互いに尊敬し合えるチームに必要な要素とは?

クレド2 :互いに尊敬しあえるチームであれ

尊敬し合えるチームでなければ、最高のサービスは提供できない。プロ同士、互いに馴れ合いを排除する勇気を持って「尊敬される努力」と「尊敬する努力」をし続け、長所を生かし合えるチームを作ります。

尊敬し合えるチームの2つの要素

「お互いに尊敬し合えるチームでありたい」

これはきっと誰もが考える理想のチームだと思います。

しかし、チーム全員を尊敬することは難しいと感じている人が多いのではないかと感じます。特にサークル活動や学生団体など、人によってモチベーションの大きさが違う環境では、全員が「尊敬する努力」と「尊敬される努力」をするとは限りません。

では、そのような環境においても互いに尊敬し合うために必要なこととは何でしょうか。

私は、「違いを長所として捉え、活かすこと」「些細なことでも言葉にして伝えること」が欠かせないと考えています。

私が互いに尊敬し合えていると感じるチームの例を用いて、それぞれについて説明していきます。

違いを長所として捉え、活かす

私は現在、内定先の研修で3ヶ月間に渡るグループワークに臨んでいます。研修はオンラインで行われており、まだ一度も同期に会ったことがありません。

しかし私は、すでに同じグループの他5人のことを心から尊敬しています。

なぜなら、「違いを長所として捉え、活かすこと」「些細なことでも言葉にして伝えること」を行ってきた結果、一人一人が「自分だからできる役割」を全うしているからです。

まず、「違いを長所として捉え、活かすこと」について説明します。

あるメンバーの例

同じチームに、プレゼン資料作成を得意としているメンバーがいます。

彼女は大学でデザインなどを勉強しており、視覚的に分かりやすい資料を作る能力に長けています。この点について私たちメンバーも彼女に大きな信頼を置いており、また本人も自分の役割として自信を持って資料作成を担ってくれています。

一方彼女は、白熱するチームの議論についていくことを苦手としていました。

そのため、彼女が議論の内容についていけなくなりそうな時は、全員でその場で一つ一つ一緒に解決していました。

ある日彼女は、「いつも私の理解力が不足しているせいで議論を止めちゃって本当にごめんね。」ととても申し訳なさそうにチームメンバーたちに話してくれました。

しかし私を含めた他のメンバーたちは、彼女の質問のおかげで曖昧だった点が明確になり、全員で共通認識をしっかり取って議論を進めることができていると感じており、マイナスな感情は全く抱いていませんでした。彼女のように質問をしてくれる人がいなければ、プレゼン本番まで曖昧な点に気づかないまま議論を進めてしまうことになっていたかもしれません。

短所に見えることもチームにおいては長所になる

彼女のプレゼン資料作成能力が強みであることは、誰が見ても明白です。

しかし、他人と比較して理解に時間がかかってしまうという一見短所に思えるものでも、彼女のおかげで新たな気づきが得られてより建設的な議論が行えているという点で、チームとしては立派な長所に繋がっているのです。そして、他の人が持っていない「違い」だからこそ、オリジナルな活かし方ができるのです。

これぞまさに、クレドの「尊敬する努力」に当たると思います。

些細なことでも言葉にして伝える

では、このように私たちが彼女の「違い」を心の中で長所として捉えているだけで十分でしょうか?

おそらくこのままでは、彼女は「尊敬される努力」をしようという気持ち以上に、申し訳ないという気持ちの方が大きいままだと思います。

ここで「言葉にして伝えること」が重要になってきます。

自分だからできる役割を認識するために

先ほどの例で、私たちは彼女のおかげでただひたすら突っ走るだけではなく、共通認識を取って着実に議論が進められていると実感していることを伝えました。

彼女は理解が遅いことを短所として捉えていました。しかしその「違い」が実はチームの議論を建設的にしてくれているということに他のメンバーたちは気づいていました。そして、そのことを言葉にして直接伝えたことで、彼女自身が思わぬ点からチームメンバーに感謝・尊敬されていたことに気づくことができました。

この日から、彼女自身も質問することを申し訳ないことではなく、チームのために貢献できる1つの形として捉えるようになりました。彼女は、プレゼン資料作成のみならず議論そのものについても「自分だからできる役割」を見つけたことで、今まで以上にその役割を大きく果たそうと前向きになりました。

