日本一のおもてなし旅館、加賀屋から学ぶ。顧客の心を掴むには

今月の研修:マナー研修

ほんの短時間の接客で、サービスや企業を好きになった経験はありませんか?
実は、顧客満足度を左右するのは直接スタッフと向き合っているほんのわずかな時間に集約されると言われています。顧客は企業に接した一部分をもって、サービス全体の良し悪しを判断するのです。
その短時間に顧客の心を掴み、「また来たい!」と思ってもらうためには、何ができるのでしょうか。

心からのおもてなし

「また来たい!」

そう思ってもらうためには、見かけの態度だけでなく、心から相手をもてなす気持ちが肝心なのではないでしょうか。相手のことを本当に気にかけているかどうかは言葉の端々や態度に表れてしまうものだからです。

心から相手をもてなすといえば、2013年、オリンピック招致の際の滝川クリステルさんの最終プレゼンテーションで「お・も・て・な・し」という言葉が話題になりました。ではそのおもてなしと、マナーやサービスと呼ばれるもの、またホスピタリティとの違いは何でしょうか?

A&PROの研修ではそれぞれの性質を以下のように学びました。

  • マナー:人間が生きていく上で好ましい言動の作法。
  • サービス:いつでも、どこでも、誰にでも提供する、仕組み化されたもの。
  • ホスピタリティ:この時、この場、この人だけのために提供するもの。
  • おもてなし:その人がいない時にも心を配り、五感と心に感動を与える。

並べて見ると、おもてなしというのは非常にレベルが高いように感じます。しかし、このおもてなしをできてこそ、顧客の心を掴むことができるのではないでしょうか。

「おもてなし」と聞いて私が真っ先に思い出す場所があります。石川県にある「加賀屋」という温泉旅館です。加賀屋は「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で1981年から36年連続1位を獲得し、2017年は3位になったものの、翌年は1位に返り咲き、また三年連続1位を獲得しているという、まさに“日本一”のおもてなし旅館です。

私は加賀屋がある石川県出身で、幼い頃に一度だけ宿泊したことがあります。特に記憶として鮮明に残っているものとしては、入り口に置いてある下駄が左右足幅程度に空けて置いてあったことです。そのお陰で非常に履きやすく、「下駄一つでもこんなに嬉しい気持ちになれるのか!」と幼いながらに感動したことを覚えています。小さなエピソードですが、こういった小さなことにこそ感動が生まれるのではないでしょうか。

改めて加賀屋について調べてみると、様々な点で評価されていました。食事や温泉、部屋等に関する評価ももちろん高かったですが、心からのおもてなしで評価されているものが多いように感じました。

たとえば、「常備していない県外の銘柄の日本酒をお客様に注文された際、『置いておりません』と答えずに、即座に車を飛ばして県外まで買いに走った」ことや、「ある男性のお客様が、生前に加賀屋滞在をご希望だった奥様の遺影を持ってお泊まりだと聞き、陰膳(故人に供える食事)をご用意した」といったエピソードがありました。また、最後のお見送りも素敵です。帰りのバスが出発する際、大勢のスタッフが列をなしてお見送りをするそうです。バスが発車し、一度加賀屋がまったく見えなくなってから、しばらくするとバスガイドさんが「もう一度玄関が見えますので、右手をご覧ください」と言います。数秒間もう一度玄関が見えるのですが、そのときもまだスタッフは、深々とお辞儀をしているそうです。最後まで感謝の心を持ち、お客様の心に寄り添い続けるこの場所は、まさに日本一のおもてなし旅館といえるのではないでしょうか。

私や家族が受けた対応の中には、もちろんマニュアルに載っていることもたくさんあったと思います。先述した、私が感動した下駄の例などはまさしくマニュアルでしょう。しかしそれと組み合わさった心のこもったコミュニケーションや対応が、感動を生んだのだと思います。

おもてなしの“質”やどのくらいお金をかけるかというのは企業やサービス形態によって異なりますし、お金をかければ良いという話ではありません。そうではなく、相手が求めていることに気づくことや、相手のことを本当に想う心が、顧客に感動してもらい「また来たい!」と思ってもらう上で大切なのではないでしょうか。

