プロジェクトが不安な原因とは?試行錯誤によって『不確実』⇒『確実』へ
2021.08.14
今月の研修:プロジェクトマネジメント(基礎1)
新しい企画を立ち上げ、計画を立てる際、先行きを不安に感じたことはありませんか?慎重に進め、綿密に計画を立てたのにプロジェクトが失敗してしまった…という経験のある方は少なくないでしょう。今回の記事では、プロジェクトの初期にぶつかる不確実性の波の中で、リーダーはどのようにプロジェクトを推進し、メンバーを導くのか、その方法をご紹介します。
今回の記事で伝えたいことは以下の三点です。
- 分からないからこそ初動の早さが重要。
- 不確実を確実なものにするために仮説と検証を繰り返す。
- 最初に進むべき道を示し、メンバーを導くのがリーダーの役割。
そもそもプロジェクトとは?業務との違いを再確認
そもそもプロジェクトとは何でしょうか?記事を読む前にこちらの認識を統一します。A&PROにおいてプロジェクトとは『独自性✕有期性』と定義しています。
『独自性』というのは新しい価値を生むという意味合いです。今まで行ってきた仕事を繰り返すのは業務ではありますが、プロジェクトではありません。
『有期性』というのは期限が決まっているということです。プロジェクトというのは終わりがあります。だからこそ時間内、期限内で成果を出すことが重要です。
つまり、今までにない目標・目的に向かって、スケジュール立てて取り組むことがプロジェクトと言えます。
プロジェクト推進の3つの要素
分からないからこそ初動の早さが重要。
思考力に自信があっても行動力に自信がない人は多くいるのではないでしょうか?考えることが得意な人ほどあらゆるケースを想定してできるだけ正解を得ようとします。しかし、この状況において立てる計画というのは非効率かつ効果的でもありません。それはなぜでしょうか?以下の図をご覧下さい。
この画像から分かるようにプロジェクトの最初は不確実な要素に溢れており、その時に立てる計画は振れ幅が大きくなってしまいます。だからこそ初期段階の思考は深さではなく、早さの方が重要です。分からないことが多い中で綿密に計画を組むより、動きながら必要な情報を収集することが必要になります。
不確実を確実なものにするために仮説と検証を繰り返す。
先ほど初動の早さが重要と述べましたが、これはただ行動すれば良いというわけではなく、結果を予測し実績を測定することが本来の目的です。仮説検証に関してのエピソードとして、私自身が現役のフリーのコンサルタントととある大手教育会社の役員の方と話した内容を紹介したいと思います。
一つ目のエピソードはコンサルタントの方にアナリストとして求められるスキルは何かと質問したときの内容です。
『アナリストは調べることが仕事。しかし、実際に取り扱う情報は膨大だから闇雲に探すのは効率が悪い。それなら初めからある程度結論を予測し、それに準ずる情報をまず集めるべき。結果的に間違っていたとしても、次の仮説検証に活かせる。もし初めの時点で仮説がなければ全部集めきるまで判断ができなくなる。』
次のエピソードは就活時代に役員の方とキャリア面談を受けた際の内容です。
『就活において最も重要なのはキャリア設計だ。もっと具体的に言えば、将来にマイルストーンを置けているかどうかが社会人として成功するかどうか関わってくる。目標がなければ自分にあったキャリアかは実際にならなければ分からないが、目標があれば途中で判断できる。』
今回紹介した二つのエピソードの共通点はまさに仮説検証の重要性を表していると感じます。仮説というとただ不確実なものに感じるかもしれませんが、仮説があるからこそ現状の良し悪しの判断ができるとも言えるでしょう。
最初に進むべき道を示し、メンバーを導くのがリーダーの役割。
これまでプロジェクトの不確実性とその中で取るべき行動を説明してきました。それではその状況下におけるリーダーの役割とは何でしょうか?それは二つあります。
- プロジェクトの不確実性をメンバーへ周知すること。
- メンバーが安心して行動できるようにリーダーが自信を持って進むべき道を示すということ。
リーダーはプロジェクトという性質を理解し、メンバーに伝え、導かなくてはなりません。上記二点はどちらか一方では成り立たないことです。例えば、リーダーだけがプロジェクトの性質を理解していても先行きの見えない行動はメンバーにとって負担です。一方でメンバーにプロジェクトの性質を伝えても、リーダーが同じように不安がっていてはむしろ逆効果です。
初動の速さが重要であることや仮説検証のサイクルが重要であることはただの知識です。これをどう使うかはリーダー自身に関わってきます。
実際のプロジェクト推進に応用するには
今回の研修の内容は自分が今まさに抱えている課題感にフィットした内容でした。どうして自分のチームの先行きは不安なままなのか、その原因はスタートの時点にあったことに気づけました。今回は自戒を込め自らの失敗談とその時どう動くべきだったのかを述べていきます。
不確実さの沼にはまった立ち上げ期
私は現在キャリア支援団体に所属しています。立ち上げ期に参画したためまさに今回の記事に書いているようなプロジェクトの初期段階に一つのセクションのリーダーとして活動していました。結果的に私の動きは組織の停滞を招いてしまいました。その原因として以下の理由が挙げられます。
- 不確実なことばかりで作った仮説に自信を持てず、検証をないがしろにしてしまった。
- メンバーに対して次の行動を指し示せず、組織全体として停滞する時間を作ってしまった。
まさにプロジェクトの不確実性に組織全体が吞まれてしまいました。今までの言葉を使えば初動が遅く、仮説検証のサイクルを回さなかったので、プロジェクト全体が不確実、不透明なままで進んでしまいました。そのような状況を招いたのはリーダーである自分がプロジェクトの性質を理解せず、メンバーを導くことを怠ったことが原因です。
今回の研修を通じて過去の自分に伝えたいことは以下の通りです。
- 仮説や計画は立てることが目的なのではなく、検証して事実に近づけていくことが目的であること
- リーダーが思考を止めるのではなく、メンバーと共に思考と検証のサイクルを回すことが重要であるということです。
プロジェクトはもう中盤に差し掛かっていますが、常に仮説を持って行動することやその検証のために必要な情報を集め判断していくことで現在も抱えるプロジェクトの不透明さを解消していきたいと思います。
これから研修を受ける方へ
今回の研修は新規事業の立ち上げや創業期のような新しいことに挑戦するような人に特に知ってほしい内容です。プロジェクトのスタートは不確実である。それを踏まえて自分たちはどう動くべきか、メンバーにどうコミュニケーションをとるべきかを知るきっかけになるかと思います。
今回の研修で学んだこと
- プロジェクトとは
- プロジェクト推進の5つのプロセス
- 不確実性のコーン
- 課題をスケジュールに落とし込む
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