「無形サービス」型人財を目指して

自分という存在そのものが、サービスである

■今月の研修 サービス理論(基礎1)

みなさんは、「自分という存在そのものがサービスである」と聞いて、どう感じたでしょうか?

もちろん、私を含め皆さん1人1人が単なるモノとしての「商品」だ、ということを言いたいわけではありません。私がここで用いた「サービス」という単語には、

あなたの存在自体が「目の前の相手に、何かしらの形で価値を届け貢献する」という意味でサービスである

というメッセージが込められています。

周囲から信頼され、必要とされる人財は、「無形サービス」としての存在価値を発揮している。

これが、今回の研修を通じての最も印象的な言葉です。本記事では、実際に「無形サービス」としての存在価値を発揮するために必要だと感じたことを、私の実体験を交えてお伝えします。そして、私も含め読者の皆さんがリーダーであるなしに関わらず、周囲から信頼され、必要とされる人財になるためにできることは何なのか、考えていきます。

皆さんも、普段のご自身の振る舞いを思い浮かべながら読み進めていただけたらと思います。

そもそも無形サービスとは?

そもそも本記事のタイトルにもなっている無形サービスには、「無形性」「非分離性」「変動性」「即時性」という4つの特徴がありますが、ここでは今回の内容と特に深くかかわる「非分離性」について、無形サービスの代表例である飲食店の接客を用いてご説明します。

「非分離性」:サービスの生産と消費が同時に行われる

当たり前のことですが、ウェイターがお客様に接客をする(生産)と同時に、お客様は接客サービスを受けます(消費)。もしお客様の目の前でお水をこぼしてしまったとしたら、もちろんそのことをなかったことにはできません。このように無形サービスには、誤って生産してしまったものがお客様に消費されることを防ぐことができない、という難しさがあります。

ですが一方、相手の様子を見て対応を変えることができる、という強みもあります。例えば4人でご来店のお客様が、3個入りのシュウマイを注文されている。こうした状況で、あなたはどのような接客をするでしょうか?

「お客様、こちらのシュウマイは3個入りとなっておりますので、もしよろしければお値段が多少変わるかもしれませんが、4個入りにできないか掛け合ってみましょうか?」

こうした対応は、タッチパネル式の自動注文システム(有形サービス)ではできないでしょう。その場で考え最適なサービスを提供する、これは「非分離性」をもつ無形サービスだからこそできることです。

あなたは、相手の潜在ニーズに応えているか?

上述の例にもある通り、私はこれまで「非分離性」を持つ無形サービスには、相手の様子を観察し、相手がまだ気づいていない潜在ニーズにアプローチする最適な選択を“その場”でできる強みがある、と理解していました。このため、無形サービスに携わるときこそ、その時々で相手の様子の観察を怠らずにしようという強い意識がありました。しかしある出来事を振りかえった時、“その場”の努力だけでは不十分だと痛感したのです。

現在A&PROでは、大学生メンバーが日々の研修で得た気づきを、このような記事にして発信しています。この一連の活動のなかで、私は複数のチームリーダーのコーチを務めておりますが、定期の振り返り面談の際、あるリーダーから、「萩原は、私の潜在ニーズにまでアプローチをしていたか、というとそうではない」という声を受けました。

振り返ってみると、たしかに記事をお互いに推敲し合う時間のなかで、彼や他のメンバーがまだ気づいていないことを提供しよう!と常に考えてはいました。しかし、それ以外の時間ではどうかと問われると、自信を持ってYESと言えない状態だったのです。

確かに、その場で相手の状況をよくよく観察することは大切です。しかし一方で、相手が目の前にいない時間をどう使うか、これも大切な観点なのではないかと考えさせられました。

「自分」を発信源に

こうした気づきを踏まえ、皆さんに、そしてこれからの私自身にも投げかけたい問いが、

「相手が目の前にいる瞬間にばかり目を向け、1人の時間に考えることを放棄していないか?」

ということです。

放棄という言葉は極端な言い方かもしれませんが、当時の私の状態をある意味わかりやすく表した言葉でもあると思います。

「相手の様子を見て対応を変える」ことは「相手がいて初めて自分で考える」ことではありません。相手が能力が高い、信頼できる存在だからこそ、そんな相手がまだ気づいていない価値を、自分発信で生み出す、という気概が大切なのではないでしょうか。自分ひとりの時間を、自己研鑽や趣味だけでなく、他者にとって新たな気づきを提供する準備にも費やすことが、「周囲から信頼され、必要とされる人財」への道なのかもしれません。

