連載クレドを掘り下げる -価値を提供できる人材に-

想定と準備、その範囲はどんなに広くてもいい。

クレド8.人のせいにせず、常に自分ができること・できたことを考え、最善を尽くす。

組織はフラットであり、常に全メンバーが危機意識を持ち、自分にできること・できたことを考え、改善。自分に都合の悪いことが起きても、人のせいにせず、自分にも原因を求め、サービスの質を高めます。

準備できたこと、できなかったこと

ミッション達成のためには、その過程で起こり得るあらゆる可能性を想定し、準備する必要があります。不慮の事態に対応できなければ、ミッションが達成できなくなるかもしれないからです。どう想定し、どう準備をするか、その説明のために「オリ合宿を無事に成功させる」というミッションが課された私自身の経験をご紹介しましょう。

東大の1年生はほぼ全員、入学直後にクラスメイトや上級生(オリター)たちと1泊2日のオリエンテーション合宿(オリ合宿)に行きます。自分が1年生として参加したオリ合宿が終わった直後から、私は次のオリ合宿を企画・運営するリーダー、オリ長として約1年間準備を進めていました。旅行代理店の方と何度も話し合いをし、初日にいちご狩り、体育館レク、旅館でのコンパをし、翌日には焼肉を食べて帰るという行程を企画しました。この中で自分が準備できたこと、準備できなかったことがあったのです。

オリ合宿の2ヶ月ほど前にオリターたちと合宿の下見を行いました。焼肉はいちご狩りをさせていただく農園に併設する複合施設内のレストランで行うもので、下見のときに当日と同じ量・内容の食材を食べました。味は美味しかったのですが、量が物足りないと感じ、これはオリターたちの間でも共通の意見でした。

「1年生たちはしおりの行程表に書かれた『焼肉』の文字を見て期待するんだろうな。でもこの量だと彼らはがっかりしちゃうんじゃ……」
その可能性を想定した私は下見から帰った後、旅行代理店を通じて農園側に肉の量を増やしていただくようお願いしました。当日のオリ合宿で1年生たちが満足そうに焼肉を食べているのを見て、増やすという準備をしてよかったなと感じました。

しかし、準備できなかったこともありました。ある程度みんなが焼肉を食べ終えた頃、彼らが食後の歓談をしたり施設内でお土産を物色したりするための時間を設け、14時までにバスに戻ってくるようにと指示を出しました。その後私は施設の方にお礼をし、一足先にバスに戻り休憩をしていたのですが、集合5分前になっても1年生とオリターたちの多くが戻ってこず。不思議に思い施設入り口まで様子を見に行くと、彼らは入り口付近に集まっていました。

オリターの1人が「まだ集合写真撮ってないし、ここで撮ったほうがいいんじゃない?」と言い、彼らは既にバスに戻っている人たちの存在を知らず、全員が入り口に集まるのを待っていたのです。「なら連絡してよ……!」と喉から出かかりましたが、ここで活きてくるのが今回のクレド。

人のせいにせず、常に自分ができること・できたことを考え、最善を尽くす。

集合写真を撮る行程を準備していなかったこと、そして何らかの原因で集合に遅れる可能性を想定して、そうした時には自分に連絡をするよう指示していなかったこと。思わずオリターのせいにしそうになりましたが、非は自分にもあったのです。

今回は集合写真を撮る行程の準備が抜けていただけで大事には至りませんでしたが、もし誰かが事故にあったなどであれば、無事にオリ合宿を達成するというミッションは達成できなかったかもしれません。

あらゆる可能性を想定して準備をすること、それがミッション達成には欠かせないのです。

では想定を広げるために何ができるか。私は、その答えは現状と過去の分析であると思います。

私が1年生としてオリ合宿に参加したときは、水族館の前で集合写真を撮りました。もし今回のオリ合宿の行程表を作っている段階で過去の行程表と照らし合わせていたら、集合写真を撮る行程が抜けていたことに気づけたでしょう。写真を撮るのにふさわしい場所を下見の時点で探すという準備ができたはずです。

そして今回のオリ合宿では何も起こりませんでしたが、もっと最悪の事態を想定しなければいけない場合があります。1984年、オリ合宿で酒を飲んだ東大生らが死亡した山中湖水難事故。こんなことが起こらないよう夜間に旅館から出ることを禁じることもできたはずです(飲酒については強く禁じていました)。過去から学び、想定し、準備することは時に命を救うことにさえなり得るのです。

現状と過去の分析をもとに可能性を想定し、準備する。その範囲はどれだけ広くてもいいと、私は思います。そしてリーダーを担うなら尚更、メンバー以上にその範囲は広く考えておくべきでしょう。

日常でできる想定と準備

ミッション達成のために想定と準備を怠らないことはもちろん、普段から緊急時に迅速に対応できるように想定と準備をすることができます。例えば、大きな地震や火事はいつ起こるか分かりません。避難所を確認しておく、消火器の位置を把握しておくなどできることがあります。自分では想定と準備ができていたつもりでも、突然起きたときに対応できなければ意味がないのです。

理想的には現状と過去の分析や、領域を幅広く捉えることで網羅的な想定ができます。例えば、過去に起きたこととして東日本大震災が挙げられます。今まで起こらなかったことを想定するのは難しいかもしれませんが、少なくとも過去に起きたと知っていることには対応できるようにすべきでしょう。

この記事の著者/編集者

藤原穫 東京大学 薬学部  

秋田県出身。高校時代は強豪校でバドミントンをしていました。大学に入ってからは民族舞踊に励み、4年生になった現在は薬物動態の研究をしています。趣味は旅行。死ぬまでにすべての温泉地を回りたいと思っています。これまで複数の組織で培ってきたリーダーシップに磨きをかけるべく、A&PROでの研修に励んでいます。

この連載について

クレドを掘り下げる -価値を提供できる人材に-

連載の詳細

価値を提供できる人財として重要な10のマインドが凝縮されているクレド。A&PROでは、毎日1つのマインドに焦点を当て、メンバー全員でエピソードの共有を行っています。

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