いかにして、「計画通り」に行動するか

今月の研修:社会人の持つべき習慣(公的成功)

誰しもが経験している?タスクに追われる日々

突然ですが皆さんは、以下のような経験をしたことはないでしょうか?

1週間後に〆切のレポートAが課される→早めに終わらせようかなと考える(が特に何もしない)→〆切前日に慌ててAに取り組み始める→その日に、当日〆切の別のレポートBを課される→Bで手いっぱいになる→徹夜でAに取り組むが......

この例を読んで、皆さんはどこに問題を感じるでしょうか?〆切前日までレポートAに手をつけなかったことでしょうか?もちろんこれ自体も問題ですが、それ以上に目を向けるべきは、レポートAが課された時点で、〆切期限までの期間に、レポートAを書くための時間をブロックしなかったことです。今回の記事では、

  • そもそもなぜ上記太字部分が重要な観点であるのか、その理由
  • 多くの方にとって参考になるであろう、時間管理の具体的な実践方法

以上の2点について記載します。

学んだ理論

今回の研修では、以下の画像に示すようにタスクを緊急度・重要性の2軸を用いて4つに分類、それぞれのタスクの特徴を学び、計画的にタスクを実行するためにはどのようなことが必要かをディスカッションしました。

仕事は「緊急度」「重要性」の2軸により4種類に分類される

以下には、効果的かつ効率的にタスクを実行していくために必要な要素を挙げます。

  1. 第1領域のタスクを減らし、第2領域のタスクを増やす
  2. それでも発生する第1領域のタスクのために、事前に一定度の時間を確保する
  3. 第3領域のタスクは極力削減・効率化する
  4. 第4領域のタスクは極力0にする(上限を決める)

そして上記の中でも特に重要な観点が、1と2であり、理想的なサイクルは以下の通りです。(このサイクルに関するより詳細な記事はこちらから)

  1. 第2領域のタスクを早めに完了させる
  2. 時間に余裕が生まれる
  3. 第1領域の急なタスクにも対応でき、かつ新たな第2領域のタスクにも時間を費やすことができる
  4. 一番上に戻る

常にこのサイクルを実行できれば、タスクに追われることなく、計画的に時間を使うことができるのは明らかでしょう。事実冒頭の例では、レポートAが課された段階(第2領域)で特に何もアクションをせず、〆切間近(第1領域)になった段階で対応していました。これでは、新たに緊急のタスク(別の第1領域)が発生した際に対応できません。

しかし、今回私が記事を通じて伝えたいこと、それは上記の理論を学ぶだけでなく、自分自身の行動に落とし込み、日々進化していくための方法論です。以下では、私が今回の研修をきっかけに実践し始めた、1つの具体的な方法をご紹介します。

定量的に自身を分析、実際の行動に繋げる

後半では、ここまでの内容を具体に落とし込む際の、1つの実践例を挙げていきます。

  • 週単位で計画を立てる(以下考えるべき観点)
    • 期限ギリギリではなく、余裕を持ちスケジューリングしているか(第2領域)
    • 急なタスクにも対応するための時間を確保しているか(第1領域)
    • 総じて、前週の振り返りを生かしているか
  • 週単位で前週の振り返りを行う
    • データ収集
      • 各領域別に割いた時間とタスク内容
      • 当初の計画とは異なる使い方をした時間とその要因
    • 分析する上での観点
      • 第1領域・第2領域それぞれにかけた時間の比率
      • 第3領域で効率化または削減できるタスクはないか
      • 第4領域にかける時間を削減できないか
研修前:スケジューリングされていない時間帯が目立つ

元々私は、「何かしらのタスクをしているが、振り返ると何をしていたか詳細が分からない時間帯」が多いという点を問題に感じていました。(実際に集計したところ、60H/週)例えば3日は、ほぼ丸1日大学で何かしらのタスクをしており、帰宅後は諸々の家事を行っていたにも関わらず、上記スケジュールには空欄の時間帯が目立ちます。これでは、その時間の使い方を、記事前半で記載した考え方に基づき振り返ることができません。

