日常は当たり前ではないもので溢れている。

クレド1.周囲の人・物事すべてに感謝

私たちが社会で生きていけるのは、周りの人・物事のおかげです。相手から感謝される人は自分自身が周りに感謝している人。すべてに感謝し、豊かな人間関係を構築し、社会貢献していきます。

世間では、感謝することは大切だ、感謝の気持ちを忘れてはいけない、ということがよく言われます。そして多くの人が、感謝することは大切だと感じているはずですし、感謝の気持ちを忘れてはいけないと思っているはずです。それでもなお感謝すること、ありがとうと言うことの大切さが訴えられるのは、表面上ではない本質的な理由が何かあるのではないでしょうか。

当たり前らしきもの

先日の話です。私が乗車していた電車に盲導犬を連れた盲目の女性が乗り込んできて、近くの女性が、彼女を優先席へ案内しました。残った最後の優先席にちょうど座ろうとしていた人もいたのに、すかさず判断して案内したその女性の行動は勇気がいるものだったと思います。その女性に盲目の彼女は「ありがとう」と伝えていました。

きっと彼女はさぞかし感謝していたことでしょう。しかし、彼女の感謝の気持ちを想像すると同時にこんなことも考えてしまいました。「彼女は案内されることに慣れ、もはや当たり前のことになっているのではないか」と。「『助けてもらって当然』と思ってしまうことはないのか」と。

「さすがにそんなことないか……笑」と流しかけたその瞬間、私はとても重要なことに気付いてしまったのです。自分こそ、いまここに何不自由なくいる状態を、当然のものだと思ってしまっていると……!

衣食住が充実していて、何不自由なく生きていけるこの状態を当然あるものと思って、いや、むしろ意識することさえなく生きていたのです。

もちろん、どこかで災害が起きたり、誰かが亡くなったりするたび、自分の環境のありがたみを感じはするのです。しかし、特に事件・事故が起こらない日々の中で、毎日そのありがたみを意識できているかというと、そうではありませんでした。

なぜ感謝することは大切なのでしょうか。なぜ人は「ありがとう」と言うのでしょうか。相手に感謝を伝えるため、気持ちの良いコミュニケーションを成立させるためなど、多くの答えが考えられます。私が先ほどの電車内で気付いたことから、その答えの一つは受け取った何かが当たり前のものではないと自分の奥深いところに言い聞かせることができるからであると考えました。

もし繰り返される「受け取り」に対して「ありがとう」と言わなかったら、「ありがとう」と思わなかったら、気付かぬうちにその「受け取り」を当然と思うようになってしまうのではないでしょうか。

そして「受け取り」を当然のように思うようになると、人、モノ、お金、時間を大切にすることができなくなり、ぞんざいに扱ってしまうようになるでしょう。さらに(卵が先か、鶏が先かという話に近いのですが)当たり前とは普段思っていないことにさえも感謝の気持ちを忘れてしまうかもしれません。

よくよく考えてみると、「ありがとう」という言葉は「有り難い」という言葉から来ていることにも気付きました。有り難い=滅多にない。まさに「受け取り」を当然のものと思わない考えが表れている言葉ですね。

安定した衣食住、良くしてくれる家族や友人、本気で向き合ってくれる職場の上司や部下、組織の先輩や後輩。日常には、決して当たり前ではないものばかりで溢れています。

だから、何気なく思える日々に対してでも「ありがとう」と思ってみることで、当たり前ではないたくさんのものに気付くことができるのです。

つまり、冒頭で述べた感謝が大切である本質的な理由とは、感謝によって「当たり前らしきもの」を大切にできるからなのだと思います。

当たり前らしきものを作る「慣れ」

今回の私の記事は「日常に対する普通という感覚」への気付きによるものでした。そこで、普通という感覚に近い「慣れ」についても考えてみました。慣れとは怖いもので、初めに抱いていた感情や心構えなどを見失わせてしまいます。物事にある程度慣れてきたとき、初心に立ち返って自分を見つめてみることも大切ですね。「いつの間にか当たり前に思っていた」ものが見つかるかもしれません。

この記事の著者/編集者

藤原穫 東京大学大学院薬学系研究科  リーダーズカレッジ リーダー 

秋田県出身。高校時代は強豪校でバドミントンをしていました。大学に入ってからは民族舞踊に励み、修士2年になった現在は薬物動態の研究をしています。趣味は旅行。死ぬまでにすべての温泉地を回りたいと思っています。これまで複数の組織で培ってきたリーダーシップに磨きをかけるべく、A&PROでの研修に励んでいます。

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