私自身や他のメンバーの例

これは、彼女だけに限ったことではありません。

私自身、最初は自分がどういった側面から貢献できるか不安な気持ちでいっぱいでした。強いリーダーシップを持ち議論を推進してくれるメンバーの姿を見て、自分も何か力を発揮しなければと焦る気持ちもありました。そんな時、メンバーたちが客観的に見て感じた私の強みを言葉にして伝えてくれました。

そのおかげで、他人目線に立って分かりやすく言語化する能力や、議論が行き詰まった際に違う視点から打開策を見出す力という自分の強みを明確に見つけることができました。

他のメンバーの例で言えば、リーダーシップを持って議論を推進していくという分かりやすく長所として捉えられる個性もあれば、なかなか積極的に発言できず自分の頭で色々考えてしまうという個性もあります。しかし後者の特徴を持つメンバーは、実はその分常に議論を冷静に俯瞰しており、鋭い指摘をしてくれているという点でグループに大きく貢献していました。

このように各々の違いがチームにおいて長所として力を発揮していると感じた時に、その都度言葉にして伝えあいました。自分自身の長所もメンバーの長所も全員がしっかりと把握できている状態になったことで、自然と各々が力を発揮できる役割を分担して行うようになりました。

メンバーたちは、自分が期待されていることが明確になったおかげで、さらにその点を伸ばしてチームに貢献できるよう積極的に役割を果たすようになっていきました。

つまり、「尊敬される努力」をするようになったのです。 

違いを長所とするために

「違い」は自分にとっては弱みに感じてしまったり自信を失うことに繋がったりするものになる可能性があります。しかし、その「違い」は他の人が持っていないオリジナルな長所として捉えることもできるはずです。そのため、相手の長所だと思う部分や尊敬できる部分を見つけ、それを自分の中に留めずに言葉にして伝えることが大切です。伝えてもらった人は、自分の長所に自信が持てるようになり、チームにより貢献できるようにさらに磨いていこうという気持ちが生まれるはずです。

もちろん、チーム全員が本気で頑張っている中で水を差すというような「違い」は例外です。例えば私は、みんなで行っている議論を他人事として捉えて何もアクションしない人は尊敬できません。今回の例は人それぞれ得意不得意があれど、全員が本気で向き合っていたため違いが長所として表れたと思います。

つまり、あくまで自分が価値を発揮しようという主体性があることが前提です。

「違いを長所として捉え、活かすこと」「言葉にして伝えること」をどちらも押さえることで、全員が自分の長所・相手の長所を把握した状態でチームとして活動できます。

そして互いに尊敬し合い、高め合えるチームへと成長していくはずです。

今後への役立て方

私は現在、キャリア支援団体「エンカレッジ」に所属しており、あるセクションのリーダーを務めています。リーダーを務めるセクションは10人規模であるため、その分一人一人の違いを見つけて活かすことが難しいです。

しかし、些細なことでも言葉にして伝える意識をすることで、まだお互いに気づいていない長所に気づくことができるはずです。

これを私個人で行うのではなく、全員が意識して高め合う文化をセクションで作っていきたいです。

具体的には、毎週セクション内パートナーを決めて互いの動きに対して賞賛するというものを考えています。「尊敬する努力」「尊敬される努力」を全員がしようとする行動を促進し、各々が卒業時の理想状態に向けて高め合える環境にしていきたいです。

そしてエンカレッジを卒業する時に、社会人になってからも尊敬し合える仲間だと誇りを持てるよう努めていきます。

この記事の著者/編集者

星野歩華 早稲田大学 文化構想学部  

早稲田大学文化構想学部複合文化論系所属。
大学1年次から3年次まで、下駄を履いて踊るという唯一無二のパフォーマンスをするダンスサークルの活動に熱中。広報部長を務め、コロナ禍だからこそできる新たなパフォーマンスを企画・発信した。
現在はキャリア支援団体にて1学年下の就活生の支援をしつつ、一緒に活動するメンターたちが一人前になれるようサポートを行っていくエントランス・育成に携わるセクションのリーダーを務めている。

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