テーマ型小論文とは?細かい分類や書き方まで例文付きで解説!【小論面接】
2021.06.01
学習塾ヘウレーカ・小論文面接講座担当の遠藤です。
医学部を受験する生徒向けに、小論文と面接についての記事を毎月連載しています。ご参考いただけると嬉しいです。
※掲載している内容は小論文・面接の基礎知識です。これをもとに自身でアウトプットし、添削を受けて修正することで、スキルを向上させましょう。
これまでの記事では小論文に関する汎用的な解法をご紹介してきましたが、ここからは具体的な問題形式と、それぞれの形式に特化した解法をお伝えしていきたいと思います。
小論文の問題形式は、大分すると「テーマ型」「課題文型」「資料型」の3種類です。
今回は「テーマ型」について、その特徴や解き方をご紹介します。
「テーマ型」とは?
「テーマ型」とは、論じるテーマだけが与えられており、参照すべき文章や資料がない形式のことです。
文章や資料があると、そこから読み取った情報を小論文にうまく反映させなければなりませんが、テーマ型ではそうした条件がないため、比較的自由に論じることができます。
一方で、文章や資料をヒントとして活用することができないため、テーマとして与えられた事柄をそもそも知らなかったり、論じられるほどの知識が無かったりすると、書ききるのが難しくなります。
したがって、出題可能性の高いテーマについて勉強しておくとともに、テーマについて詳しくなかったとしても小論文を仕上げられるような技術を身につけることが重要です。
テーマ型の小論文は、さらに3つのタイプに分けられます。
それぞれのタイプについて、解答の作り方も含めて解説したいと思います。
1. クローズドクエスチョンタイプ
一般にクローズドクエスチョンとは、「はい」か「いいえ」で答える質問のことです。
小論文では「~に対して賛成か反対か」や「~だと思うか」などの問われ方をするのがこのタイプです。
多くの場合は、「はい」か「いいえ」かを結論にはっきりと据えて、すなわち「賛成/反対」「思う/思わない」という自身の立場を明確にして、論じる必要があります。
小論文を書く時の構成としては、3月号の記事でご紹介した「PREP法」が参考になるでしょう。
例題
病院が広告に投資をすることに対して、あなたは賛成か、それとも反対か。
解答例(短縮版)
病院が広告に投資をすることに対して、私は賛成である。
なぜなら、受診が必要な人にその必要性を気づかせ、早期治療に繋げられるからだ。
例えば、頭痛を我慢していた人が通勤中に頭痛外来の看板を見かければ、アクセスの良い頭痛外来の存在を知り、受診のきっかけになる。
したがって、病院が広告に投資することに私は賛成する。
ただし実際の小論文では、この解答例の2倍以上の文量が必要になることがほとんどです。
よって、理由を2つ以上挙げたり、反対意見の想定と切り返しを入れたりして、指定字数を満たしながら内容の濃い文章に仕上げましょう。
2. オープンクエスチョンタイプ
クローズドクエスチョンとは反対に、オープンクエスチョンとは「はい」か「いいえ」では答えられない、5W1Hで問われる質問のことです。
《5W1H》
- Who(誰が・誰を)
- When(いつ)
- Where(どこで)
- What(何が・何を)
- Why(なぜ)
- How(どのように・どのくらい)
この中でも小論文では、What「~は何だと考えられるか」、Why「~はなぜだと考えられるか」、How「どのように~と考えられるか」の3つが問われやすい傾向があります。
このタイプの問いに対しても、先にご紹介した「PREP法」を活用することができます。5W1Hの問いに対する答えの部分をPに据えて、書いてみましょう。
例題
病院は、本来治療が必要な人々に来院してもらうために、どのような方法を採るべきか。
解答例(短縮版)
私は、病院は看板などの広告を増やすという方法を採るべきだと考える。
なぜならこのような広告は、近隣地域の中で幅広い人々に見られることで、来院に繋がる認知を獲得できるからだ。
例えば、頭痛を我慢していた人が通勤中に頭痛外来の看板を見かければ、アクセスの良い頭痛外来の存在を知り、受診のきっかけになる。
よって、私は広告を増やすという方法が効果的であると考える。
ここから文量を増やす場合は、設問では「どのような方法」と問われているので、広告という方法について詳しく説明すると良いと思いでしょう。例えば、
- 広告に何を載せるのか
