尊敬の先を共に描く組織へ

クレド2 :互いに尊敬しあえるチームであれ

 尊敬し合えるチームでなければ、最高のサービスは提供できない。プロ同士、互いに馴れ合いを排除する勇気を持って「尊敬される努力」と「尊敬する努力」をし続け、長所を生かし合えるチームを作ります。

はじめに

 飲み会や遊びの場では楽しく語り合える。けれど、チームとして、組織の仲間として、真面目に議論しようとすると上手くいかない。

 特に学生時代、そんな状況に違和感を覚えたことがある人はいるのではないでしょうか。そして恐らくそれは互いに尊敬し合えるチームという状態にはなく、”尊敬”を大切にする気持ちがメンバー間で薄れていたのではないでしょうか。

 ですが、このようにいつの間にか、”ノリ”や”面白さ”が先行し、”尊敬”が忘れられている組織は意外と多いはずです。

 そこでこの記事では、”ノリ”や”面白さ”だけでは乗り越えられない、組織としての壁や違和感に悩んだことがある方を対象に、”尊敬”という言葉をキーワードに組織の在り方を紐解いていこうと思います。

尊敬が忘れられない組織とは

 ここからは実際に学生団体でありながら、"ノリ"や"面白さ"が先行する文化がタブー視され、”尊敬”が大切にされた組織の実例を紹介したいと思います。なぜ、”尊敬”が大切にされたのか、というメカニズムを考えながら読んでみてください。

 実例として紹介する団体は、私が大学1~3年次に所属していた、学生団体です。具体的には、中高生の留学支援として、留学前後のオリエンテーションや国際交流イベントを大学生ボランティアで企画・運営する団体です。様々な大学の大学生ボランティアが集まり、積極的に団体の仲間と遊びに行く文化もあったため、"ノリ"や"面白さ"が先行してしまい、団体の活動目的を見失う人もしばしばいました。

 しかし、団体の文化や仕組みが、"ノリ"や"面白さ"だけで成り立つ組織であることを許しませんでした。それは、「参加者第一」という文化があったからです。

 そもそも「参加者第一」の”参加者”は、オリエンテーションやイベントに参加する中高生、いわゆる企業でいう”顧客”を指していました。すなわち「顧客ファーストという言葉が常に意識されていた、という前提があります。これはクレドの説明における顧客に対する「最高のサービス」を出来るかどうか、という視点にも結び付けられるでしょう。

 そのうえで、「顧客ファースト」を掲げ「最高のサービス」を追求するように呼び掛けることは簡単でも、それがどのようにメンバーに浸透するかという視点も大切でしょう。これに関しては、顧客への「最高サービス」を目的に、忌憚なくフィードバックし合う仕組みが、原動力になっていたと思います。

 その仕組みとは、顧客を想定したリハーサルを行い、互いに評価し合うというものです。例えば、国際交流イベントにかかわるメンバーは実際の会場で、参加者役と運営役に分かれ、運営としての動きは勿論、参加者へのコミュニケーションや立ち振る舞いまでを、互いに本気で評価し合い、フィードバックを行います。これにより、参加者に対して在るべきコミュニケーションや行動が出来る人が、団体の中で存在感を持つようになります。また、組織の幹部がこれらの評価を管理することで、参加者である顧客に「最高のサービス」を提供できる人を、重要なポストに配属できるようになります。人事評価システムと顧客への価値提供を紐づく仕組みを実現していたのです。

 このように、顧客に対する「最高のサービス」を本気で追求し、互いに評価し合いながら率直なフィードバックをし合う場を設け、仕組み化することで、顧客に価値提供できる人が尊敬される文化が醸成されるのです。

 ゆえに、顧客への「最高のサービス」を見える化する仕組み作りが、クレドの説明にある”プロ同士、互いに馴れ合いを排除する勇気を持って「尊敬される努力」” を個々に意識づけし、「尊敬される努力」を大切に出来る組織づくりに繋がるのではないでしょうか。

尊敬の先にあるもの

 先ほどは「尊敬される努力」を大切にできる組織の在り方について紹介しました。しかし、そもそもに「”尊敬”は大切」という通説は聞いたことはあっても、「なぜ”尊敬”がチームに必要なのか」「そもそも”尊敬”とは何か」と疑問を抱く方もいると思います。そこで、ここでは組織における”尊敬”の大切さについて、実体験を通してお話ししたいと思います。

