断れない理不尽なお願い、アサーティブな人はどうする?

今月の研修:アサーティブ研修

「(そんな理不尽なお願いされても......でも断れないしなあ。)はい、わかりました。」

このような対応をしてしまったことはありませんか?

このような対応を避けるべく、今回の研修では、自分も相手も大切にするアサーティブコミュニケーションについて学びました。本記事では4つのコミュニケーションのタイプ、そしてDESC法についてご紹介します。

コミュニケーションの4タイプ

伝え方には大きく4つのクセがあります。

1.aggressive(攻撃型)

判断材料もなく、説得力がないのに、一方的で強引なコミュニケーションの形です。

2.passive(受身型)

遠慮して本当に思っていることを言い出せないコミュニケーションの形です。

3.passive(作為型)

2.の形でコミュニケーションを続けると、やがて遠回しや皮肉で伝えたり、仕返ししたりするようになります。チームの雰囲気を壊す、最も避けなければならないコミュニケーションの形です。

具体例でこれらの3タイプを見てみましょう。

退勤した後は彼女との交際1周年を記念したデートを控えている部下A。退勤時刻直前のところで上司Bとこのような会話がありました。

B「Aくん、この資料明日までにまとめておいて。」
A「え……あの、この後予定があるんですが……。 」
B「俺も予定あってその仕事できないんだわ。よろしく頼む。」
A「あ……はい。」

上司Bは明らかにアグレッシブ、部下Aは明らかにパッシブなコミュニケーションをとっています。このようなコミュニケーションが続くとやがて、

B「Aくん、今日も資料作成お願い。」
A「ああ、いいっすよ。僕が全部やっておくんで、係長はさっさと帰って大丈夫ですよ。」

と、チクリと攻撃する作為型のコミュニケーションに変貌することがあります。誰もいい思いをしない、最悪な状態といっていいでしょう。

このような状態を生まないために有効なのがアサーティブコミュニケーションです。

4.assertive

自分の要求や意見を、相手の権利を侵害することなく、誠実・率直・対等に実現するコミュニケーションの形です。

もし部下Aがアサーティブであれば、次のようなコミュニケーションができていたかもしれません。

B「Aくん、悪いんだけどこの資料明日までにまとめておいて。」
A「これは......係長にとって明日までの大切な仕事ですね。私も大切にしたいのですが、実は、3か月前から約束している大事なイベントがこの後に控えています。私としては事前に約束した人との信頼関係を大切に守りたい一方で、何とか係長の期待に応えられないかと悩ましいところです......。例えば、今夜ではなく、明朝早くからの作業であれば、係長のお役に立てると思いますが、いかがでしょう。もし、今夜中の作業が望ましいのであれば、依頼できる方を一緒に探すのはいかがでしょう。係長に対しても同様ですが、『人との約束を守りたい』という私の思いを応援していただけると嬉しいです。」

先ほどの例と比べて断然、建設的なコミュニケーションといえます。このようにアサーティブであるためには、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。

DESC法

アサーティブコミュニケーションを成立させるための伝え方の1つにDESC法があります。

  • D:Describe…事実(状況)を客観的に簡潔な言葉で描写する。
  • E:Express…自分の感情を表現する。
  • S:Specify…的を絞り、現実的かつ具体的な提案を責任を持ってする。適宜第2、3案を準備する。
  • C:Consequences…「助かる」「嬉しい」など、提案の効果を端的に伝える。

大切なのは、事実と感情を明確に分けること、事実に基づいた現実的な提案をすることです。事実と感情を分けることで非合理的なアイデアを排除し、理屈の通った提案ができます。

先ほどの部下Aは、実はDESC法を活用していました。DESCを色分けすると以下のようになります。

B「Aくん、悪いんだけどこの資料明日までにまとめておいて。」
A「これは......係長にとって明日までの大切な仕事ですね。私も大切にしたいのですが、実は、3か月前から約束している大事なイベントがこの後に控えています私としては事前に約束した人との信頼関係を大切に守りたい一方で、何とか係長の期待に応えられないかと悩ましいところです......。例えば、今夜ではなく、明朝早くからの作業であれば、係長のお役に立てると思いますが、いかがでしょう。もし、今夜中の作業が望ましいのであれば、依頼できる方を一緒に探すのはいかがでしょう。係長に対しても同様ですが、『人との約束を守りたい』という私の思いを応援していただけると嬉しいです。」

DESC法を意識すれば、相手のアグレッシブなコミュニケーションによって生まれそうなアグレッシブさ・パッシブさを引き起こすことなくコミュニケーションを進めることができます。

実際の活用に向けて

と、ここまで述べたように言葉でアサーティブコミュニケーションを説明するのは容易いことです。しかし、アグレッシブなコミュニケーションをする人と対峙する実際の場面でアサーティブに振る舞うことも容易いとは言えません。

日頃からコミュニケーションを取る信頼できる相手やいつもアサーティブに振る舞ってくれる相手とコミュニケーションを取るときでもDESC法を意識して会話することが大切です。

相手がアサーティブだから自分もアサーティブでいられる、のではなく、自分がお互いにアサーティブなコミュニケーションを作れる状態であることが理想ですね。

これから研修を受ける方々へ

A&PROの研修は実践にこだわります。上記のようなインプットの後、それを使いこなすレベルを目指してアウトプットを行います。このケースワークは決して易しくありませんが、学んだものを価値あるものへ昇華させるためには必要不可欠なプロセスです。具体性にこだわる人は、ぜひA&PROの門を叩いてみてください!

研修で学んだこと

この記事の著者/編集者

藤原穫 東京大学大学院薬学系研究科  リーダーズカレッジ リーダー 

秋田県出身。高校時代は強豪校でバドミントンをしていました。大学に入ってからは民族舞踊に励み、修士2年になった現在は薬物動態の研究をしています。趣味は旅行。死ぬまでにすべての温泉地を回りたいと思っています。これまで複数の組織で培ってきたリーダーシップに磨きをかけるべく、A&PROでの研修に励んでいます。

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