短い時間だからこそ、次も利用したくなる気配り・心配りの対応を

今月の研修:マナー研修

あなたは、接客の「レベル」について意識したことはありますか。

接客において顧客が持つ印象というのは、ほんのわずかな時間のうちに決定してしまいます。サービスが実際に届くインターフェイスの部分である接客やその段階について説明していきます。

短時間の接客が顧客の印象を決定する

サービス・ホスピタリティ・おもてなしの違い

接客は、その質の違いによりいくつかの段階に区分けすることができます。

サービスとは顕在ニーズに対してアプローチする基本的な接客の基準と言えます。
それに対してホスピタリティは、一般のお客様ではなく、目の前のお客様個別の潜在ニーズにまでアプローチするものです。これには相手のことを我が事として思う心配りが必要です。
おもてなしとは、これらを超えて個々のお客様に尽くすことで、目の前にその人がいなくても心配りをし、お客様に感動を与えることのできる段階を指します。

自分の行っているものは単にサービスなのか、ホスピタリティのあるものなのか、提供者として意識し、更なる段階を目指すことが重要です。

真実の瞬間

冒頭にも述べたように、接客によって顧客が持つ印象や評価はわずかな短い時間で決まり、これを「真実の瞬間」と言います。

顧客が持つ評価が決まってしまえば、その顧客に次回以降店に足を運んでもらえるかさえも変わってしまいかねず、サービスの細部や、顧客に接する一人ひとりが、良い印象を持ってもらえるような質を保つことが必要です。

ほんのわずかな時間の体験で評価されるということを理解すると同時に、自分がサービスの提供側、接客する立場として顧客にサービスを好きになってもらうためには、目配り、気配りそして心配りにより相手のニーズに気が付く感性や想像力と、それを実行する力を持つことです。

自分が受けた良い接客、悪い接客を思い出す

本研修ではロールプレイにおいて、今まで自身が体験した接客について振り返りました。私自身が少しの時間の接客で良い印象や逆に悪い印象を持った例を紹介します。

良い印象を抱いた接客の例1

中学・高校時代の駐輪場のおじさん。
駐輪場が22時には閉まることもあり、受験勉強で夜が遅くなりがちだった高校3年生の時、たびたび「今日は帰って来るのは遅いのかい?」と聞いてくれた。遅いときには、22時以降でも取り出せる位置に自転車を外に出しておいてくれた。

良い印象を抱いた接客の例2

先日訪れたラーメン店の店員の方。
友人数人とテーブル席で食事をしていた。最初はお水がコップ一杯ずつ提供され、すぐに飲み干してしまった。店員の方にお水をお願いすると、ピッチャーで2つ分の水を持ってきてもらった上に、全員の分の水をコップに注いでくれた。最終的にピッチャー1個半ほどは飲んだので、最初から飲む量を的確に想定していただき、一度の対応で済んだ。

悪い印象を抱いた接客の例

数カ月前に訪れた別のラーメン店の店員の方。
無言だったり指図したりするような席案内や注文の取り方をしていた上に、本当はトッピングを選べるものの、「トッピングはどうしますか?」と聞かれず好みの通りにすることができなかった。(他のお客さんはタイミングを伺ってトッピングを頼んでいた。)ラーメンの味は問題なく、常連向けの文化のあるお店だったのかも知れないが、もう行くことはないだろうと感じた。

このように、何気ない接客によってそのお店が好きになったり、逆に良くない印象を持ったりしたことがみなさんもあるのではないでしょうか。最初にも申し上げたとおり、これらの例でも、決して数分以上の長い接客ではなくとも、ほんの少しの時間で顧客への印象は変わってしまうものであるということを、自分の体験した接客を思い返すことで再認識しました。

また、良い印象を持った例に関しては、私の帰宅時間という事情に合わせて個別で対応していただいたり、人数に応じて的確な量の水を一度に持ってきていただいたり、サービス以上、ホスピタリティの部分があったと感じます。