研修後:以前に比べ、予定なしの時間帯が減少

一方、研修後の上記のスケジュールでは、空欄の時間帯が減少しています。(実際に集計したところ、34H/週)この週のスケジュールを14日に立てたこともあり、当日・翌日は喫緊のタスクのためにまとまって時間を取っていました(第1領域のための時間確保)が、週中盤以降は明らかにスケジューリングされた時間帯が増えています。もちろん、締め切りに追われていた時間帯もありましたが、先々を見据えて重要なタスクは何か、をもとにスケジューリングした時間帯もありました。今後もさらに、いかにスケジューリングされていない時間帯を減らし、第2領域の時間帯を増やせるか、などの観点に着目して時間の使い方を改善していきます。またこれ以外の観点についても、研修前後での変化を以下に示します。

  • 第1領域・第2領域それぞれにかけた時間(の比率)
    • 第1領域の時間:測定不能→25H
    • 第2領域の時間:3H→18.5H
  • 第3領域で効率化または削減できるタスクはないか
    • 各種メール確認専用の時間を毎日固定でスケジューリングすることで、返信等のタスク時間が削減できる
  • 第4領域にかける時間を削減できないか
    • 趣味の時間や動画視聴の時間を「まずは記録する」ことから始めることで、どれだけの時間を第4領域に費やしているかが可視化されて自分をコントロールしようという意識が働く

そして最後に、研修中に一番印象的だった言葉をご紹介します。

「タイムマネジメントの本質は、セルフマネジメントである」

いくら理想的で素晴らしい行動計画を立てても、いざ実践というときにYouTubeを見たり、もう少しだけ、と寝てしまったり、では意味がありません。いかに自分で自分を律することが出来るかが、「タスクに振り回される側」になるか「タスクを支配する側」になるかの分かれ道なのではないでしょうか。

最後にここまでの要点を以下にまとめます

  • 第2領域のタスクを積極的にスケジューリングして、第1領域のタスクに備えることが肝心(本記事前半)
  • 自身の時間の使い方をタスクの種類ごとに定量的に分析することで、具体的な行動ベースでの改善策が見つかる(本記事後半)

これから研修を受ける方々へ

計画的な時間の使い方というトピック自体は、ある意味ありきたりなものかもしれません。しかし私自身も、一般的に良しとされる方法を、大学生になって以降実際に行動に移すことが出来ていたかと言われれば、そんなことはありませんでした。一方で、大学受験の勉強は計画的に進めることができた感覚があります。しかしそれは、いつ何を勉強するかを、自分だけで決めることができる、というとても平易な条件の下でのことだったのだと、今振り返ると痛感します。

仕事をしていく上では、常に自分以外の他者が関係します。先述の第1領域のタスクに代表されるように、全てのタスクの実施時期を自分の都合でスケジューリングできるわけではありません。社会人になる前にこのことに気づくことができ、行動を変えていくきっかけを得られたことは、とてもラッキーなことです。今回の記事が、皆さんが時間の使い方を振り返るきっかけとなれば幸いです。

研修で学んだこと

  • 第1領域と第2領域は対応関係にある
  • あるタスクが重要かそうでないかは、環境や人など、タスクそのもの以外にも起因する
  • 仕事を進めるだけでなく、広く人間関係においては、「Win-Win」もしくは「No-Deal」の状態であることが理想
  • 共感と賛成は異なる
  • タイムマネジメントの本質は、セルフマネジメントである

この記事の著者/編集者

萩原佑太 早稲田大学 基幹理工学部  

高校まで10年間野球に打ち込み、一浪の末、早稲田大学理工学部へ

大学では、個別指導塾や引っ越しアルバイトを経験後、大学2年次からA&PROに所属している

A&PROでは塾講師を務め、4年次からはキャリア支援の学生団体にて顧客開拓部署のリーダーも務める
現在はA&PROと学生団体とのコラボプロジェクトに取り組み、日々相乗効果を目指し奮闘中

趣味はカラオケで、全国採点1位を獲得したことも!

