「潜在ニーズ×コーチング」で顧客の感動につなげる。
2020.10.19
クレド10.顧客に感動を〜高水準のサービスを追求し続ける〜
感謝だけではなく、感動を与えてこそ、顧客に真の満足が生まれます。顕在ニーズに迎合せず、常に潜在ニーズにアプローチし続けます。顧客にファンになってもらう為に、まずは自分たちが組織のファンになるよう責任ある行動をしていきます。
顧客の真のニーズにアプローチするために
「顧客を満足させるために、潜在ニーズにアプローチし続けることは重要」と言われたら、ほとんどの読者の方が肯定するように思いますが、具体的には一体何をしたらよいのでしょうか。
そもそも、ニーズは「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」の二つに区分することができます。顕在ニーズとは顧客自身がニーズを把握し、欲しいサービスに気づいている状態のことです。一方で潜在ニーズとは顧客自身がニーズに気づいていなかったり、その時思い出せていなかったりする状態のことです。
つまり、潜在ニーズにアプローチするとは、平たく言えば顧客が気づいていないニーズ(つまり潜在ニーズ)を引き出して、新しい提案をすることだと言えます。
では、そのためには何をすればよいのでしょうか?
顧客の潜在ニーズを引き出すということは、言い換えれば顧客に真の欲求を話してもらうということです。そこに使える手法の一つにコーチングがあります。
コーチングは、成長欲求のある人のマインドやスタンスを育成する際に用いられるものです。コーチングには色々な種類がありますが、A&PROでは以下のことを大切にしています。
1、目的・目標とモチベーションを結びつける
2、目標に向かって主体的に取り組むよう導く
コーチングを用いることによって、顧客が自覚している悩みだけではなく、その奥にある目的や潜在ニーズを引きだし、解決策を考えていくことができます。A&PROで学んだコーチングの3つのポイントのうち、ここでは1つだけ紹介します。
そのポイントは「積極的傾聴」です。
当たり前のことだと思われる方もいるかもしれませんが、人間知っていることに関してはつい口を挟んでしまいたくなってしまうもので、意外と難しい部分でもあります。
積極的傾聴の具体的な内容としては、徹底的に集中して聞くこと、促しながら聞くこと、そして理解しながら聞くことが挙げられます。
まずは徹底的に集中して聞くことです。相手の発言にしっかり耳を傾けて相手の発言を聞き逃さないようにしましょう。表情や言葉尻にも潜在ニーズの糸口が隠されているかもしれません。
次に促しながら聞くことも効果的です。「なぜ?」だけの質問では詰まってしまいます。「〜というと、具体的に挙げられるとすればどんなこと?」や「将来はどうしたいか、思いつくことはある?」と言った、相手が続きを話したくなるような質問を投げかけられるように準備をしましょう。
最後に、理解しながら聞くことです。自分の価値観で判断しないようにしましょう。相手が思っていることを引き出すためには、相手の考えを理解することが非常に大切です。
これらの要素から成り立つ「積極的傾聴」を心がけるだけでも、会話をしている相手の潜在的なニーズを引き出すことができるのではないでしょうか。
具体例として、この研修を受けた後に日本語教育の分野で実践した私の例について述べたいと思います。日本語学習者と話していてよく相談されるのが、「敬語を学びたいからおすすめの日本語テキストを教えて欲しい。」という内容です。この時の「日本語のテキストを教えて欲しい」は顕在ニーズにあたります。
もちろん、日本語の教材を教えることも可能でしょう。しかし、彼らの潜在ニーズを引き出すにはここからの深堀りが肝心です。なぜか?という質問から始め、どんな場面で思ったのか?将来についてはどう考えているのか?など対話を続けました。そうすると、最も多かった悩みが「就職活動に対する不安」でした。そうなると、日本語のテキストだけではなく、就職活動の支援センターを紹介したり、おすすめのYoutubeを紹介したり、私が新しくサービスを作ったりするといった、新しい解決策が見つかります。
このようにコーチングの手法を使うことで、彼らが自分で気づいていない悩みや真に求めていること(潜在ニーズ)に対して新しい提案ができると実践を通しても感じることができました。
これからどう活かすか
このように書いていますが、実際は四苦八苦という感じで、うまく話を促すことができないことの方が多かったです。しかし、潜在ニーズを引き出すことで新しい価値提供ができたり、自立した日本語学習者を目指すよう促せたりするという点からも、コーチングという手法は効果的であるように思いました。これからもA&PROでコーチングや潜在ニーズの引き出し方について学んでいきながら、顧客が感動するような価値提供ができる人間に成長していきたいと思います。
田村稔行 早稲田大学 基幹理工学部 情報通信学科