アウトプットが記憶定着に効果的な理由とは。「記憶の3ステップ」の先が肝心!

今月の研修:記憶のメカニズム

頑張って覚えた英単語がいざという時に思い出せなかったり、逆に早く忘れたい程恥ずかしい出来事を忘れられなかったりすることは誰しもあるのではないでしょうか。
どうやら脳は、情報を必要に応じて取捨選択しているようなのです。では、覚えたい情報を脳に記憶させるにはどうしたら良いのか。また巷でよく耳にする「アウトプットが効果的」な理由とは。
本記事では今回の研修「記憶のメカニズム」で学んだことをもとに、より効果的に記憶する方法をご紹介します!

自分が必要だと思っていても、脳が必要性を感じているとは限らない!?

そもそも人間の脳は、外部から五感で受け取った情報を取捨選択して記憶するようにできているといいます。その理由は、五感で受け取った全ての情報を記憶していたら膨大なエネルギーを消費することになるからです。現代で生きる私たちにとっては、「記憶にエネルギーを大量消費してしまうこと」はさほど問題ではないのかもしれません。しかし長い人類の歴史の中で、人間はほとんどの時代を飢餓状態で生きてきたことを考えると、必要最低限のエネルギーで生き延びる方が合理的だったのではないでしょうか。その理由から、人類は「必要な」情報だけを記憶して生きてきました。

これは逆に言えば、「脳に必要性を認識させることができれば上手く記憶できる」と言えるのではないでしょうか。ここで注意したいのが、「自分が必要だと感じている情報は、必ずしも脳が必要に感じるわけではない」ということです。例えば、テストのために一生懸命記憶した英単語や年号をテスト直後には忘れてしまうといった経験をしたことはないでしょうか。
これは脳が長期に記憶するのに値しない情報だと判断しているからなのです。では、脳に必要性を感じさせるためにはどうしたら良いのでしょうか。

その答えの一つが、繰り返しの刺激を与えることです。それも、情報を繰り返し取り入れるのではなく、繰り返し取り出すことが重要です。要するに、何度もアウトプットをすれば脳が情報の必要性を理解し、記憶は定着するということです。

その理由をメカニズムで考えてみましょう。脳神経科学では「記憶の3ステップ」があると言われています。それは、「記銘(=覚える)」→「固定(=保存する)」→「想起(=思い出す)」という流れです。最後の「想起」の段階で記憶が強固になりそうですが、実は不安定化しているといいます。記憶の定着に繰り返しが大切な理由はここにあり、その「想起」した情報を再固定する必要があるのです。

ここで出てくるのが「アウトプット」です。

アウトプットとは、学習や経験によって得た学びを発信・表現することです。アウトプットする際は覚えたことを思い出して発信するため、自然に記憶の「想起」→「再固定」を行なっているということになります。

またアウトプットと言っても、取り込んだ情報をおうむ返しのように“直後に”言っても効果はありません。それは「想起」するためには一旦情報を脳に刻む(「記銘」し「固定」する)必要があるからです。

では、上手く「アウトプット」する方法はあるのでしょうか。

一つにはラーニングピラミッドを活用するものがあります。ラーニングピラミッドというのは、要は「人に教えることが記憶を最も定着させる」という話です。

この表を私は、インプットした情報をどのように深めるかということだと理解しました。表の下にいくほど想起→アウトプットの回数が増えていることがお分かりいただけるでしょうか。

つまり上手くアウトプットする方法の一つは、教えあうことを大切にしている組織に属することではないでしょうか。また環境に依存するのではなく、自分から意識してみるだけでも記憶には違いが見られるはずです。いずれにせよ、インプットとアウトプットが両方できる状態に身を置ければ必然的に記憶の強度は高まるのではないでしょうか。人に伝えることを前提に覚えればより整理して情報を獲得しようと思うでしょうし、アウトプットする回数も自ずと増えるからです。

まとめると、脳は情報を必要性に応じて取捨選択し記憶しています。脳に必要性を理解させるための一つの方法として「繰り返し」の刺激を与えるものがあり、それはアウトプットすることでそれが達成される、ということです。

私は、「アウトプットが大事だ!」とは漠然と知っていましたが、メカニズムを理解しているわけではありませんでした。今後は漠然と「これはこうだから」と記憶するのではなく、メカニズムを整理してアウトプットすることを意識していこうと思います!

これから研修を受ける方々へ

仕事やプロジェクトに取り組む上では、知識を実際に使いこなせるかが鍵だと思います。この研修では、単に知識だけでなく、そのメカニズムまで学び、ディスカッションを通して深めていきます。実効性のある学びと、新たな気づきが得られる研修です。

研修で学んだこと

  • 記憶には、(感覚記憶)短期記憶、中期記憶、長期記憶がある
  • 記憶の仕方には、手続き記憶、意味記憶、エピソード記憶がある
  • 重要であり、刺激があり、繰り返されることによって記憶される
  • 五感が海馬(短期記憶を止め置く場所)と密接に結びついている
  • 睡眠(レム睡眠)が記憶形成に重要な役割を果たしている

この記事の著者/編集者

向井七海 早稲田大学 文学部  

小学生の頃からずっと世界平和を目指しています。平和を考える中で哲学に惹かれ、高校時代ドイツに留学。そこでシリア難民に出会ったことをきっかけに、大学では中東・イスラーム研究コースに所属。多文化共生や日本語教育を学びながら、大小問わず「平和をつくりだす」ことを目指して活動しています。

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