解答にもっと説得力が欲しいなら!反対意見を想定し、切り返そう【小論面接】
2021.05.01
学習塾ヘウレーカ・小論文面接講座担当の遠藤です。
医学部を受験する生徒向けに、小論文と面接についての記事を毎月連載しています。ご参考いただけると嬉しいです。
※掲載している内容は小論文・面接の基礎知識です。これをもとに自身でアウトプットし、添削を受けて修正することで、スキルを向上させましょう。
今回は、特に小論文における答え方の一つとして「反対意見の想定」と「切り返し」についてご紹介します。
3月に公開した「答えの出し方」の発展編になりますので、こちらを先に読んでいただくことをお勧めします。
反対意見と切り返しを入れるとどうなるか?
小論文で意見や主張を説明する方法として、「反対意見の想定」と「切り返し」があります。
早速、想定した反対意見と切り返しを入れた例文を見てみましょう。
以前の記事で用いたのと同じ設問で、解答例をご覧ください。
設問
小学生への英語教育は必要だと考えますか。
解答例
私は、小学生への英語教育は必要だと考えます。
なぜなら、幼い頃から英語に触れることで、英語の知識をより吸収しやすくなるからです。たしかに、国語をある程度学んで中学校に上がってから英語を学んだ方が、文法や単語の意味を日本語で理解しやすいと言う人もいるかもしれません。しかし、英語を学ぶことで言語そのものに興味を持つ機会が増え、国語への関心も高まるため、できるだけ早期から英語と国語を同時に学ぶ方が学習効果が大きいといえます。
よって、小学生から英語を学習すべきだと私は考えます。
このように、反対意見をあえて想定した上で切り返すことで、相手が持つ可能性のある反論を減らしながら、自分の主張を支持する根拠を増やすことができます。
したがって、説得力が増すのです。
反対意見と切り返しの表現方法
反対意見を想定して切り返す際には、表現方法に注意が必要です。
それではためしに、適切に表現されていない場合の例文を読んでみてください。
私は、小学生への英語教育は必要だと考えます。
なぜなら、幼い頃から英語に触れることで、英語の知識をより吸収しやすくなるからです。国語をある程度学んで中学校に上がってから英語を学んだ方が、文法や単語の意味を日本語で理解しやすくなります。
英語を学ぶことで言語そのものに興味を持つ機会が増え、国語への関心も高まるため、できるだけ早期から英語と国語を同時に学ぶ方が学習効果が大きいといえます。よって、小学生から英語を学習すべきだと私は考えます。
これでは、自分の主張と反対意見がはっきり区別されておらず、小学生への英語教育に賛成なのか反対なのか、判別しづらくなってしまいます。
反対意見の提示
想定される反対意見を伝える時に最も注意が必要なのは、「これはあくまで自分の主張とは異なる」と明示しなければいけないということです。
よって、以下3つの表現を活用して、反対意見を示してみましょう。
1. 文頭の「たしかに」「もちろん」
文頭にこれを入れることで、反対意見の提示であるということを予め相手に伝えられます。
英語の文章でも”certainly”や”of course”が多用されます。
2.「〜と言う人もいる」「〜という意見もある」
主語を「人も」「意見も」とすることで、そう考える主体が自分ではないことが明らかになります。
英語でも”some people”が主語になりやすいです。
3.「〜かもしれない」「〜だろう」
断定しすぎない文末にすることで、自分は賛同していないというニュアンスを伝えることができます。
英語でも”might”などの助動詞がよく使われます。
これら3つの表現は、全て使っても構いませんし、どれか1つがなくても十分伝わる場合もあります。
切り返し
また、切り返す時には、文頭に「しかし」「だが」といった逆接の表現を入れましょう。
これにより、反対意見の提示は終了して自分の主張を再度展開する、という意思を伝えることができます。
英語では副詞の”however”や”though”、接続詞の”but”などがよく用いられます。
反対意見に対抗できる切り返しになっているか?
ここまで表現方法についてお伝えしてきましたが、内容も非常に重要です。
特に陥りがちな落とし穴は、切り返したはずが「反対意見に対抗しきれていない」ことです。
これは例えば、以下のような解答です。
たしかに、国語をある程度学んで中学校に上がってから英語を学んだ方が、文法や単語の意味を日本語で理解しやすいと言う人もいるかもしれません。
しかし、昨今のグローバル化する世界では、世界共通言語とも言える英語のスキルは国語のそれと同じくらい重要です。
これでは、反対意見と切り返しの内容がずれているため、反対意見を否定したことになりませんよね。
- 反対意見:国語との関連で、英語を中学から学ぶことの利点
- 切り返し:英語を学ぶことの重要性
むしろ、英語のスキルが重要ならばなおさら中学から学ばせるべきなのでは?と思わせてしまいます。
一方で、最初にご紹介した例文は、反対意見に対抗できる論理が成り立っているからこそ、うまく切り返せているのです。
たしかに、国語をある程度学んで中学校に上がってから英語を学んだ方が、文法や単語の意味を日本語で理解しやすいと言う人もいるかもしれません。
しかし、英語を学ぶことで言語そのものに興味を持つ機会が増え、国語への関心も高まるため、できるだけ早期から英語と国語を同時に学ぶ方が学習効果が大きいといえます。
- 反対意見:国語との関連で、英語を中学から学ぶことの利点
- 切り返し:国語との関連で、英語を小学校から学ぶことの利点
このように、自分で想定して提示した反対意見に対し、論理的に対抗できる切り返しを用意することが重要です。
反対意見と切り返しを入れるタイミング
小論文全体の中で、反対意見と切り返しはどのタイミングで入れるのが効果的でしょうか。
既にご紹介した「PREP」で言えば、Eの前後に入れるか、Eの代わりに入れるのが適切でしょう。
なぜなら、Pはそれぞれ最初と最後にあるべきで、また、相手がRを先に知っておいた方が反対意見と切り返しに納得しやすいためです。
最初にご紹介した例文も、Eの代わりに入れています。
反対意見をうまくかわして、論理的思考をアピールしよう
以上が、「反対意見の想定」と「切り返し」を取り入れた答え方のご紹介でした。
これは小論文においては、説得力を強化しながら文量を増やすのに非常に有用です。
また、回答時間の短い面接では出番は少ないかもしれませんが、比較的長く回答できるような面接では便利な技になります。
さらに、これをうまく活用することで、自分自身の論理的思考力アピールにも繋がります。
ぜひ反対意見と切り返しを使いこなして、武器の一つにしましょう!
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