- どこに看板を置くのか
- 他に使える広告媒体は何か
- オンライン広告も配信するのか
などの情報を加えると、広告がより具体的になります。
もしくは、方法自体を2つ以上挙げて、それぞれについて説明するという構成も考えられます。
3. キーワードタイプ
キーワードタイプは、「◯◯について論じなさい」「◯◯についてあなたの意見を書きなさい」といったように、キーワードだけが与えられ、問いが与えられていないタイプです。
このタイプの設問に対しては、
- キーワードについて説明する
- 問いを設定して答える
という2つの手順で解答を作っていきます。
1. キーワードについて説明する
まずはキーワードについて、それが何を意味するのかを説明します。
よほど簡単なキーワードであれば説明は必須ではありませんが、ほとんどの場合は説明すべきだと考えておきましょう。
むしろ、一見誰もが知っているようなキーワードであっても、その定義や必要性について深く考えさせることに出題の意味があるのかもしれません。
例題集
- 「病院の広告について論じなさい」
病院にとって広告は、自院の認知度を上げ、来院者数を増やすための手段である。
- 「自己満足について論じなさい」
自己満足とは、他者がどう感じるかにかかわらず、自分の欲求を満たすことを言う。
- 「持続可能な社会づくりについて論じなさい」
持続可能な社会とは、将来の世代が必要とする資源を奪わずに、現在の人々の需要を満たす社会である。
2. 問いを設定して答える
次に、キーワードに関する問いを自分で設定して、それに答えます。
これまでで説明した通り、問いの種類はクローズドクエスチョンかオープンクエスチョンのどちらかです。
賛否の分かれそうなキーワードであればクローズドクエスチョンにして、賛成か反対かを示す文章を書くことができます。
また、賛否どちらかの立場を選ぶことが必須ではないため、「この場合は賛成だが、この場合は反対」という書き方も可能です。
例題
病院の広告について論じなさい。
解答例(短縮版)
病院の広告は、その病院の課題が認知度であると特定できている場合には非常に有効な手段であるため、用いるべきであると私は考える。
しかしそうでない場合、広告への投資に踏み切るのではなく、認知度よりも大きな課題がないかどうかを調べるべきである。
これをもとに、このように考えた理由や、「認知度よりも大きな課題」の具体例などを加えると、文量を増やすことができます(PREP法のRとE)。
他方、オープンクエスチョンにする場合は、自分で5W1Hの中から問いを立て、それに答えていきます。
同じ例題に対する解答例を見てみましょう。
解答例(短縮版)
病院の広告は、どのような時に有効だろうか。それは、その病院の課題が認知度であると特定できている場合であると私は考える。
一方で、課題が特定できていない場合は、認知度よりも大きな課題がないかどうかを調べることを優先すべきである。
この解答例ではWhen「どのような時に」を用いていますが、5W1Hの中でどれを選んでも問いを設定することは可能です。
- Who:誰に向けた広告にするべきか
- Where:どこに広告を出すのが有効か
- What:何を広告に載せるべきか
- Why:なぜ広告が有効なのか
- How:どのように広告を出すのが有効か、どのくらい広告を出すべきか
自分が答えを思いつきやすい問いを設定すれば、その後も書き進めやすくなるはずです。
テーマ型小論文の解答能力は、どんな小論文・面接でも活きるスキル
以上が、テーマ型小論文におけるタイプ別の書き方解説でした。
まとめると、以下のようになります。
- クローズドクエスチョンタイプ
→「はい」か「いいえ」を明確にし、その根拠や具体例を述べる - オープンクエスチョンタイプ
→5W1Hの問いに対する答えを結論に置き、その根拠や具体例を述べる - キーワードタイプ
→キーワードの意味を説明したうえで、それについての問いを設定する
テーマ型では、比較的短い設問に対して自ら意見を考え出し、組み立て、伝えなければなりません。
よって、テーマ型小論文の解答能力は、どんな小論文や面接にも共通して求められる質問・設問に正しく答える能力であると言えます。
今回はタイプごとの違いがわかりやすいように、病院の広告という題材に統一して例題をご紹介しましたが、ぜひ他の題材も想定して練習してみてください。
ログインするとコメントすることができます。
新着コメント