予防歯科のサービスを考える

今月の研修:サービス理論(基礎1)

今回の研修では、無形サービスの特徴とサービス品質の主要な決定要因を学びました。そして研修を受け、どんなサービスも無形サービスの一面があると理解しました。

今、私は歯科大学に通っており、将来は予防歯科を担いたいと思っています。そこで予防歯科のサービスも、研修で学んだ無形サービスなのでは?と考えて記事にまとめました。

今回の記事では、予防歯科のサービスを無形サービスと捉えると、どのような工夫ができるのかについて述べています。

無形サービスの特徴とサービス品質の主要な決定要因

まずは、研修で学んだことを簡単に箇条書きでまとめました。次の見出し以降で、予防歯科のサービスと絡めて以下のことについて考えていきます。

無形サービスの特徴4つ

  1. 無形性:サービスは目に見えない。
  2. 非分離性:サービスは生産・消費が同時。
  3. 変動性(多様性):サービスは、提供者、時間、場所によって大きく左右する。
  4. 即時性(消滅性):サービスは在庫を持てない。

サービス品質の主要な決定要因7つ

  1. 信頼性:約束したサービスを正確に提供できる能力への信頼。サービスの一貫性。
  2. 反応性:積極的かつ迅速な潜在ニーズへのアプローチ。
  3. 確信性:サービスの質に関する確信を印象付けられる能力。(知識・技能、礼儀)
  4. 共感性:顧客と一緒に解決しようとする姿勢。
  5. コミュニケーション:顧客の言葉で正確にわかりやすく説明。
  6. 安全性:安全なサービス。
  7. 物的要素(5S):整理・整頓・清掃・清潔・躾

予防歯科のサービス

予防歯科のサービスを、以下の4つに分類して考えます。

  1. 予防歯科の重要さを理解してもらう
  2. 予防治療計画を立案する
  3. 定期的に通ってもらう【PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)】
  4. 家庭でのセルフケアを正しく行ってもらう【歯磨き指導】

1.予防歯科の重要さを理解してもらう

ここでは、特徴の2の非分離性、決定要素5のコミュニケーションが重要になると考えました。

患者さんが、予防歯科についてどの程度の理解があるのか、説明するうちのどこに関心があるのか、患者さんの反応を見て、説明の仕方や内容を変えることが効果的でしょう。非分離性

また、歯科の話をするとき、患者さんが普段使う言葉で正確にわかりやすく説明する必要があります。コミュニケーション
私もついつい自分が理解しやすい専門用語で話してしまうことがあります。齲蝕(うしょく)→虫歯、臼歯→奥歯、舌側面→歯の裏側、など、気を付けて話す必要があるでしょう。

2.予防治療計画を立案する

ここでは、特徴1の無形性、決定要素2の反応性、4の共感性が重要になると考えました。

患者さんは、予防歯科のサービスについて具体的なところまでは、初めはよくわからないでしょう。実際に使う道具を見せたり、予防の効果がわかる資料を用意したりするなど、工夫が必要です。無形性

また、患者さんの状況(日々の忙しさ、金銭面、歯科への関心の度合い)に共感共感性、患者さんの求め(予約の時間、金額、歯磨き指導のコーチング方法)について、潜在ニーズにまでアプローチして反応性、計画を立てる必要があります。

3.定期的に通ってもらう【PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)】

PMTCとは、プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニングの頭文字をとったもので、専門家による、専門的な器具を使用した、歯のクリーニングのことです。これは、予防歯科の有形サービスでありますが、この有形サービスを提供する際に、定期的にこのサービスを利用してもらえるような工夫として、無形サービスも同時に提供する必要があると言えるでしょう。

ここでは、特徴3の変動性、4の即時性、決定要因1の信頼性、3の確信性、6の安全性、7の物的要素が大切になってくるかと思います。

クリニックでの待ち時間が長い、皆さん経験があるのではないでしょうか。これは、無形サービスの特徴3の変動性、特徴4の即時性によるものだと考えます。

提供者によって、つまり担当医によって、サービスが変動するから、気に入った担当医を作る(変動性)、サービスは在庫を持てない、つまりその担当医を量産して在庫とすることはできない(即時性)から、クリニックでの待ち時間が長くなってしまうのです。

これを解決するには、決定要因1の信頼性、3の確信性を個人レベルでなく、クリニックレベルで磨く必要があると考えます。

クリニックに務めるスタッフ全員が、約束したサービスを提供できる一貫性を持つ(信頼性)、サービスの質に関する確信を持たせるための知識・技能、礼儀を身につける仕組み(研修やマニュアル)を作る(確信性)ことで、待ち時間の問題の解決につながると考えます。

さらに、決定要因6の安全性、7の物的要素については、クリニックで治療を行ううえで、医療に携わるものとして徹底しなくてはなりません。これもクリニック全体で高いレベルで達成できる仕組みが必要です。

4.家庭でのセルフケアを正しく行ってもらう【歯磨き指導】

ここでは、特徴2の非分離性、決定要因2の反応性、4の共感性、5のコミュニケーションについて考えるべきでしょう。

歯磨き指導も一種のコーチングです。教えたそばから相手は学んでいきます(非分離性)。

困っていることを見抜き対応する力(反応性)、患者さんの状況(歯磨きにかけられる時間、歯科への興味の度合い)に共感し一緒に解決しようと寄り添うこと(共感性)、分かりやすい説明(コミュニケーション)が必要になるでしょう。

これから研修を受ける方々へ         

今回私は、予防歯科のサービスを無形サービスと捉えて考えてきました。このように、どんなサービスも無形サービスの一面があり、その特性を知り、工夫する必要があります。

例えば、飲食店のサービス。料理という有形なものを提供しているだけでなく、接客という無形サービスも行っていますよね。普段の会話ひとつとっても、これを無形サービスだと考えることもできます。

無形サービスとはどういうものか、何を気を付けるべきなのか、理解して、意識して、ぜひ生活に落とし込んで、活用していただければと思います。

研修で学んだこと

  • 無形サービスの特徴:無形性・非分離性・変動性・即時性
  • サービスの品質の決定要因:信頼性・反応性・確信性・共感性・コミュニケーション・安全性・物的要素
  • 非分離性、つまり顧客の様子を受けて、臨機応変に提供するサービスを変えることができるのが、無形サービスの強み。
  • サービス品質とは「思い付き」ではない
  • 臨機応変に提供するサービスを変化させるといえども、信頼性、つまり約束したサービスを正確に提供できる能力が必要。サービスに一貫性が必要。

この記事の著者/編集者

上野 美叡 日本歯科大学・生命歯学部  

歯科クリニック開業を目指す歯科大学生。
予防歯科の考え方を浸透させ、健康に長生きできる社会づくりをしたい。
学生のうちにできる準備はしたいと考えA&PROに参加。
歯学部生プロジェクトのリーダーを務める。

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