「正論だけど気に食わない」がない組織を目指しませんか?

8月研修:理念のマネジメント

「正しいことを言ってるはずなのに、気に食わないという理由で聞き入れてもらえない」

このように思ったことはありませんか?

周囲に好き嫌いや権威を重視してしまう人がいて、組織が上手く機能しなかった経験のある方は多いはず。本記事では、このような状況から脱却し、組織・個人ともに本来あるべき姿を目指すために必要なことを紹介します。

2種類のマネジメント

ここでは、対照的な2つのマネジメントについて説明します。

権威のマネジメント

権威のマネジメントとは、好き嫌いや権威に基づく組織運営のあり方です。権威のマネジメントの特徴は以下3点です。

  • 企業文化:権威ある人、好きな人、気の合う人に従う
  • 緊急時:プロジェクトリーダーよりも特定の個人への忠誠心が大切
    →好き嫌いや多数派工作が支配
  • 実践者の傾向:自身への求心力UPを実施
    →担当者でもないのに情報を集める、不安を煽る、同情する

このようなマネジメントでは組織・役割が形骸化し、いずれプロジェクトが回らなくなってしまいます。

理念のマネジメント

理念のマネジメントとは、理念・使命・理論に基づく組織運営のあり方です。理念のマネジメントには、以下のような特徴があります。

  • 企業文化:理念・使命・理論に基づいた人に従う
  • 緊急時:特定の個人への忠誠心よりも、プロジェクトリーダー・役割を優先
  • 実践者の傾向:重要事項こそ担当者に確認
    →リーダーとメンバー間で建設的な関係を構築

理念のマネジメントが実践されていれば、組織・役割が生きてきます。特に緊急時ほど組織・役割が本来の機能を果たし、権威のマネジメントが蔓延る組織との違いが明確になるでしょう。

理念のマネジメントを実践する

ここまでは、理念のマネジメントと権威のマネジメントの違いを説明してきました。

プロジェクトに取り組む上で望ましいのは理念のマネジメント。

では、理念のマネジメントを実践するために必要なことは何でしょうか?私自身の経験も交えながら紹介します。

実践するために必要なこと

私が考える、理念のマネジメントを実現するために求められることは、以下2点です。

  • 採用段階で組織の理念・使命・方針を明示
  • 理念・使命・方針を浸透させる仕組みづくり

この場合の方針とは、組織として理念のマネジメントを体現していくことを明確に示すものです。
組織に入る前に「私たちは理念のマネジメントを実践していきますが、それでも構いませんか?」と問いかけることで、権威のマネジメントを志向する人と組織のミスマッチ防止に繋がります。

また、組織に入った後も継続した取り組みが必要です。具体的には、理念のマネジメントを行う上での基準となる理念・使命、加えてそれらに基づいて行動するという方針を浸透させる必要があります。

馴れ合いを助長してしまった野球部での経験

私が上記の考えに至ったのは、高校の野球部での経験からです。

高校時代の私は、権威のマネジメントを助長していました。具体的には、従う先輩を好き嫌いで決めていたのです。

当時一学年上の部長を務めていた先輩は、自分にも他人にも厳しい人でした。自身が熱心に練習していただけでなく、周囲への声かけも徹底し、チーム全体を良くしようと尽力されていました。(補足ですが、部外ではとても温和で、誰からも好かれる人物です。)

しかし、当時の私は「言ってることが正しいのは分かるけど、自分もできていないようなことを要求してくるのは嫌だな」と煙たく感じていました。その先輩が嫌いなわけではありませんでしたが、気に食わないと反発してしまっていたのです。

今思えば、その先輩はまさに理念のマネジメントを実践しようとしていたのでしょう。

野球部は学生主体で活動していたこともあり、人間関係への懸念から馴れ合いが起きていました。その中でもチームの目標・方針に沿ってブレることなく、耳の痛いこともはっきりと口にする。また、後輩の意見でも理に適っていれば採用する。組織として本来あるべき姿を目指し、私よりも視座高く取り組まれていました。

では、当時の野球部における、組織としての問題点はどこにあったのでしょうか?

私は、入部時の説明入部後に意思統一を行う機会が不足していたことだと考えています。

野球部は毎年人数を増やすことを目的としており、新入生に対して活動日などの概要しか説明していませんでした。また、仮入部期間は新入生に緩く楽しく野球をしてもらうことを優先しており、入部後の実態とは乖離がありました。

結果として、理念のマネジメントからはかけ離れた組織の土台が出来ていたのです。

また、チームの目標・方針を確認する機会がほとんどありませんでした。例えばミーティングは雨天時などしか行わないなど、目標・方針を浸透させる仕組みができていなかったのです。

そして、活動していく中で本来の目標を見失う部員が増え、目指すものがバラバラになっていました。

このような当時の状況を踏まえ、改めて理念のマネジメント実践のために必要なことを振り返ってみます。

  • 採用段階で組織の理念・使命・方針を明示
    →仮入部期間に方針を説明、普段同様の練習を実施
  • 理念・使命・方針を浸透させる仕組みづくり
    →定期的にミーティングを開催

読者の皆さんも権威のマネジメントに陥った、もしくは現在陥っているのであれば、自分・組織ができることを考えてみてはいかがでしょうか?

この記事が少しでも多くの人にとって、所属組織のあり方を見つめ直すきっかけになれば幸いです。

これから研修を受ける方へ

本研修では、2種類の組織マネジメントについて学ぶことができます。馴れ合いではない本当のチームワークについて考える良い機会だと思います。リーダーとして組織を動かす人だけでなく、メンバーとして組織を支える人にもお勧めできる研修です。

研修で学んだこと

  • 権威のマネジメント
  • 理念のマネジメント
  • WBS

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