役立つ実例&敬語一覧付き、正しいビジネス敬語の使い方
2020.09.14
今月の研修:マナー研修
ビジネスマナーには服装や行動と同じく言動も含まれます。社会人としてふさわしいマナーを身につけるということは、綺麗な言葉遣いを心がけることをも意味するのです。しかし、言葉遣いを学ぶ機会は少なく、間違った敬語を使っている人も少なくありません。そこでこの記事では、職場や取引先で恥ずかしい思いをしないために、ビジネスの場で役立つ正しい使い方をご紹介します。学生の方も今のうちから適切な敬語を使えるよう、この機会に確認してみてください。
仕事でよく使う代表的な尊敬語・謙譲語
ご存じの通り、敬語には大きく分けて3種類あります。相手の動作について述べる尊敬語、自らをへりくだって述べる謙譲語、動作の主や内容を問わず丁寧さを添える丁寧語です。
これらは学校でも習うことですが、いざ実践するとなると特に尊敬語と謙譲語を混同してしまう方も多いのではないでしょうか。
ここで一度、ビジネスシーンでよく使う言葉の尊敬語と謙譲語を下の表でそれぞれ確認しましょう。場面に応じて使い分けできるようにしておくことが大切です。
相手に不快感や不信感を与えることのないよう、基本的なことこそしっかり押さえておきたいですね。自分だけでなく会社の信用にも関わることがあるので、普段から正しい言葉遣いを意識することが重要です。
シーン別!間違えやすい敬語表現
それでは上記の基本を踏まえたうえで実際の使い方に移りましょう。ここではビジネスの場でよくある例に沿って、間違いが多い敬語表現をご紹介します。合っているようで実は間違っている敬語もあるので、一つひとつ丁寧に確認しながら見ていきましょう。なぜ不適切なのかを理解することで誤用を避けることができます。
挨拶
NG:お疲れ様です。株式会社○○のAでございます。
OK:お世話になります。株式会社○○のAでございます。
「お疲れ様です」は今や挨拶として使われることが多い言葉ですが、基本的には身内に対してのみ使う表現です。取引先など外部の相手に対しては「お世話になります」や「お世話になっております」が適しています。ちなみに「お世話様です」は敬意が薄れてしまうので間違えて使うことのないよう気をつけましょう。
NG:お久しぶりです。お変わりありませんか?
OK:ご無沙汰しております。お変わりありませんか?
間違っているわけではありませんが、「お久しぶりです」は誰にでも使える言い方のため、くだけた印象を与えることもあります。目上の人や取引先に対しては使わない方が無難です。
NG:残暑が厳しいですが、どうぞお身体をご自愛ください。
OK:残暑が厳しいですが、どうぞご自愛ください。
「ご自愛ください」には「お体を大切にしてください」という意味があります。したがって上の表現では「頭痛が痛い」のような重複が起きてしまうのです。
なお、似た表現の「おいといください」は「大事にする」の意味を持つ「厭う」から来ているので、「お(身)体を」と入れるのが一般的です。2つの使い分けに注意しましょう。
入電・来客
NG:もしもし、株式会社○○のAが承ります。
OK:お電話ありがとうございます。株式会社○○のAが承ります。
ビジネスの場で「もしもし」を使うのはマナー違反とされています。代わりにお電話をくださったことに対して感謝の意を述べましょう。また、3コール以上鳴ってから電話を取る場合はお礼ではなく「大変お待たせいたしました」とお詫びの言葉で始めるのが一般的です。
NG:申し訳ございません。Aは本日お休みを頂いております。
OK:申し訳ございません。Aは本日休みを取っております。
よく耳にする言い回しですが、相手の受け取り方次第では失礼にあたる言葉なので言い換えた方が良いでしょう。休みを与えてくれるのは自分の会社のため、身内を持ち上げているように聞こえてしまうかもしれないからです。
それから、「お」を付けると丁寧に聞こえますが、自社の人間の休みに対して「お」を付けるのは不適切なので使わないようにしましょう。
NG:声が少々聞こえにくいのですが、もう一度繰り返していただけますか?
OK:少しお電話が遠いようでして、もう一度繰り返していただけますか?
NG例だと相手に非があるような言い方になってしまいます。相手の声が小さい、周囲が騒がしい場合でも、相手に落ち度があるような物言いをしてはいけません。そもそも自分が使っている電話の調子が悪いことや、回線が混雑していて聞こえづらいこともあり得ます。
NG:お名前を頂戴してもよろしいでしょうか?