信頼感ある対応姿勢を身に付ける

私が今回学んだことを活かすことのできる場面、サービスを提供する立場として人と接する場面として、現在行っているアルバイトが挙げられます。私は大学においてスタッフとして、授業中教員の方にAV機器関連のトラブルが生じた際に呼び出しを受け対応し、トラブルを解決するという仕事をしています。普段は指定の場所で待機しており、下記のように対応します。

  1. 内線で連絡を受け、教室の場所と大まかな対応内容についての情報を得る
  2. 必要な備品(代替のケーブル等)があれば用意し現場に向かう
  3. 現場に到着して改めて状況を確認し、何が問題であるか突き止める
  4. トラブルを解決するために対応する(機器の操作、配線の確認等)
  5. その他問題がないかを尋ね、次回以降も何かあれば対応させていただく旨を伝える
  6. 根本の原因が不明のままであれば後に検証を行い、教員の方に次回授業時に検証結果を報告する

このとき、特に教員の方という「顧客」と接するのは主に3、4、5の部分であり、対応時間は数分から十分程度が多く、まさに短時間の対応で評価が分かれるでしょう。

このアルバイトにおいて大切なのは問題を理解すること(技術面)と、教員の方とコミュニケーションを取り対応すること(接客面)だと考えています。
技術面に関して私は、小学生の頃に自身でパソコンを購入して組み立てたり、実家でAV機器を購入した際の設置、設定や不具合があった際の対応を行ったりしていたこともあり、対応において分からないことはそう多くはありません。

しかしながら、接客面に関して、顧客である教員の方への対応については、改善できる部分が多くあると感じます。例えば、教員の方に状況を伺い対応を始める際。技術的な原因が分かったからといって、黙々と対応を開始しては、教員の方には何が問題だったのか、これから何が行われるのかわからず、むしろ不安を抱かせてしまうでしょう。

対応を依頼された教員の方は、授業を進めることができず焦った状態かもしれません。問題の原因が分かり対応できるのであれば、不具合が解決する、ということをお伝えした上でどのような対応に当たるかを説明し、加えて次回以降教員の方が同様な状況に陥らないためのポイントを説明することが求められるでしょう。

説明内容そのものだけでなく、対応に当たる際の姿勢・表情や声のトーンといったノンバーバルな部分にも気を向けてなければなりません。無愛想な対応をしていては、教員の方が他に不安なことや確認したいことがあったとしても聞きづらく、次回以降の対応をお願いするのが億劫になってしまうでしょう。

以上のようなことを心がけ、短時間の対応の中、説明の内容だけでなく非言語のコミュニケーションにおいても目配り・気配り・心配りを意識しながら、その場でどのようなことができるかを考え続け、教員の方が安心して対応を任せることのできるスタッフとしてホスピタリティを提供すること目指していきます。

これから研修を受ける方々へ

今回の研修では、接客というわずかな時間の重要性を再認識し、高いレベルの接客とは、おもてなしとはどのようなことで、何が求められるのかについて周囲のメンバーと議論することで学びました。なんとなくではなく、意識するべき観点を明確にし、感動を与えることのできる接客を目指したいという方におすすめします。

研修で学んだこと

  • マナー、サービス、ホスピタリティの違い
  • 目配り、気配り、心配りの違い
  • おもてなしはwin-loseでなくwin-winであること
  • 真実の瞬間

この記事の著者/編集者

田村稔行 早稲田大学 基幹理工学部 情報通信学科  

高校時代から英語の部活、サークルでの活動を続けており、現在は理工学部生向け英語サークルの代表をしています。
更に、大学1、2年生がキャリアついて考える機会を提供すべく、キャリア支援NPO法人「エンカレッジ」で活動中。他のリーダーは4年生が務める中、唯一3年生として、記事執筆やSNSでの発信を行うセクションのリーダーを務めています。

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