自己犠牲は誠実なのか?

クレド4.誠実・謙虚であれ

周りの人たちに対して、損得ではなく誠実・謙虚に行動していきます。小さな約束もきちんと守り、信頼を積み重ねていきます。

「全てを投げ出したい」という言葉

みなさん想像してみてください。

ある日、いつも努力し支えてくれるチームの上司・リーダーがぽろっと自分に言いました。

「課題が多いんだ」「今すぐに全てを投げ出して辞めたい」

あなたは、この言葉を聞いてどのように感じるでしょうか?

「リーダーが何をいうんだ、みっともない。」「目標が高すぎるから仕方がない。」「リーダーだから大変なのは仕方がない。」と思いますか?

それとも、「何が課題なんだろうか。リーダーをこのような状態にさせてしまった自分が不甲斐ない。自分にできることはあるか?」と思いますか?

もし、前者の考えを持った場合は、自責思考が足りない場合があります。自分が所属するチームや組織に起こっている課題を自分ごととして捉えることは成長していく人財になるために必要不可欠なことです。

まずはこちらの記事を読んでみてください。

後者の考えを持った場合、あなたはリーダーの課題を認識した上で、おそらく前よりももっとチームに対して主体的になっているはずです。課題があることを視野に入れた上で行動が変わってくるはずです。

このように、リーダーがしっかり仕事をしている、かつ信頼できるメンバーが周りにいる場合なら、たとえ「課題が多いんだ」「今すぐに全てを投げ出して辞めたい」といった究極にネガティブで一見言ってはいけないように思える言葉も、ポジティブな効果を産むことがあるのです。

自分には抱えられない課題があったとしても自分で解決しようとしていませんか?自分はきちんと物事を推進する責務がある。弱音なんてもってのほかだ。とメンバーに頑張っている面だけ見せていませんか?

誠実自己犠牲して頑張り続けること」ではありません。

もし、あなたが自分の辛さや悩みを抱えてしまうことが多いリーダーならば、それを解決させるために一緒に考えていきましょう。

まずは自分を省みる

まず前提として、「自分は仕事に真摯に向き合っているか?」を考えましょう。

冒頭の話でも、あなたに弱音を出したリーダーはいつも努力し支えてくれる人でした。

それがもし、自分の好きなことだけやる・責任を負わずに努力している姿もないリーダーだったらいかがでしょうか?

いくら弱さを垣間見たとしてもそのリーダーのために頑張ろうとはなれません。

ここでポイントとなるのは、

  • 自分の責任をしっかり把握している
  • その責任を果たそうという意識がある

ということです。

どうにかその責任を全うしたい、目標に向かって頑張りたい、という思いを持っている場合ならば、自分の弱さを見せても相手に対して不誠実になることはありません。

全てを見せられるメンバーを見つける

次に、自分のプラスの面だけでなくマイナスの面まで全て見せられるメンバーが誰かを考えましょう。

自分の弱さを受け止め一緒になって課題を解決するように考えてくれる人は次のような人です。

  • 自責思考があり課題を自分ごととして捉えられる
  • 距離感がある程度近く、目指すべき先や目標を共有している

冒頭のエピソードにもあった通り、自分の弱さを他人事として考え「リーダーが悪い」と思ってしまうメンバーにはまだ弱さを見せることができません。

そのメンバーはリーダーやチームに依存している可能性があるため、メンバーを自立させる方向にまずは動いてみましょう。

こちらの記事を参考にしてみてください。

さらに、組織の中でも遠い存在である人は、その人にとって課題が認識しづらいため、他責思考に陥りがちです。課題は、目標に向かって何かしらの壁がある時に生まれます。目標を共有している相手なら、その課題を明確に理解すると共に、自分ができていなかった部分を内省したり意見を出してくれたりするはずです。

自分の思いをありのまま伝える

実は私も自分の弱さを全く見せられないリーダーでした。

その理由として、そもそも弱みを見せてはいけないと感じていたと共に、「相談するにしても綺麗な言葉で伝えなくてはならない」と考えていました。

リーダーもうまく説明できないようなことをメンバーに相談したとしても解決できるのだろうか、困惑させてしまうのではないか、という不安があったのです。

しかし、そう感じていたらいつまで経っても自分のできない部分や弱さを見せることはできません。さらに、自分ではない人からの新しい切り口も得ることができません。

「モヤモヤしてることがある。答えを導こうとしなくてもいいから、ただ話を聞いて欲しい」と素直に投げかけて、ありのまま弱さを共有してみましょう。

自分にも周りにも誠実なリーダーになるために

私自身も、どんな戦略を立ててもうまくいかなくなった際、メンバーの一人に腹を割って相談したことがありました。すると、メンバー自身がその課題に主体的になり、自分の行動量がまだ足りていなかったと行動を改めてくれました。
そして、課題感に基づき役割再編したことにより、再び成果を出すことができるようになりました。

きちんと仕事を全うしたり、責任を負いながら努力することも誠実さです。その姿勢は必ずチームに良い影響を与えます。

しかし、その責任や役割に縛られすぎると、逆に本来の自分の弱さを表に出せなくなってしまうこともあると思います。

そうして自己犠牲的に辛く悩んでいる状態は、チームや相手に対しては誠実でも、自分に対して誠実であるとは言えません。

本当の誠実さとは、自分にも周りにも誠実であることだと私は考えます。

そのために、

  • 自分の責任を果たそうと思えているかを省みる
  • 弱さを見せられるメンバーを見つける
  • ありのままを伝える

ことを意識してみてください。

そうすれば、メンバーもリーダーの弱さを真摯に受け入れてくれるはずです。そして、自分にも周りにも誠実な真のリーダーになることができます。

この記事の著者/編集者

河本のぞみ  早稲田大学 文化構想学部 

キャリア支援団体においてチームリーダーを務める。自分に足りないところに向き合いながら憧れの存在に近づくために日々試行錯誤している。
部活:バスケットボール部キャプテン(中学時代は公式戦で一度も勝てなかったほどの弱小校。)
サークル:バスケサークル幹事長(学外の大会で優勝経験があり)
家族構成:起業している母と修行している父。プロアメフト選手の兄。

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