するとコメントすることができます。

新着コメント

  • 田村稔行

    早稲田大学 基幹理工学部 情報通信学科 2021年06月14日

    タイムマネジメントはセルフマネジメントという言葉は、自分自身の日常と照らし合わせても意識しなければならないものだと感じました。
    というのも、私自身タスクを行うのがギリギリになってしまうことが多かったため、知人のアドバイスをもとにタスクのための時間を先にブロックする試行錯誤の段階にあります。
    この記事を参考に、第2領域だけに注目するのでなく第3, 4領域の削減、効率化も同時に行い、包括的にアプローチしていきます。

  • 山口賢人

    早稲田大学 法学部 2021年02月05日

    私もレポートを締め切り直前に書き上げるような大学生活を行っていたため、タスクを計画的に管理するということができていませんでした。
    私もタスクを計画的に行う本質は、スケジューリングするだけでなくその計画を実行する誠実さにあると考えています。
    私も、萩原自身が実践した方法を活用して、誠実な自分でい続けることを習慣化します。

  • 矢後慶樹

    早稲田大学 商学部 2021年02月05日

    萩原はやるべきことをしっかりこなしている印象が強いので、セルフマネジメントができていないという謙虚な自己評価をしていることにまず驚きました。タイムマネジメントはセルフマネジメント。これは今後社会人として生きていくうえで非常に大切な考えだと思います。今は大学生ということもあり、自己研鑽をする時間がとりやすいと思います。社会人になってから、自己研鑽する時間を確保するために、この考え方を胸に刻み、成長していきたいです。

最新記事・ニュース

more

当たり前のことを実践し続ける。それこそがリーダーの近道。 主体性を発揮する。 目的をもって始める。 重要事項を優先する。 この当たり前のことを、『7つの習慣』をもとに深掘りしていきます。 評論家ではなく、我がこととして取り組むメンバーのための研修です。

木藤 大和 荒 諒理 島元 和輝 川瀬 響 4Picks

最近世の中の急激な変化によって注目されている「パラダイムシフト」。自分次第で可能性を広げられる学生だからこそ起こすことができたパラダイムシフトについて紹介します。あなたも当たり前に囚われない「諦めの悪い人」になりませんか?

大庭彩 1Picks

「メラビアンの法則」や「真実の瞬間」と向合い、各メンバー自身がブランド形成の重要要素であることを自覚していきます。 「目配り」「気配り」「心配り」の各段階を理解し、「マナー」「サービス」「ホスピタリティ」「おもてなし」の違いについて研究。 「マニュアル」「サービス」を理解・実践するのは当然。 「ホスピタリティ」「おもてなし」を顧客・メンバーに提供したいリーダーのための研修です。

島元 和輝 荒 諒理 川瀬 響 3Picks

行き過ぎた完璧主義は仕事を停滞させるだけでなく、自分自身を苦しませてしまいます。本記事ではプロジェクトマネジメントを題材に、自分の良さをかき消さず、最大限発揮する仕事への取り組み方を考えます。完璧主義で悩んだことのある皆さんに是非ご覧になって欲しい記事です。

左貫菜々子 藤井裕己 谷 風花 大庭彩 4Picks

プロジェクトマネジメントを機能させる土台となるのが『理念のマネジメント』 プロのリーダーは、「権威のマネジメント」を避け、「理念のマネジメント」を構築し、維持し続ける。 「好き・嫌い」や「多数決」ではなく、説得力ある提案を互いに尊重する文化を構築したいリーダーのための研修です。

荒 諒理 木藤 大和 島元 和輝 川瀬 響 4Picks

復習回数を闇雲に増やしたり、ノートいっぱいに何度も書かせる記憶法は、社会に出てから通用しない。 多忙なリーダーは、重要事項を一発で覚える。 たとえそれができなくても、復習回数を最小限にし、効果的・効率的に記憶することが大切。

「やばい、キャパオーバーしていて仕事を回しきれていない・・・。」成果を生み出すためにリーダーを務め、多くの責任を引き受けたのはいいものの、こうした悩みを抱く方は少なくないと思います。本記事は、リーダーの方の中でも、「仕事を回しきれていない。」と実感している方、経験した方、キャパオーバー対策したい方に届けていくことを想定して進めていきます。キャパオーバーは解決できます!

そもそもプロジェクトとは何か。それを知ることによって、あなたが現在取り組んでいる活動をもっと豊かにすることができるはずです。プロジェクトの基本を学び、そのプロセスについて考えてみましょう。

大庭彩 上野美叡 2Picks