 その実体験とはA&PROのリーダーシップゼミ等の研修の運営メンバーとしての活動です。前提として、私はen-courage 早稲田支部という就活生のキャリア支援を行う団体の運営として活動しています。そして、約100人の運営メンバーが所属するen-courage 早稲田支部の中でも、特にメンバーを牽引するリーダー陣が受けるリーダーのための研修の場。そんな貴重な機会を、A&PRO様にen-courage 早稲田支部とのコラボプロジェクトとして、いただきながら活動している形です。

 コラボプロジェクトのイメージは上記の写真の通りです。私は研修に参加するだけでなく、写真左下の「研修運営メンバー」として、関わらせていただいています。そして、この運営メンバーという立場だからこそ、森口さんをはじめとするA&PROの皆様がどんな想いで研修を作って下さっているのかを目の当たりにする機会も多く、感謝という言葉では言い表せないほど、研修という場の有難みを感じながら、運営メンバーとしての活動に励んでいます。

 そんなとき、森口さんと運営メンバーでお話ししている際に

エンターさん、リーダー陣のために研修の運営メンバーとして活動している君たちを”尊敬”します

  ※エンターとは、en-courageが顧客とし、キャリア支援を行う就活生のことを指します

 といった言葉をいただき、嬉しさと同時に衝撃を受けたことを覚えています。私たち運営メンバーは研修の中で、気づき、学ぶ中で、森口さんやA&PROの考え方や言葉に、「尊敬する」側であると思ってたからです。今思うと、まさか自分が「尊敬される」とは思ってもいなかったので、衝撃だったのだと思います。

 しかし、森口さんのこの言葉にこそ、”尊敬”の大切さのヒントが隠されていると考えました。

「エンターさん、リーダー陣のために研修の運営メンバーとして活動している君たちを”尊敬”します」

 そのヒントとは、前提に「エンターさん、リーダー陣のため」という言葉があるということです。en-courageではエンターさんは顧客を、リーダー陣は組織のメンバーを指します。つまり、尊敬の先には、顧客や組織のメンバーへの想いがあるということなのではないでしょうか。

 このように、組織のおける尊敬とは「顧客や組織のメンバーのために誠実な言動を行える人への尊敬」と定義づけると、”尊敬”を大切にすることが顧客やメンバー想いの誠実な組織づくり寄与すると考えられるため、組織において”尊敬”は大切な起点になると思うのです。

 そのうえで、顧客が目の前にいなくても、メンバーの普段の振る舞いや活動から、顧客への「最高のサービス」を届けられるか、という尊敬の先にあるものを想像する力。そんな想像力を磨き続けることが、「尊敬する努力」そのものであり、組織を支えるリーダーには特に必要だと考えています。

最後に

 今回の記事の内容を要約します。

  • 顧客への「最高のサービス」を追求する姿勢を見える化することが、「尊敬される努力」を大切にする組織づくりに繋がる
  • 尊敬の先には、顧客や組織のメンバーへの想いがある
  • 組織のおける尊敬とは「顧客や組織のメンバーのために誠実な言動を行える人への尊敬」
  • 「尊敬する努力」とは、 メンバーの普段の振る舞いや活動から、顧客への「最高のサービス」を届けられるか、という尊敬の先にあるものを想像する力

 互いに尊敬し合うチームを志しながら、顧客や組織のために誠実に取り組む意思がある方。そんな方の研修への参加を研修の運営メンバーとしてもお待ちしております。

この記事の著者/編集者

本田花   

早稲田大学文化構想学部卒。大学3年時までは、中高生の留学支援団体であるAFS日本協会神奈川支部の学生代表として、コロナ禍の組織再生に奮闘。大学4年時には、日本最大のキャリア支援団体en-courage早稲田支部において、面談部署の責任者としてキャリア面談サービスの設計・研修体制の改善に挑戦。
上記の経験における多くの人や価値観との出会いを糧に、社会人としては、総合コンサルティングファームにて「他者に還元出来る知見や経験に溢れた利他的なコンサルタントになる」ことを志している。

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