医学部受験の面接の基本!考え方から知って面接脳をつくろう【小論面接】
2021.09.01
学習塾ヘウレーカ・小論文面接講座担当の遠藤です。
医学部を受験する生徒向けに、小論文と面接についての記事を毎月連載しています。ご参考いただけると嬉しいです。
※掲載している内容は小論文・面接の基礎知識です。これをもとに自身でアウトプットし、添削を受けて修正することで、スキルを向上させましょう。
今回は面接について、基本的な考え方から頻出質問の答え方までをご紹介します。
面接が課される理由
医学部の入試になぜ面接が必要なのかについては、以前の記事でご紹介した通り、
- 対人力
- 論理的思考力
- コミュニケーション力
を評価するためです。
また、小論文とは異なる面接ならではの点として、「手順通りの動作をする能力」も測られていると言えます。
手術や診察、検査などを手順通りに行えない医師がいたとしたら、危険ですよね。
したがって、入退室のしかた、礼のタイミング、着席のしかた等の基本動作は、迷わず堂々とできるよう練習しておきましょう。
※学習塾ヘウレーカの小論文面接講座では、基本動作が身体に染み込むよう実践練習を重ねます。
基本となる考え方
まずは、どのように考えて答えるかという「基本となる考え方」についてお伝えします。
これがわかっていれば、どんな質問に対しても適切な答えを出すことができるようになります。
正直に、でも誠実に
基本的には正直に、嘘をつかずに答えましょう。
時には、面接官の求める答えを想像してしまい、それに自分を近づけるために嘘をつきたくなることもあるかもしれません。しかし、その嘘を隠すために一貫性のないことを答えてしまうリスクがありますし、何より嘘は見抜かれた時が一番恐ろしいものです。
ただし、面接官に対して失礼だとわかっていながら、本音をそのままぶつけるのは避けるべきです。正直かつ誠実な言い方を探しながら、面接官と自分の双方にとって偽りのない内容を答えましょう。
例えば、「今まで本学を訪れたことはありましたか」という質問に対し、ないならば素直にそう伝えます。しかし、堂々と「いいえ」と答えるよりは、控えめな様子で「いいえ、本日が初めてです」と答えた方が良いでしょう。
医師になった時のことを想像してみると、伝えたくない真実を相手に伝えなければならない場面はたくさんあるはずです。それを、相手を極力傷つけないように、むしろ相手に信頼されるような言い方で伝えるスキルは、医師として非常に重要な資質とも言えます。
過去・現在・未来の自分に一貫性を持たせる
詳しくは後述しますが、面接で最も基本的な質問は
- 医師志望理由
- 大学志望理由
- 今までで力を入れて取り組んだこと
- 将来なりたい医師像
などです。
これらの質問を通して面接官は、「医師になりたいという強い思いがあるか」ということも確認します。
そこで、医師への志望を示すために重要となるのは、過去・現在・未来の自分にある程度一貫性を持たせることです。
事例を挙げると、医師を志望した理由として「過疎地域でプライマリ・ケアを提供する医師と知り合い、憧れを抱いたからです」と答えたとします。その後、将来なりたい医師像として「深い専門知識を身につけ、特定分野において信頼される医師になりたいです」と答えたとしたら、どうでしょうか。
医師になる動機と目指す方向が異なっているように聞こえるため、自分がなぜ、何を目指したいのか、ということを考えられていないと思われてしまいます。結果として、医師になりたいという気持ちが本当に確固たるものなのか、疑われかねません。
もちろん上記のように答えたとしても、相応の理由や背景を伝えられれば問題ありません。しかし、例えば「将来は医療の不足する地域で、幅広い疾患を診られる医師になりたいです」と答えると、回答に一貫性が生まれます。
このように、なぜ、どのような医師になりたいのかということを説得力を持って伝えられるように、自己矛盾のない答えを考えましょう。
結論ファーストで考える
小論文における「PREP法」と同様に、面接でも結論をはじめに伝えることは非常に重要です。
特に面接では、端的でわかりやすい結論をまず伝えなければなりません。
そこで重要なのは、受けた質問に対して「一言しか答えられないとしたら何と答えるか」と考えてみることです。
答えの理由や背景説明をあれこれ考えすぎず、結論ファーストで思考することができれば、結論ファーストで答えることもできるようになります。
《質問例》
勉強以外で特に力を入れた活動は何ですか。
《良い一言目の例》
高校のバスケットボール部での活動です。