この記事ではおもてなしの対象を顧客としてきましたが、活動するメンバー同士でもおもてなしを提供していくことは可能だと思います。「心から相手をもてなす」という行為に特定の対象はないからです。メンバーへのおもてなしの例としては、研修記事をメンバー同士でフィードバックしていますが、記事で相手が伝えたいことの本質は何か、それをもっとうまく表現できる方法はないか等を考えること、そしてそれを伝えることもおもてなしだと思います。直したらよいところだけでなく、よかった点についてもどうしてそう感じたのか、どんな点がよかったのかを細分化して伝えたいと思います。メンバー同士へのおもてなしを心がけることで、顧客のニーズにも細やかに気づける人へと成長していきます!

これから研修を受ける方々へ

この記事はおもてなしに焦点を当てて書きましたが、この研修ではマナーやサービス、ホスピタリティにも言及し、メンバーそれぞれの経験談をもとに話し合いながら理解を深めます。日々何気なく使っているこれらの言葉を探ることで、あらゆる仕事をする上で大切にすべきスタンスも学ぶことができます。

研修で学んだこと

  • 挨拶の基本
  • 第一印象は6秒で決まる
  • 真実の瞬間
  • マナー、サービス、ホスピタリティ、おもてなし

この記事の著者/編集者

向井七海 早稲田大学 文学部  

小学生の頃からずっと世界平和を目指しています。平和を考える中で哲学に惹かれ、高校時代ドイツに留学。そこでシリア難民に出会ったことをきっかけに、大学では中東・イスラーム研究コースに所属。多文化共生や日本語教育を学びながら、大小問わず「平和をつくりだす」ことを目指して活動しています。

最新記事・ニュース

more

今月の研修:プロジェクトマネジメント(基礎1) 多くの企業、もしくは個人単位でも、ニーズを把握するために様々な取り組みが行われています。顧客のニ…

非常に重要な内容にも関わらず、なかなか記憶に定着しない、周囲のメンバーが覚えてくれない。そのような経験をはありますか。効果的に記憶を定着させるためには、「記憶のメカニズム」を理解し、活用することが重要です。

リーダーシップゼミやビジネス基礎研修で学んだことを、机上の空論とせずに実践し続けることが重要。プロジェクト年間計画をもとに毎月、リーダー同士でチ…

須賀渉大 本田花 谷口 宗郁 吉田 美結 犬山 聖存 17Picks

ずっと思い出せる経験とすぐ忘れてしまう経験。この違いはどうして生まれてしまうのでしょうか。記憶のメカニズムを学び、この違いを一緒に解明してみましょう。

組織における尊敬とは、どのようなものなのか。尊敬を大切にする組織は何を実現することが出来るのか。尊敬と組織の関係性について、紐解いていきます。

互いに尊敬し合えるチームであるためには、「尊敬する努力」と「尊敬される努力」が必要です。仲間の尊敬できる部分に目を向け、発信していくこと。この重要性を記事を通してご説明します。

研修参加前は、私はリーダーの素質がないと思っていました。しかし研修を通して、私には素質がないのではなく準備ができていないということに気付かされました。

誰しも緊張して力を出しきれなかった経験があるのではないでしょうか?この記事では、緊張に対処する方法と、緊張に関する野球部での実体験を紹介します。

研修中でさえも成長を感じられますが、研修後に努力を継続することで計り知れない学びを得ることができ、自己実現に繋げることができると実感しています。

本田花 川村杏 2Picks

参加後は自分がリーダーとして目指すべき姿やリーダーとして欠けていた部分を理解することができ、今後私がやるべきことを明確にすることができました。

本田花 川村杏 2Picks

研修参加前は、リーダーとしてチームを引っ張ることに不安を抱えていました。しかし参加した後は、リーダーとして働くことに対してポジティブに捉えられるようになりました。なぜなら、「今のチームにはこれが足りないのか」といった気づきや、「リーダーはこれが必要だったのか」というような実践に落とし込めるような内容であったからです。本研修に参加していなかったら、こうした心境の変化はなかったと思います。

本田花 川村杏 2Picks