社会人としての仕事に活かす

最後に、今回の記事内容を今後どのように生かしていくか、私が4月から就職予定の、新卒採用コンサルティングを中心サービスとしている企業での仕事を例にご紹介します。

私は現在内定者として、新規の顧客開拓やサービス提案に繋げるためのテレアポを行っています。以下は、お客様の新卒採用に関する課題感をヒアリングするなかで私が経験したトークです。

私:御社の新卒採用に関して、何かお困りの点等はございますか?

お客様:順調に学生のエントリー数も伸びているし、特に大丈夫かな~

私:左様でございますか。実は今回新たな○○というサービスをご紹介したいと思っていたのですが、ご説明させていただけますでしょうか?

お客様:今は目の前のエントリー学生への対応で忙しいし、新規提案受けても受注する余裕ないから結構かな

私:かしこまりました。それでは今後とも......

本記事テーマとの関連明確化・情報漏洩防止のために、実際のトークを一部割愛・修正表記しております。

いかがでしょうか?潜在ニーズにアプローチすることの大切さは重々理解しています。しかし、いざ実践するとなると、なかなか難しいというのが正直なところです。こうしたなかで私は、先に経験を積んでいる先輩や同期の業務報告を見るなかで、偶然ある発見をしました。

お客様から目の前の採用業務が忙しいと言われた際は、「採用業務自体にコストを感じている時点で、お客様にとってベストな状態ではない。弊社のサービス導入によって効率的に新卒採用ができ、お客様が他の重要タスクに時間を割くことができるようになるかもしれない。」という趣旨のお話をする

というナレッジ共有がされていました。これを読んだときの私の気持ちは想像に難くないでしょう。そもそも、まだ経験の少ない私がその場の機転だけで、相手の心にクリーンヒットする一言をアウトプットできる可能性は高くありません。であれば、テレアポをしていない時間に、テレアポ相手のお客様のことを考えて行動できるか。具体的には、社内の情報共有ツールを駆使し、事前準備としてノウハウを盗めるかどうか、が大切なのだと痛感したのです。

あの時もし上記のような切り返しができていたら、お客様の潜在ニーズを掘り起こして価値貢献し、私にとっても大切なお客様になっていたかもしれない、と考えると後悔しかありません。今では勤務時間外での情報収集を定期的に行っており、やがては私がナレッジを他者に提供する側になることが、最近の私のテーマです。

相手が目の前にいる瞬間だけでなく、1人の時でも相手のことを想像して行動できる、そんな真の「無形サービス型人財」になるべく、日々の積み重ねを大切にしていきます。

これから研修を受ける人へ

顕在ニーズだけでなく、潜在ニーズにもアプローチする、ということはよくよく一般的に言われることでもあります。しかし私は今回の研修のおかげで、さらに踏み込んだ学びを得ることができました。自身の経験と関連付けて学びを深める、そうした機会を求めている方を私たちは探しています。少しでも興味のある方はぜひぜひ、まずは3日間のリーダーシップゼミへお越しください!!

研修で学んだこと

  • 無形サービスの4つの特徴(無形性・非分離性・変動性・即時性)
  • 有形サービスも、無形サービスと関わりながら提供される
  • サービス品質は「信頼性」「反応性」「確信性」「共感性」「コミュニケーション」「安全性」「物的要素」によって決まる
  • 顧客満足度調査の際の項目は、本来顧客を導きたい方針に沿って作られるべき

この記事の著者/編集者

萩原佑太 早稲田大学 基幹理工学部  

高校まで10年間野球に打ち込み、一浪の末、早稲田大学理工学部へ

大学では、個別指導塾や引っ越しアルバイトを経験後、大学2年次からA&PROに所属している

A&PROでは塾講師を務め、4年次からはキャリア支援の学生団体にて顧客開拓部署のリーダーも務める
現在はA&PROと学生団体とのコラボプロジェクトに取り組み、日々相乗効果を目指し奮闘中

趣味はカラオケで、全国採点1位を獲得したことも!

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