リーダーは恐れず知的創造をし、物的創造に対して客観的であるべきだ。

今月の研修:社会人が持つべき習慣(私的成功)

知的創造と物的創造

今回の研修で学んだことの一つは知的創造と物的創造についてでした。知的創造とは、どのような結果を得たいかについて計画すること物的創造とはその計画に基づいて実際に結果を作り出すこと。言うまでもなく、どのような結果を得たいかという目的意識は欠かせません。しかし、なぜか人は物的創造の最中にその目的意識を見失いがちなのです。

「研究」を具体例にあげましょう。私は大学で薬物動態に関する研究をしていますが、初めに行うことは「何を示したいか」を決めることです。例えば「遺伝子Xの機能を知りたい」や「化合物Yの作用を知りたい」。そのためにどんな実験を行えばよくて、その結果に応じて次にどんな実験を行う必要があるかといった計画を立てなくてはなりません。これがいわゆる知的創造です。この計画に基づいて実際に実験を行うことが物的創造にあたります。

もし知的創造が脆かったら、つまり目的達成のための計画が不十分だったら、実験を進める過程で想定した結果が得られなかった時に、その根本的な原因にアプローチするより先に「やれることからやってみよう」と妥当でない実験を始めるかもしれません。時間的・金銭的・物的資源に余裕があり、かつそこから研究のヒントが得られるのならそれでも良いのでしょうが、このような「寄り道」は目的達成のために優先されるべきではないでしょう。

と、ここまでは研究について述べてきましたが、よりリーダーシップにフォーカスして、チームで知的創造・物的創造を行うことについて述べたいと思います。

リーダーの役割は主に二つあると思います。一つ目は知的創造に関するもので、誰よりも先立って目的を決めること。メンバーの顔色を窺い批判を恐れて、彼らに迎合する必要はありません。まずは叩き台を打ち出し、そのうえでメンバーから得られた意見を元により良くすればよいのです。

二つ目は物的創造に関するもので、目的達成への行いとしてメンバーの行いが妥当か客観的に判断すること。メンバーがゴールへ向かって効率的に進んでいくようにすることはマネジメントの力だと思いますが、その方向がずれていては無意味でしょう。きちんとゴールへ向かっているかの判断はリーダーの力と言えるでしょう。

研究の例と同様に、実際に計画を行動へ移す段階になると目の前のことで精一杯となり、本来の目的意識を見失うメンバーが出てくる可能性があります。そのような時は目的とは逸れた行動を取っていることを明確に指摘するのが良いでしょう。(本人の成長のために、指摘するのではなく妥当かどうか考えさせるのも一つの手かもしれません。)

先日、私はこうした記事執筆を通してリーダーを育成させるセルフブランディング研修のリーダーに任命されました。早速自身の気付きを生かして、「全員がどこの組織に行っても恥ずかしくない立派なリーダーになること」を目的として定めました(知的創造)。今後の研修では、この目的に沿った本質的な行為や議論を重要視する必要があります(物的創造)。

知的創造だけ、物的創造だけ、ではなく、リーダーは両方について責任を持たなければならないのです。

これから研修を受ける方々へ

本研修では、自分が社会人として理想的な状態であるか、チームがそのような状態であるかを客観視し、今後どう良くすることができるかを考えます。実際、私が所属するチームで起きていて、曖昧なまま見過ごされてきた事態を踏み込んで考える良い機会となりました。ぜひ、自分またはチームを客観視すること、そして事態を改善することに勇気をもって踏み出してみてください。

研修で学んだこと

  • パラダイムの転換が大きな変革をもたらす
  • 責任をどこに置くかで依存、自立・自律、相互協力・相乗効果のレベルが変わる
  • 状況を変えたいなら、まずは自分が変わらなければならない
  • 真に成功を収めるためには環境に影響されない主体性が不可欠
  • リーダーが目的をもって始める

この記事の著者/編集者

藤原穫   

秋田県出身。高校時代は強豪校でバドミントンをしていました。大学に入ってからは民族舞踊に励み、修士2年になった現在は薬物動態の研究をしています。趣味は旅行。死ぬまでにすべての温泉地を回りたいと思っています。これまで複数の組織で培ってきたリーダーシップに磨きをかけるべく、A&PROでの研修に励んでいます。

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