緊急時、リーダーとして現場を指揮するために必要なこと

今月の研修:災害時・緊急時の対応

「普段はテキパキ動けるのに、緊急時には全然動けなかった......。」
という経験を持つ方は少なくないのではないでしょうか。
現実的に考えて、全ての緊急事態をカバーするように一つ一つ行動指針を用意するのは難しいですし、有事には緊急を要するために指針を見ている暇がない場合もあるでしょう。 では、緊急時にきちんと動けるためには、何をしておく必要があるのでしょうか。

一人一人が主体的に動けるように

今回の研修では、緊急時・災害時の対応について学びました。その中で、一人一人がリーダーとして指示を出す練習をする時間がありました。この目的は、全メンバーが有事において主体的に動けるようにすることだと思います。

緊急時というのは、全員が何が起こっているのか把握できる場合(地震や火災など)と、その場にいる一部の人間だけが一部始終を目撃して状況を理解している場合(事故や怪我)があります。つまり、いつも現場でリーダーの役割をしている人が、有事に全ての状況を理解しているとは限りません。あなたがその場にいた場合、リーダーになって動かなければならないということも十分に有り得ます。

そのために必要なことはトレーニングを積むことではないでしょうか。理論的にどれだけ準備しても、動いてみることをしなければ実際には動くことができません。 今回の研修では、「瞬時に動かなければならないこと」と「マニュアルを見て動くこと」を分けてトレーニングをしておくことが必要であると学びました。

今回の研修で使用したマトリックス。
※「マニュアルを見る余裕がある」とは、ここでは地理的な特性から予見できる、または重大な被害になるまで段階的であるものを指す。今回の研修会場は千代田区飯田橋。

「マニュアルを見る暇のない」事例として過去の経験をお話しすると、バレーボールの試合中にボールを追いかけていたチームメイトが、転倒し頭をぶつけて、痙攣してしまったことがあります。その際、そばに座って試合を見ていた顧問の先生が即座に立ち上がって彼女のもとに駆け寄り、強いリーダーシップで周りを指揮しました。たとえば、備品の場所を把握しているその校舎の教員には毛布を持ってくるように指示したり、ケータイを手に持っていた教員に救急車の指示を出したりしました。また、痙攣をしている彼女に対してもずっと声をかけ続けていました。(ちなみに彼女は、その後後遺症もなく元気にバレーボールができるように回復したので本当に良かったです。)みんな急な出来事に驚いて固まってしまっていた中で、顧問の先生が力強く周りを指揮していたことによる安心感は非常に大きかったです。やはり、有事に強いリーダーシップを発揮する人がいることが大事だと思いましたし、私もそのようなリーダーシップを発揮できるようにトレーニングしていこうと思いました。

私は当時コート内に立っているだけで何も動けませんでしたが、主体的に動くことで(たとえば、この場合だと必要な物を聞いたり水を運んできたりなどができたかもしれません。)リーダーは心の余裕が違ったのではないかと思います。実際に自分がリーダーとして現場を指揮する場面があるときには、「メンバーがどんな行動をするか一つずつ確認する」だけでなく、「メンバー一人一人が主体的に動くためにどうすればよいか」を大切にしていきたいと思いますし、メンバーとして行動する際にも何ができるかを考えて動きたいと思います。

これから研修を受ける方々へ

この研修は、ここでのみ使える避難経路の確認や訓練ではありません。たとえば、AEDの場所を確認することや起きる頻度の高い災害から訓練をすることの重要性を知ることです。また、リーダーとしての姿勢や責任についても考えることのできる、汎用性のある研修です!

この研修を受けて、少なくとも自分が普段活動している場所の近くではAEDの場所を確認し、守れる命を守りたいと強く意識することができました。

研修で学んだこと

  • 地震発生時の行動手順としては、まず、安全確保・出口確保、次に安全確認、そして情報収集・避難準備、避難
  • 分類してトレーニングを積む
  • 自身の役割を明確し、落ち着いて行動することが重要
  • 指示待ち人間では人を守れない
  • 手が足りない場合には新しいリーダーを立てることも必要

この記事の著者/編集者

向井七海 早稲田大学 文学部  

小学生の頃からずっと世界平和を目指しています。平和を考える中で哲学に惹かれ、高校時代ドイツに留学。そこでシリア難民に出会ったことをきっかけに、大学では中東・イスラーム研究コースに所属。多文化共生や日本語教育を学びながら、大小問わず「平和をつくりだす」ことを目指して活動しています。

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