より良い組織設計のために
2020.10.29
今月の研修:リーダーシップパワー理論
リーダーシップパワー理論を人材採用へ活用する
影響力とは、相手の心の中に生じる
これは、A&PROのリーダーシップパワー理論における、最も大事な考え方の一つです。
人は、年齢や属する環境・個人の性格など、さまざまな変数に応じて、「どのような人物の影響を受けやすいか」が変わってきます。だからこそ、自分自身が影響を受けやすい一面で相手を動かそうとせず、相手が最も影響を受けやすいであろう一面を見極めたうえで相手と接することが大切です。今回の研修では、以下の7つに分類された「他人への影響力」について確認した後、実際に周囲の人と関わる中で、この7つの要素をよりうまく活用する余地はないかについて、深掘りしました。
- 専門性の力
- 人間的魅力
- 情報力
- 社会的地位
- 人脈力
- 報酬を与える力
- 懲罰を与える力
一般には、上記7つの力を相手によって使い分け、相手が成長するにつれ、より上部の力を活用して導くことが良しとされています。今回私は、本研修内容を組織設計の基盤となる「人材採用」と関連付け、以下のように考えました。
人材採用における採用基準は、リーダーシップパワー理論における他者への影響力と関連付けることでより本質的・かつ具体的になる。
こう考える背景を、私自身が所属する学生団体を例にご説明します。この団体では、大学の先輩が後輩に向けたキャリア支援・就活支援を行っているのですが、無給のNPO法人という側面もあり、運営メンバーのコミット度・スタンスの違いにより様々な問題が存在します。
例えば、メンバー全員で行う必要のあるユーザーの新規獲得に関すること。まだまだ認知度が低い組織ゆえ、知り合いづての紹介(リファラル)が重要な獲得チャネルになりますが、このユーザーの新規獲得に対するスタンスはメンバー間で様々です。自分が持ちうる人脈を最大限に駆使して獲得に動くメンバーもいれば、そうでない人もいる、といった具合です。
もちろん、後者寄りのメンバーをいかに引き上げるかは大切です。しかし一方で、メンバーを採用する段階で適切なスクリーニングができていれば・・・と考えることもできます。つまり、より良い採用基準の設定が必要不可欠なのです。
確かに、1人でも仲間が増えた方が、組織としての存在感やインパクトは大きくなる。しかしここを重視するあまり、組織の一員として必要な、ある意味最低限のパフォーマンスすら発揮しない(発揮するつもりのない)メンバーを採用してしまっては、元も子もありません。なぜならば、彼ら下位層のパフォーマンス向上のために、誠実に活動しているメンバーの時間や労力が奪われたり、組織としての一体感が失われたりするからです。
こうした事態を防ぐために必要なことが、冒頭でお伝えした、採用基準とリーダーシップパワー理論における他者への影響力の関連付けです。
例えば、何事も自身の損得で意思決定をする人が、そもそもNPO法人であり無給の学生団体のメンバーとしてどれだけの貢献をするかは、懐疑的です。対して、立場に関係なく意見を主張し、組織の理念から逆算して最も理に適った意見を取り入れるスタンスのある人にとって、一般企業に比べ役職によるパワーバランスに差がない学生団体は、活躍するための絶好の環境と言えるでしょう。
つまりこの場合、「個人の損得勘定よりも、組織としての理念を優先し意思決定・行動できる」という採用基準が生まれます。
そして、これはあくまで一例に過ぎません。今ある組織課題のうち、採用段階に要因があるものを洗い出し、改善できる部分は改善したうえで来季の後輩へとバトンタッチすることが、残りの活動期間で果たすべき、自分自身の役目だと考えています。
これから研修を受ける方々へ
今回の研修では、周囲の人をいかに動かすか、ということについて体系的な学びが得られます。バイト・サークル等々、どんな組織においてもメンバーの巻き込みをすることは必要不可欠だからこそ、全ての大学生、特にメンバーをまとめるリーダー的なポジションにいる方にとって、大変おすすめの研修です!!
研修で学んだこと
- 信頼残高:ある人に対しての自身のこれまでの行動・立ち振る舞いによって決まる、相手から見た自分への信頼度合い
- 信頼を積み重ねるためには、自分か積極的に約束をして、確実に守ることが有効
田村稔行 早稲田大学 基幹理工学部 情報通信学科