杞憂を防ぐ合理的心配のすすめ
2022.12.05
10月研修:災害時・緊急時の対応
「予報では晴れだったけど、一応折り畳み傘を持っていこう」
結局雨は降らず、杞憂に終わった経験はありませんか?
今回の研修では災害時・緊急時の対応について学びました。しかし、心配の種は無数にあります。心配は最小限にしたいもの。本記事では、数あるリスクへの備え方について考えます。
心配事が多すぎて何から対処すればいいかわからない、心配性の方に是非読んでいただきたい内容です。
合理的心配をするために
ここで言う合理的心配とは、根拠を持ってリスクに備えることを指します。杞憂とは反対の言葉だと言えるでしょう。
合理的心配をするためには、優先順位づけが最も必要であると私は考えています。全てのリスクに対処することは現実的ではありません。優先順位が高いものから備えていくことで、効果的なリスク管理につながるでしょう。
優先順位をつけるにあたっては、目的達成を軸として考えることが重要です。
A&PROの記事執筆活動を例にして考えてみましょう。記事執筆活動においてリスクを考える上で、期日までに品質が伴った記事を作成することを目的としてみます。
リスクとして、時間想定のミス、誤字脱字、システムトラブルなどが考えられます。
進捗への影響度から考えると、システムトラブル>時間想定のミス>誤字脱字
となり、まずシステムトラブルに備えるべきだと思えるかもしれません。しかし、発生確率から考えると、時間想定のミス>誤字脱字>システムトラブルとなります。
このように、観点によってリスクの危険度が変わります。先述したもの以外では、品質への影響度なども重要な観点です。目的を達成するためにはどのような観点が必要か、慎重に検討しなければなりません。
エンカレッジにおける合理的心配
リスクの評価
私は大学2年生から長期インターン生として、学生のキャリア支援を行うNPO法人エンカレッジに所属しています。
エンカレッジでは、学生向け長期インターンの紹介ホームページ開設プロジェクトに携わってきました。
学生が自身のキャリアを考える上で、長期インターンは貴重な機会です。一方で、長期インターンの選択肢は膨大であり、学生が自分に合ったものを安心して選ぶことは簡単ではありません。しかし、以前のエンカレッジでは長期インターン選択に関する支援ができていませんでした。このような背景から、上記のプロジェクトが発足しました。
そこで、学生が安心して長期インターンを選択することができる仕組み作りを目的として、このプロジェクトのリスクに優先順をつけてみます。
代表的なリスクは、以下4点です。
- A:掲載依頼での課題の誤認・見落とし
- B:学生を原因とする信頼喪失
- C:企業を原因とする信頼喪失
- D:メンバーの卒業によるサービス停止
Aは個人的なリスクです。私は法人営業担当として、企業に対し求人の掲載を依頼してきました。依頼にあたってはメールを用いていたため、相手の反応が見えず、営業内容のどこに問題があるかを把握することが難しい状況でした。
B、C、Dはプロジェクト全体のリスクです。
サービスの利用者である学生が長期インターン先の企業で不誠実な行動をすれば、企業が学生とエンカレッジに対して不信感を抱くかもしれません。
これは、企業側にも言えることでしょう。学生に対して不誠実な企業を紹介した場合、学生と企業、学生とエンカレッジ間の信頼関係が損なわれてしまいます。
また、エンカレッジは社会人と学生によって運営されています。このプロジェクトの中心メンバーも学生であり、大学を卒業するタイミングでプロジェクトだけでなくエンカレッジ自体から離れる場合がほとんどです。そのため、ホームページを運営するメンバーがいなくなると、サービスが停止する可能性があります。
これらのリスクを、以下2つの観点から評価します。
- 発生確率
- 影響の大きさ
すると、結果は下の表のようになりました。
発生確率 | 影響の大きさ | 合計点 | 優先順位 | |
A:掲載依頼での課題の誤認・見落とし | 4 | 2 | 6 | ② |
B:学生を原因とする信頼喪失 | 2 | 1 | 3 | ④ |
C:企業を原因とする信頼喪失 | 1 | 3 | 4 | ③ |
D:メンバーの卒業によるサービス停止 | 3 | 4 | 7 | ① |
表から、D→A→C→Bの順に対処する必要があることが分かりました。
具体的な対策
「メンバーの卒業によるサービス停止」への対策としては、マニュアル作成および引き継ぎを実施しました。ただ作業手順を伝えるのではなく、プロジェクトの背景や意義を説明し、次期メンバーが主体的に取り組む動機付けを行いました。
また、営業で意識すべきポイントをマニュアルに記載し、仕組み化に努めました。
「掲載依頼での課題の誤認・見落とし」に関しては、第三者からのチェックを受けるようにしていました。プロジェクトメンバーだけでなく、NPOに所属する社会人や学生に意見を伺い、営業内容を更新し続けたのです。
「学生を原因とする信頼喪失」への対策としては、面談サービスとの連携を行っていました。エンカレッジでは、就職活動を経験した先輩が面談を行い、後輩のキャリア形成を支援しています。そこで、長期インターンに興味のある学生と面談を行い、信用に足る人物かを見極めるようにしていました。
「企業を原因とする信頼喪失」に関しては、紹介を通じて営業することで、信頼性を担保していました。エンカレッジメンバーの内定先や長期インターン先を紹介してもらい、実態を把握した上で学生に紹介していたのです。
さらに、企業から学生へのFB制度を設けていました。学生への関与を強めることで、企業が学生に寄り添うよう後押ししていたのです。
このように、リスクに優先順位をつけておくことで、やるべきこと・順序が明確になります。
過剰な心配を防ぐためにも、限られた資源を有効活用するためにも、重要だと考えられます。
おわりに
最後に、この記事のポイントをまとめました。必要に応じてご活用ください。
- リスクに優先順位をつけて対応することが重要
- 優先順位づけにあたっては、目的達成を判断軸とする
今後研修を受ける方へ
今回はリスクへの対処という側面に焦点を当てましたが、研修では避難訓練など、災害時・緊急時の対応についても学ぶことができます。本気のリスクマネジメントを学びたい方は、参加することをお勧めします。
研修で学んだこと
- 地震対策5行動
- 心肺蘇生のABCD
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