インプットとアウトプットを両立、その実践法とは!?
2020.08.03
今月の研修:記憶のメカニズム
インプットの質は、学んだ後も高めることができる!!
何事も、インプットだけでは不十分。インプットとアウトプットはセットでないと意味がない。
こうした言葉を見聞きしたことがある方は少なくないのではないでしょうか?こうした言葉が叫ばれる背景には、誰しもが大量の情報にアクセスできるようになった今の時代だからこそ、単にインプットするだけでは意味がない、という考え方があるように思います。
しかし、インプットとアウトプットを両立させることは、意外と難しいことでもあります。実際に、本やセミナー、誰かの講演などでの価値あるインプットを、アウトプットとして活かせていますか?と聞かれると、私を含め多くの方が、完全にYESとは答えられないのではないでしょうか。
本記事では、今回の研修テーマである「記憶のメカニズム」に裏付けされた、インプットとアウトプットを両立させる1つの実践例をご提案したいと思います。それが以下の通りです。
➀学んだことに、②自分の思考・解釈を加え、➂明瞭で、説得力のある主張を発信する
これを実践することで、質の高いアウトプットをする機会が持てるだけでなく、インプットの質を向上させることもできると考えます。ここからは、その根拠を述べます。
いきなりですが、ここで読者の皆様に1つ質問です。「②自分の思考・解釈を加える」は、一見するとアウトプットに思えますが、果たしてアウトプットのみなのでしょうか?
私は、②はアウトプットだけではなく、インプットでもあるのではないか、と考えます。
ここで具体例として、今皆様が読んでいらっしゃるような記事の執筆を考えます。まず➀毎月の研修で体系的な理論を学ぶ。次に、②自身の日々の経験等と結び付け、自分なりの考え・主張に昇華させる。そして最終的に、➂読者の方々に分かりやすく、説得力を持って発信する。
ここで皆さんに考えていただきたいことが以下の問いです。
この➁のプロセスは、果たしてアウトプットだけなのか?
私の経験上、この問いに対する答えは、「NO」です。理由はいたって単純で、最終的な自分の主張に分かりやすさ・説得力を持たせるには、土台となる理論(インプット)と主張(アウトプット)を何度も行き来する必要があるからです。最初に仮置きした主張を、一度も立ち止まることなくスムーズに、かつ論理的に展開し記事にできた経験は、少なくとも私にはありません。
つまり、②のプロセスは、インプット・アウトプットの両方を含んでいます。両者のサイクルの中で悩みに悩んだ末「△△という主張の土台には、○○の理論が使える!」「○○の理論をもとにすると、△△よりも□□と表現を変えた方がより説得力が出せる!」という発見・気づきが生まれます。こうした瞬間こそが、記憶の精度を高める上で重要な扁桃体の刺激、あるいはエピソード記憶の蓄積なのではないでしょうか。
今回私がご提案した、インプットとアウトプットの実践法に興味をお持ちいただいた方、ぜひ1度会社説明会に足を運んでみてはいかがでしょうか!?
本記事は、私が以前執筆した記事:記憶と感情の関係、あなたは説明できますか?を前提にしておりますので、よろしければこちらも参照いただければ幸いです。
中都智仁 早稲田大学教育学部数学科