サービス品質を高めるためには一貫性が重要

今月の研修:サービス理論(基礎1)

はじめに

皆さんは今までにこのような状況を経験したことはありませんか?

「ミーティングに遅刻する人がいる……。」

「議事録・プレゼンの資料準備の期限遅れがある……。」

もし思い当たる節があれば、それは危険なサインです。もし現状で起こっているならば、早急に改善に動いた方がよいでしょう。

このような基本的な約束を守れないチームは、「一貫性がないチーム」です。

一貫性がないチームは、往々にして顧客に対しても約束を守ることができず、悪影響を与えることになります。

逆に言えば、一貫性を組織に持たせることは間違いなく顧客に対して好影響を与えます。

本記事は、なぜ組織が一貫性を持つべきか、どのように一貫性を持つべきかについて考えていきます。

一貫性の重要性

一貫性とは、最初から最後まで矛盾がないことを意味します。

一貫性がある事例としては、以下が挙げられます。

  • ウサイン・ボルトはスプリンターとして現役中常に「世界記録を更新する」という目標を持ち、邁進し続ける。
  • 甲子園常連の高校の野球部にて、常に「甲子園で優勝する」という目標に向かって汗水をたらす。

逆に一貫性がない事例としては以下が挙げられます。

  • 20:00以降の飲食店訪問を国民に自粛することを要請する議会の議員が23:00まで銀座のバーで飲んでいる。
  • オリンピック憲章で定められる「いかなる差別を許さない」という方針に反して、組織の会長が性差別ともとれる発言をする。

一貫性のある事例とない事例で、皆さんはどんな印象の違いを持ちますか?

確実に言えることは、「その組織が成果を出してくれるかどうかの信頼性」が段違いに異なります。

もし皆さんが上記の4つの事例のうち、成果を出すと予想される対象に賭けるとしたら、一貫性のある事例を選ぶ可能性が非常に高いでしょう。

このように一貫性は、組織の信頼性に直結します

一貫性を維持するとは?

組織が一貫性を維持するためにすべきことは、シンプルです。

それは、組織内外において目的に合った約束を守り続けることです。

組織外において

約束を守ることで、顧客は提供者に対して信頼を積み重ねていきます。

組織の外であれば、約束するサービスを必ず提供することで実現されます。

私が所属するキャリア支援団体に当てはめると、「納得したキャリア選択をしてもらう」という目的に対して、顧客に「自己分析のサポート」を約束し、自信を持って自分を語れるようになるまで「必要なサービス」(フレームワークの提案、面談によるコーチングなど)を必ず提供することが、一貫性を維持することにつながります。

組織内において

組織内においても、メンバー全員が約束を守り続けることは非常に重要です。

約束を守ることは、習慣です。したがって、組織の内部で約束を守れないメンバーは顧客に対しても約束を守れないことが大概です。

ミーティングに遅刻するメンバーが、顧客に対しての約束を守れるかと聞かれたら、Yesと断言できないでしょう。

こうしたメンバーが一人いるだけでも、組織の信頼は簡単に失墜します。顧客は、その「メンバー」が信頼できないではなく、その「組織」が信頼できないと捉えます。

したがって、皆さんが組織の一員として最高品質のサービスを顧客に提供したければ、組織内で約束を守り続ける文化を作ることを怠ってはいけません。

皆さんも含め、組織に議事録の準備の質が低いメンバーはいませんか?時間を守れてない人はいませんか?

最高品質のサービスを提供できるチームを考えた時にすべきことが実施されているか、今一度確認してみてください。

(参考記事:誠実さ、意識できていますか?

約束を守り続ける文化が一貫性に直結します。

一貫性を維持しないことの危険性

かくいう私も、約束を守るという一貫性をチームにて維持できていませんでした。

キャリア支援団体において、企業イベントを学生に提供することに対して責任を負うチームにて、目標として以下を掲げていました。

  • 企業イベントを担当日で振り分け、数値目標達成に対して責任を持つ。(組織外)
  • 議事録について事前確認し、意見を記入する。(組織内)

しかし、実情は以下でした。

  • 担当日に下りてきた企業イベントを学生に訴求しないメンバーがいる。(組織外)
  • 事前に確認依頼しても、確認せず意見を記入しない。(組織内)

そんな状況下において、リーダーとして、私はこれら約束を守れないことをスタンダードとし、サービスの品質を高められないチームを作ってしまいました。そして私自身も、自然と低いスタンダードに合わせるようになっていました。

高品質なサービスを提供するチームを作りたいという思いを持っていた私は、本来はじめに提示した約束をチームに守らせ続けるべきでした。

現在、サービス理論の研修を受け、私ははじめに提示した約束を改めて全員で振り返り、チームで遵守していく風土を作ることを決心しています。約束を守れないメンバーに合わせることは、顧客に対して不誠実であると強く心に刻んでいます。

皆さんも同様の状況を経験するかもしれません。そんな時は、目の前のメンバーではなく顧客のことを考えることが重要です。私の事例のようにメンバーに合わせるのではなく、顧客に合わせた組織を作りましょう。

最後に

ここまで組織における一貫性の重要さを考えてきました。内容をまとめると以下です。

  • 一貫性は、組織の信頼性に直結する。
  • 一貫性は、組織内外において目的に合った約束を守り続けることで実現される。
  • 組織の外では、約束するサービスを必ず提供すること、組織の内では、組織内で約束を守り続ける文化を作ることが重要である。
  • 一貫性を維持しないことは顧客に対して不誠実である。

実際の組織に一貫性を持たせることは簡単ではありません。しかし、最高品質のサービスを提供したければ、途中で折れてはいけません。まずは、自分自身に対しても一貫性を持ち、組織のあるべき姿を目指す行動を続けましょう。

研修で学んだこと

  • 無形サービスの特徴として、無形性、非分離性、変動性、即時性がある。
  • 顧客に無形サービスの質を事前に見てもらうためには、できるかぎり有形化が必要である。
  • 無形サービスの品質管理は、事前準備にかかっている。
  • サービス品質の決定要因として、信頼性、反応性、確信性、共感性、コミュニケーション、安全性、物的要素がある。

この記事の著者/編集者

山嵜晴貴  早稲田大学 先進理工学部 

事業家志向の早大理系4年生。
大学1年次にインドへ渡航し、新興国での社会課題解決に興味を持つ。
2年次の経営コンサルインターンと起業家講座の学びから、ビジネスを通じた課題解決を志向。
将来は新興国で社会インフラとなる事業を創ることを夢見る。
現在は、その一歩として日本の学生の自立支援を志し、キャリア支援団体に所属。企業イベント領域のリーダーを務める。

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新着コメント

  • 藤原穫

    2021年03月06日

    「組織の内部で約束を守れないメンバーは顧客に対しても約束を守れないことが大概です」。背筋がピンと伸びますね。
    「練習でできないことは本番でもできない」という言葉に近いものを感じました。いえ、組織内であっても常に本番と思って約束を守る/守らせるリーダーでありたいですね......!

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