《悪い一言目の例》
浪人の時期は勉強に集中していましたが、高校時代にはバスケットボール部に所属しており、部長などではなかったものの、部員とのコミュニケーションの取り方について学ぶ経験をしました。
ただし、結論ファーストで考えることができるか否かにかかわらず、できるだけ多くの質問を想定して答えを準備しておくことで、結論ファーストでわかりやすい伝え方ができるようにしましょう。
また、質問を受けてから結論を決めるまで、会話として自然な程度であれば間を置いて考えても構いません。間を置かずに話し始めて冗長な回答をしてしまうよりも、端的な伝え方ができるはずです。
頻出の質問と答え方
次に、面接で聞かれる頻度の高い質問と、その答え方についてお伝えします。
上記でご紹介した基本の考え方を土台に据えながら、考えてみてください。
医師志望理由
医師志望理由を聞かれた際には、医師を目指し始めるきっかけとなった出来事を具体的に話します。
加えて、その出来事を受けて自分がどのように感じたから医師を志望したのか、ということを話しましょう。
《良い例》
医師を志望した理由は、私が小学生の頃に入院した際、治してくださった医師に憧れたからです。その医師は、私を不安にさせないよう励ましてくれました。この時、私も同じように人を助けられる医師になりたいと思うようになりました。
《悪い例》
医師を志望した理由は、人を助ける仕事がしたいと思ったからです。患者の怪我や病気を治すだけでなく、精神的な不安も取り除けるようなコミュニケーション力のある医師になりたいと思いました。
上記の悪い例では、医師を目指したきっかけが具体的に言及されておらず、なぜ、どのように人を助けたいのかがわかりません。
また、医師を志望した理由ではなく目指す医師像を話してしまっているという部分も減点です。
「医師を志望した理由」という問いの答えになるよう、内容を検討してみましょう。
大学志望理由
大学の志望理由とは、つまり「なぜその大学で学びたいのか」ということです。
よって、大学で学べることや、大学の魅力に重点を置いて伝えましょう。
ここで注意すべきは、医師になりたい理由や理想の医師像と混同しないことです。
- 大学のカリキュラム名、制度名
- 施設名
- 教育理念
など、その大学特有の情報を取り上げながら、なぜそれらに魅力を感じているのかを伝えましょう。
また、理由が1つしか無いと、その大学に入る必要性が小さく感じられてしまいます。はじめに「貴学を志望した理由は◯つあります」と断ったうえで、2〜3つは伝えるようにしましょう。
今までで力を入れて取り組んだこと
力を入れた活動については、勉強でもそれ以外でも構いませんし、迷う場合にはどちらが相応しいか面接官に尋ねても問題ありません。
ここでは、医師に求められる資質を獲得できたエピソードを話すことができると、評価されやすくなります。
内容としては、
- なぜ力を入れたのか
- どんな困難があり、それをどう乗り越えたか
- 何を学んだか
- どんな成果を出したか
など、アピールできると思われる事柄を選んで伝えましょう。
将来なりたい医師像
理想の医師像については、1点に絞って伝えても、複数伝えても構いません。
例えば、以下のようなことを実現できる医師を目指す方は多くいます。
- 患者を一人の人として診る全人的医療
- 専門性とコミュニケーション力を発揮したチーム医療
- 知識をアップデートし続けるための勉強
先に述べたように、医師を志望した理由や大学の志望理由と一貫性のある内容を伝えましょう。
安心できるまで準備をしよう
以上、基本的な考え方から頻出質問の答え方までをご紹介しました。
ぜひ参考にしていただき、面接でどのように答えるか考えてみてください。
しかし、面接本番に臨むうえで大切なのは「自分自身が安心できるまで準備をすること」であるという点は、忘れないでいただきたいと思います。
面接では特に本番のパフォーマンスが大事だと思われがちですが、実際には本番の出来よりも、事前準備の手厚さのほうが評価に繋がります。
本番で万が一失敗があったとしても、その受験生が真剣に準備をして誠実に取り組んでいるということが伝われば、本番の思いつきだけで乗り切ろうとしている受験生よりも印象は良いはずですよね。
皆さんも試行錯誤や練習を重ねて、自信を持って面接に挑めるよう準備してみてください。
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2021年09月15日
就職活動などの面接でも役立つ重要な話。