網羅的な視点に立って新規施策を作り上げる

今月の研修:プロジェクトマネジメント(基礎2)

あなたのプロジェクトでは、プロジェクトが実際に走り出した後でも新しい施策を生み出し続けていますか。

研修で学んだツールを紹介しながら、新規の施策を作り上げる方法についてお伝えします。

プロジェクトの定期的な振り返りとツール

今月は先月の研修に引き続き、プロジェクトマネジメントについて学びました。前回は、そもそもプロジェクトとはどのようなものを指すのかという部分からスタートしましたが、今回はプロジェクトの全体構成を見直すにあたって有効なツールを取り入れ、改めて自分のプロジェクトについて振り返りました。その中でも、QFDというツールについてご紹介します。

QFD(Quality Function Deployment)

QFDは品質機能展開とも呼ばれ、顧客のニーズに応えるための各施策を考え、それらがどのニーズを満たしているか、また互いの施策が相反していないかなどを、網羅的な視点で確認するためのツールです。

具体的には次のような手順で上の図を形作っていきます。

  1. ニーズを優先順位の高いものから記す
  2. ニーズに応える手段を施策として挙げる
  3. 施策同士が矛盾や相反していないかチェックする
  4. 各施策がどのニーズに応えているか対応付ける
  5. 他サービスや過去の施策と比較する
  6. 各施策の目標値を設定する

この考え方を用いることにより、ニーズから施策、施策同士の相関関係、そして目標値へと落とし込むことができます。特に、プロジェクトの中の施策同士の相反については、見落としていた方もいるのではないでしょうか。網羅的な検討にあたりこのようなツールが価値を発揮すると考えます。

しかし、ツールを使うことが目的になってはいけません。その先に何を目的とするのか。今回であれば、一度軌道に乗って現在提供しているプロジェクトにおいても規模の拡大や質の向上などの改善のためにサービスを俯瞰し、どのような展開が今後考えられるかについて実行に移すために用います。またこの際、サービスを作っているメンバーだけでなく、直接は携わっていないメンバーなど外部の視点からも定期的に意見を得ることで、サービスの健全化を行うことが重要だと考えます。

セクションにおける定期的な活動の見直し

私は、キャリア支援団体において、大学1、2年生向けに記事とSNSによる情報発信をするセクションに所属しています。セクションでは、マス向けの公開サイトとTwitterの運用により、大学1、2年生が行動するにあたりより多くの選択肢を知り行動のきっかけとなること、そしてキャリア支援団体の認知度自体を向上させることを目的として活動しています。

セクションでは週に一度ミーティングを行うのですが、以前の研修から、この場でセクションの活動や使命、理念、行動指針にあたるMVV(Mission Vision Value)を見直す機会を設けることとしました。これは、メンバーに組織の目標を定着させるために、定期的に現在の活動を振り返り、時には目標自体も見直す機会とするというものです。

実際にこのような機会を設けたところ、メンバーに定着できていなかった目標について意義を確認し、目標と実際の活動を照らし合わせる機会となりました。しかしながら、この場で新規施策を作り上げたいという意図もありながらも、具体的な案の検討には繋げることができていませんでした。

活動や目標の振り返りに加え、新規施策を作り出す

今回の研修では、プロジェクトをニーズ・施策の面と機能の面から俯瞰するためのツールについて学んだ上で、各自が携わっているプロジェクトを周囲のメンバーにプレゼンし、改めてプロジェクトの妥当性を見直しました。これを活かし、網羅的な視点に立ってセクションの各施策を見直し、新規の施策の立案につなげていきます。今まで欠けていた施策同士の相関関係といった視点をQFDなどの活用により取り入れ、網羅的にプロジェクトを見返すことで、今後展開するべき部分を可視化することができると考えます。

例えばワーク中には、現状の活動について、セクションで執筆する留学などをテーマとした記事が、1、2年生に向けた留学をテーマとするイベントと顧客を奪い合っていないか、という視点を得ることができました。

新規施策の例としては、記事の閲覧から面談サービスの利用という行動につなげたい、というニーズに有効な施策を講じることができていない現状から、面談を過去に利用された方の声を紹介するというものが考えられるでしょう。

これから研修を受ける方々へ

今回の研修では、ニーズからプロジェクトの施策を整理し、実行に移す方法について学んだ上で、互いのプロジェクトについて外部の視点からフィードバックを行いました。ただツールを学ぶだけでなく、そこから得られる視点について共有するという実践をその場で行えるのがA&PROの研修です。客観的な意見をお互いに得て、自分のプロジェクトについてさらなる改善をしていきたい方におすすめです。

研修で学んだこと

  • ヒアリング調査の方法(戦略を持った上でのアンケート実施)
  • プロジェクトを整理するツール(QFD、WBS)

この記事の著者/編集者

田村稔行 早稲田大学 基幹理工学部 情報通信学科  

高校時代から英語の部活、サークルでの活動を続けており、大学では理工学部生向け英語サークルの代表を務めました。
更に、大学1、2年生がキャリアついて考える機会を提供すべく、大学生向け就活支援の学生団体「エンカレッジ」で活動。記事執筆やSNSの運用を行っています。

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