OK:お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?
名刺ならばともかく、名前自体をもらうことはできません。「聞く」の謙譲語である「伺う」を使うのが適切です。
NG:A様でございますか?
OK:A様でいらっしゃいますか?
「ございます」は「ある」の丁寧語ですが、自分の名前を述べる時は謙譲語的に用いることができます。しかし相手に対して使う時にはふさわしくありません。「いる」の尊敬語である「いらっしゃる」を使いましょう。
NG:○○商事のA様がお越しになられました。
OK:○○商事のA様がお越しになりました。
間違った敬語表現で特に多いのが二重敬語です。とにかく言葉遣いを丁寧にしようと意識するあまり使ってしまうのでしょう。この場合は「来る」の尊敬語「お越しになる」に、尊敬の助動詞「れる」が重なってしまっています。
丁寧な気持ちを表しているのだから大した問題ではないと思う方もいるかもしれませんが、慇懃無礼という言葉がある通り、かえって嫌味に取られてしまう可能性もあるのです。二重敬語を無意識に多用している方は特に注意してください。
NG:まもなくAが参ります。どうぞお座りになってください。
OK:まもなくAが参ります。どうぞおかけになってください。
一見すると丁寧なようですが「お座り」は犬へのしつけを連想させます。相手に不快な思いをさせないためにも「おかけになる」を使った方が無難です。
その他
NG:なるほど。
OK:左様でございますか。
「なるほど」自体は目上の人に対しても使える言葉ですが、人によっては上から目線で言われたようにも感じます。とはいえ、日常でも良く使う言葉なのでとっさに出てきてしまうこともあるでしょう。そのような時は「承知いたしました」や「おっしゃる通りですね」などを後に続けると感じが良いです。
NG:お分かりいただけたでしょうか?
OK:ご不明な点などはございませんか?
これも「分かる」の尊敬語なので間違いではないのですが、言い方によっては「分かって当然」と見下されているようにも受け取られてしまう恐れがあります。理解したか否かを確認するのが目的なので、上記の例のように言い換えるのがおすすめです。
NG:了解しました。
OK:承知しました。
NG例の「了解する」は丁寧語なので、軽い印象を与えてしまいます。謙譲語の「いたす」が含まれる「了解いたしました」であれば良いという人もいますが、「了解」という言葉自体が、立場が同等の人や目下の人に対して使う言葉として広まっているので、やはりビジネスシーンでは使うべきではないでしょう。上記の言い換えよりさらに丁寧さを出したい場合は「かしこまりました」を使うのも良いですね。
言葉遣いは心遣い
美しい言葉を使う人は、心根が美しく魅力的な人だといいます。これは反対の場合も当てはまるでしょう。すなわち、言葉にはその人の品格が表れるということ。美しい言葉とはもちろん正しい言葉です。敬語のマナーが良い人は、職場や取引先で一目置かれる存在になるでしょう。実際、正しい敬語を使える人はそうでない人よりも信頼できますし、気持ちよくやり取りできます。正しい言葉遣いと共に、その時・その場・その人にふさわしい言葉を選ぶ心遣いを身につけたいですね。
これから研修を受ける方々へ
この記事では言葉遣いのマナーに焦点を当てましたが、実は今回の研修では触れていない内容です。実際の研修では挨拶や身だしなみのチェックに始まり、マナーとサービスの定義づけ、ホスピタリティやおもてなしに昇華する方法などが扱われました。とはいえ、もちろんA&PROでは言葉遣いを始めとした基本的なことも大切にしているうえ、敬語のマナーはビジネスに欠かせない要素のため、敬語表現を題材にしようと筆を執った次第です。
このように学んだことをただ吸収するだけでなく、自分の中で独自に練り上げ、発展させられるのがA&PROの学びの特徴です。同じ研修を受けたとしても、受け取り方や活用の仕方は十人十色。もしあなたが研修を受けたなら、どんな価値のある学びを得られるのでしょうか。想像してみるだけで期待に胸が高鳴ります。願わくば、この記事やA&PROの研修をきっかけに、あなたの未来がさらに拓けたものになりますように。
研修で学んだこと
- 目的を持って挨拶する
- 伝えたい想いを礼に込める
- 自己評価より他者評価
- コストなど合理性を保ちつつ、一人の人間として真摯に対応
- 受け取り手次第でマナーにもおもてなしにもなり得る
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