限られた権限の中で顧客の感動を生み出す

今月の研修:マナー・ホスピタリティ・おもてなし

はじめに

今回は、私が普段している自動車事故受付のアルバイトと今回の研修で学んだ「マナー・ホスピタリティ・おもてなし」を絡めながら書きたいと思います。サービスを提供する立場にある人すべてに読んでいただきたい内容です。

自動車事故受付のコールセンター

私は普段、損害保険会社の自動車事故受付のアルバイトをしています。記事の内容をわかりやすくするために、まずは簡単に業務の説明をします。

私が行っている仕事は「相手一報」と呼ばれるものです。まず、事故を引き起こした契約者に代わって、事故の相手方へ事故受付完了の報告と個人情報の確認を行います。次に、その報告を進捗に残した後、代理店や契約者に結果の報告をします。

特に相手方の対応の際に、相手側の要求に応えられることが限られる点(責任割合など)が難しい仕事です。

モラル〜おもてなしの階層構造

研修では上のグラフのように階層構造になっていることを学びました。今回は上2つ、おもてなしとホスピタリティについて絞って書きたいと思います。

研修の中で、マナーとホスピタリティの性質の違いについて以下のように学びました。

ホスピタリティ…この時・この場・この人だけの対応
おもてなし…上記に加え、その人がいない時にも心を配る対応

電話対応におけるホスピタリティとは、、、

ホスピタリティに必要なモラル・マナーのスタンス

まず、ホスピタリティとはモラルやマナーが前提となっているものだということを把握しておく必要があります。

ここでいうモラルやマナーとはなんでしょうか?私は「相手の目的意識を自身の損得で干渉しないこと」だと思います。

例えば、電話対応でいう自身の損得感情とは、「めんどくさい」「早く電話を終わらせたい」というものがあります。これを前提に、自己の解決を目的とする当事者たちに向けて詳しい説明を省いたり、不明点の確認を怠ってしまうケースがこれに当たります。

では、モラル・マナーを前提として身につけるにはどのような意識が必要になるでしょうか?

端的にいうと、相手の立場に立つことです。これさえできれば、身につけることができます。

自動車事故受付であれば、私たち受付員から見ると1日何件も来る事案ですが、当事者からすれば数年に1度規模の大きなハプニングです。

各種ステークホルダーがどのような心情でいるか把握して対応する

はじめの章で述べた、相手の立場に立つ意識の応用編です。

事故の相手側…やり場のない怒り・自身の主張が通るかの不安
契約者(加害者)...申し訳なさ・先行きの不透明さによる不安
代理店...基本的に常に多忙・電話はコンパクトに終わらしたい。直接対応する場合あり。相手の怒り具合が気になる。

ざっくりとではありますが、アルバイトの仕事に出てくる登場人物の心情を書きました。これだけ押さえておくだけで、対応はそれぞれ変えることが必要になることはわかると思います。

それぞれの立場に立ちつつ、電話の相手が何を考えているか考えながら電話対応をすることが、コールセンターにおけるホスピタリティです。

+α「おもてなし」へ

A&PROでは、「おもてなし」をホスピタリティよりも1段上の領域と捉えています。最初のおもてなしの定義の部分でも触れましたが、「その人がいない時にも心を配る」のがおもてなしです。私はおもてなしを提供するために、以下のように準備しています。

「限られた権限下で何ができるか?」という思考法

業務紹介の中で既に書きましたが、コールセンターの受付員はお伝えできることが限られている状況下にあります。

そのため、飲食店のような粋な対応・常連さんへのサービスは基本的にできません。また、受付員であり、経営者ではないため、保険のプランを変更することもできません。加えて、決定権がないため、質問が多い自動車保険の責任割合についても言及できません。

できることがかなり限定される中、何ができるでしょうか?

それは、相手の話を全て受け止め、伺った内容・ご要望を進捗に残し、引き継ぐことを相手に伝えることです。

ここで、この記事で一貫して述べている、相手の立場に立つことに立ち返ります。また、各種ステークホルダーの心情把握の箇所で、相手方の心情には不安感が根強くあることがわかっています。柔軟な対応ができない中で私たちにできることは、この不安感を聞くことを通して解消することです。

まとめ

今回の記事では「相手の立場に立つこと」の大切さを繰り返し述べてきました。口で言うのは簡単でも、常に相手の立場に立ち、サービスに反映させるのは難易度が高いことです。ただ、これを身につけることができれば、限られた権限の中でも、相手に感動を与えられる「おもてなし」を実行することができるのではないでしょうか。

これから研修を受ける方へ

今回の研修では、マナー・ホスピタリティ・おもてなしについて徹底的に考える内容でした。顧客に最高のサービスを届けるには自分に何ができるか考え直す良い機会になったと思います。現在アルバイト・仕事でお客様対応に悩んでいる方・考え直してみるきっかけが欲しい方には是非オススメしたい研修です!!

