目の前の仕事に追われず自分がやるべき理由を見つけられるようになるのです。
メンバーのモチベーションが上がりきっていないと感じる時は、全員で決めた「共通目標」に立ち返ることで組織全体に新たなモチベーションを生み出しましょう。
新しいチャレンジを生み出したい時
また、仕事を行うにつれてその仕事自体がマンネリ化してきたり、同じようなことの繰り返しになってきたりする時に、チームとしてメンバーのやりがいやモチベーションを上げる施策を打ち出していく必要があります。
その際にも、「共通目標」を掲げることで組織を前に進めることができます。
では、なぜ共通目標が効果的なのでしょうか?その理由は以下の3つが考えられます。
- 共通目標が全員が納得できる基準になるため、施策の方向性を定めやすい
- 共通目標として常に意識しているためアイディアが出しやすく、メンバーが主体的になれる
- 多くのアイディアの中から取り掛かるべき優先順位を決められる
ここでも、私自身の失敗例とうまく共通目標を活用していたチームの具体例を振り返りながら考えてみたいと思います。
共通目標があるチームは、真っ直ぐに前に進んでいける
私のチームは明確な共通目標を掲げられませんでした。そのため、新しい施策を打ち出すための問いかけが「何かやりたいことない?」と言った抽象的なものになってしまいました。
その結果、「関係性を深めるもの」「成果を上げるもの」などメンバーそれぞれのモチベーションに合ったものが出てきてしまい、方向性がバラバラで何を基準にして決めたら良いのか・何を優先するべきなのかがわかりませんでした。
しかし、「圧倒的な就活生ファースト」という共通目標を持っていたチームは、その共通目標を基準にメンバーからアイディアを募ることができていました。
そして、就活生の現状の課題を振り返った上で新しい就活生向けの選考対策集などを作ったり、チームでイベントを開催したりと新しい価値を生んでいたり、メンバーも生き生きと新しいことに取り組んでいました。
また、先述した「支部1」を目指していたチームなら、「支部で一番を目指してできることはなんだろうか」とメンバーに問いかけ、新たな施策と価値を生み出せます。
人は得てして新しくやらなければならない仕事が増えると負担を感じてしまうものです。しかし、自分たちの目指すべき先である「共通目標」を基準に呼びかけて決まったものならば、メンバーも納得感を持って仕事に取り組むことが出来るのです。
リーダーとして共通目標をどう浸透させるか
先述してきたとおり、以下の2つのポイントで共通目標を掲げることで組織を大きく前に進めることができます。
- 仕事内容がメンバーのモチベーションに必ずしも沿っていない時
- 組織として勢いがなくマンネリ化しており、新しいチャレンジや価値を生み出したい時
しかし、共通目標はただ置かれているだけでは機能しません。形骸化されずに浸透し、組織のスタンダードとしてメンバーに大事にされる指標になる必要があります。
そのためにとても重要なのは、リーダーが先頭に立って必ずその共通目標を追い続けることです。
目標は、立てた人が放棄すれば簡単に崩れ去るものです。口だけで行動が伴っていない目標を誰が大切にできるでしょうか?
メンバーがその目標に主体的になれていなかったとしても、リーダーだけは初期からその目標を体現して背中を見せ、方針を目標に沿わせていく必要があります。そして、リーダーからメンバーを巻き込んでいくのです。
以下を実践しながら、リーダーとして「共通目標」を常に意識していきましょう。
- 共通目標の模範となるような姿を見せ続ける
- チームの課題を共通目標を基に指摘する
- メンバーで共通目標に沿った行動をしている人を称賛する
- 共通目標をテーマに各月でGoodとMoreを振り返る
「共通目標」は一度はメンバー全員が賛成して決めた指標です。自分が関与せずに決まってしまった目標でない限り、「納得した」という決意表明をしたものということになります。
「一度決めたのだからそれに向かっていこう」と投げかけられる指標はなかなかありません。だからこそ、全員で決めた共有目標があればメンバーに納得感を持たせながら楽しんで全員で困難を乗り越えることができます。
蔑ろにせずに、効果的に「共通目標」を活用していきましょう。
長堀百合野 早稲田大学