研修で学んだ内容

  • 分離礼・同時礼
  • 身だしなみのチェック
    1清潔感
    2仕事がしやすい動きやすい
    3相手に不快感を与えない
  • 第一印象は6秒で決まる
  • 真実の15秒間
  • モラル
  • マナー
  • サービス
  • ホスピタリティ
  • おもてなし
  • 目配り
  • 気配り
  • 心配り

この記事の著者/編集者

小川勇 早稲田大学 政治経済学部  

サークルの後輩や同期のキャリアの関心度が低いことを課題に感じ、それを変えるべくキャリア支援NPO法人『エンカレッジ』に加入。現在は1・2年生に向けてオンラインイベントを通してキャリア支援を行なっている。加えて、長期インターンの分野で学生と企業のマッチング事業の立ち上げのリーダーとしても活動している。

するとコメントすることができます。

新着コメント

最新記事・ニュース

more

タスクには明確に優先順位が存在し、正しい優先順位でタスクに向き合うことが締め切りへの余裕につながります。緊急度と重要度のマトリックスを用いて改めてタスクへの優先順位をつけることを意識したいです。

大庭彩 1Picks

皆さんがリーダーを務める組織にはMVVやスローガンと言ったメンバー全員が認識している「共通目標」はありますか? そして、今その「共通目標」を何も見ずに口ずさむことができますか? もし、一度決めたことがある共通目標が形骸化してあまり浸透していない場合は私と同じ苦悩を経験するかもしれません。

大庭彩 1Picks

たとえ意見が対立しても、プロのコンサルタントやコーチは相手を導くことができる。 基礎1~3を通じて、科学的なメカニズムから築き上げた実践型コーチングについて、ロールプレイを中心に活用方法をトレーニングしていきます。 現場の活動と有機的に結びつける知恵と、今後のプロジェクトに活かす行動力。 これらを大切にするリーダーのための研修です。

たとえ意見が対立しても、プロのコンサルタントやコーチは相手を導くことができる。 基礎1と基礎2を通じて、科学的なメカニズムから築き上げた実践型コーチングについて、ロールプレイを中心に活用方法をトレーニングしていきます。 現場の活動と有機的に結びつける知恵と、今後のプロジェクトに活かす行動力。 これらを大切にするリーダーのための研修です。

「自分と仕事をしたいか」と思われているかどうかは他者の言動を大きく変化させます。相手方の時間を頂いているという認識があなたの評価を変えるでしょう。適切な準備を行うことで周囲と豊かな関係性を築きたい方に必見の記事です。

大庭彩 香山 渉 谷口 宗郁 3Picks

たとえ意見が対立しても、プロのコンサルタントやコーチは相手を導くことができる。 基礎1と基礎2を通じて、科学的なメカニズムから築き上げた実践型コーチングについて、ロールプレイを中心に活用方法をトレーニングしていきます。 現場の活動と有機的に結びつける知恵と、今後のプロジェクトに活かす行動力。 これらを大切にするリーダーのための研修です。

「周りの声を意識して思っていることを伝えられず、自分だけが辛い思いをしている...。」「それもあって、周りに対して愚痴が溜まっている...。」この悪循環を引き起こすコミュニケーションを、A&PROではPassive(受身的)なコミュニケーションと捉えます。そして悪循環を解決させるには、「Passive(受身的)」を「Assertive(自己主張的)」へ変容させていくことが重要です。

矢後慶樹 前田佳祐 大庭彩 3Picks

「メラビアンの法則」や「真実の瞬間」と向合い、各メンバー自身がブランド形成の重要要素であることを自覚していきます。 「目配り」「気配り」「心配り」の各段階を理解し、「マナー」「サービス」「ホスピタリティ」「おもてなし」の違いについて研究。 「マニュアル」「サービス」を理解・実践するのは当然。 「ホスピタリティ」「おもてなし」を顧客・メンバーに提供したいリーダーのための研修です。

メンバーに尊敬されるリーダーは当たり前ですが、メンバーを尊敬できるリーダーは少ないのではないでしょうか? 今回の記事ではメンバーを尊敬することで得られるメリットについてご紹介していきます。

大庭彩 1Picks