『押し売り業者』から『1番の相談相手』へ

One to Oneマーケティングの本質

■今月の研修 サービス理論(基礎2)

企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念である。また顧客のニーズを解明し、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセスを指す。

wikipedia

上記は、日常生活で1度は聞いたことがあるであろう「マーケティング」という単語の説明文です。今回の研修では、このきわめて抽象的な概念に思えるマーケティングの中でも、One to Oneマーケティングという考え方を、日常の具体的な事例と関連付けながら深掘りました。

明確な「営業職」「マーケティング職」に就かれている方のみならず、無形サービスを扱うすべての社会人の方に向けた、問題提起を含んだ記事ですので、ぜひ最後までお読みください!

MassマーケティングとOne to Oneマーケティング

One to Oneマーケティングと対比されるものとして、あるサービスの市場内シェア(より多くの人にそのサービスを利用してもらうこと)を重視するMass マーケティングがあります。例えば、「世界人口の7割をiPhoneユーザーに!」といったところでしょうか。一方、One to Oneマーケティングの最上段の目的は、自社全体の顧客内シェアを拡大させることです。

では、顧客内シェアとは一体どのようなものなのか?次のカセットで考えていきます。

顧客内シェアとは?

一般的に想像される顧客内シェアは、自社のサービスを繰り返し、かつ幅広く利用してくれているか、の度合いではないでしょうか?先ほどの例で考えると、iPhoneを利用してはいるが、用途は通話のみ、という場合は顧客内シェアが低い状態であるといえます。反対に、通話のみならず、買い物や日々の体調・金銭管理等をiPhoneで行い、趣味の読書や映画鑑賞にiPadも利用している場合は、Apple社全体としての顧客内シェアが高い状態であると言えるでしょう。

しかし私は、顧客内シェアを、「サービス利用状況」と同義を捉えるだけでは不十分であると考えます。以下が、私が今回の研修を通じて得た、本記事前半のキーメッセージです。

「サービス利用状況」は、顧客内シェアを構成する1つの要素でしかない。
顧客内シェア=「顧客1人1人のお役に立てた総量」であり、顧客の役に立つことを追求し続けることが、One to Oneマーケティングの本質である。

先に断りを入れますが、この主張には、普遍的に通用する演繹的な根拠やロジックはありません。では、なぜそのような主張を敢えて記事で発信するのか?理由は、私自身が理想とするビジネスマン、もっと言うと1人の人間に近づくための心構えを、この主張は教えてくれている気がするからです。

このような伝え方をすると、単なる個人的な主張に思えるかもしれません。ですが、必ずや共感してくれる人がいる、そうした期待を持ちながらこの先の記事を書きましたので、ぜひ最後までお読みいただけたら嬉しいです。

「押し売り業者」から「相談相手」へ

顧客内シェアを分析する上での3本柱

  1. 利用期間が継続的か
  2. 利用範囲が多岐にわたるか
  3. 自社(のサービス)が、顧客の心の中で自然と想起されるかどうか

上記が、顧客内シェアの大小を判断する上で重要であると考える観点です。Apple社の例で考えれば、➀iPhoneを長期間愛用し、➁複数の端末・サービスを利用しながら、➂新機種・サービスを利用したいと思った時にApple社の製品を検討してみようと思う、といったところでしょうか。

そして顧客1人1人のお役に立てた総量を増やすことを考える際、特に3点目は、多くの人が見落としがちな観点なのではないでしょうか。

というのも、1.2点目については定量的なデータとしても容易に測定され、実際の売り上げ・成果としても分かりやすく目に見えます。一方3点目については、そもそも測定が難しく、なかなか直接的な評価には繋がらない要素です。

もちろん、収益に繋がる売り上げ・成果としての1.2点目は重要です。しかし3点目は、中長期的に効率的に成果を出すための、いわば「種蒔き」ができているかどうか、という意味でとても重要な観点だと考えます。どういうことなのか、以下でご説明します。

将来に向け、種を蒔いていく

いかに継続的かつ多岐にわたって自社のサービスを利用してもらうかを考えると、顧客に自社サービスを直接紹介することが、通常の行動でしょう。しかしこれだけでは、毎回企業側から顧客にアプローチする必要があり、よほどのマンパワーや広告チャネルがない限り、「コストを投下した分だけ売り上げも伸びる」タイプの成長には、限界があります。

一方、顧客が自然とリピートしたくなる。または、何か困った時に頼りたくなる。企業(のサービス)がそのような存在だとしたら、極端な言い方をすれば、営業・広報活動は不要でしょう。さらには、こうしたコスト削減のみならず、口コミ等により自然と第3者にも魅力が伝わることで、売り上げは時間が経つほどに増える、つまり指数関数的な伸びを見せるかもしれません。

その会話、きっかけは「顧客」「あなた」どちらから?

先述の両者の差は、コミュニケーションの発信源が企業と顧客どちらにあるかです。当然のことながら、最初から自社サービスに興味を持ち、利用を考えている顧客には、実際にサービスを購入していただける確率が高いでしょう。

企業側の人間としては、目の前のお客様とのコミュニケーションのきっかけがどちらにあるか、この点を考えることで、極端な言い方かもしれませんが、自分が「押し売り業者」なのか「相談相手」なのかがわかるはずです。コミュニケーションの矢印が「顧客→企業」となる理想の状態を目指しましょう。

お客様にとっての“1番”の相談相手であるために

長くなりましたので、簡潔にここまでの内容をまとめます。

  1. One to Oneマーケティングの本質は、顧客1人1人のお役に立つこと(=顧客内シェアの増加)
  2. 自然とリピートしたくなる、困った時に相談したくなる存在であることで、営業や広告に頼るよりも大きな成果が将来的に見込める
  3. 上記のような存在かどうかは、コミュニケーションの発信源によって判別がつく

それでは、具体的にどのような心構え・行動が必要なのでしょうか。私なりの答えが、以下の通りです。

お客様と将来的にWin-Winな関係になること信じ、圧倒的Giverであり続けよう
(⇔今を逃したら2度とチャンスはない、できるだけ高額なサービスを売ろう)

目の前のお客様が、自社のサービスを購入するかどうかは、企業側の要素だけに依存しているわけではありません。財政的・時期的要素など、企業側にはどうすることもできない要素がたくさんあります。まずはそうした当たり前を認識しましょう。

そして長期的視野を持って関係を続けていくことが大切です。仮に「今すぐ」目に見える契約に結び付かないとしても、そこで関係を終わらせてはいけません。何かしらお客様の“お役に立つ”情報をお届けしたり、お客様の現状を気にかけ必要であればさりげなく助言をしたり、企業側にできることはたくさんあります。

つまり先ほどお伝えした「圧倒的Giver」とは、単にこちらからモノ・情報を一方向的に渡すだけでなく、私たちは、いつでもお客様のお役に立つ準備ができています、というメッセージを行動で示し続けることなのです。これが記事中盤でお伝えした「種蒔き」そのものです。

私は4月から入社する会社で、企業の新卒採用や組織・人事制度設計全般をご支援する仕事に就きます。俗に言われる営業もします。だからこそ、「圧倒的Giver」となり、どこかのタイミングでお客様にとっての頼れる存在=「1番の相談相手」になる、そんな社会人を目指して日々仕事に取り組んでいきます。間違っても、単なる「株式会社○○の営業担当者」にはなりません。

これから研修を受ける人へ

A&PROでは常々、知識だけ・机上の空論にとどまらず、実践まで落とし込むことを大切にしています。今回の研修では、「マーケティング」という、よく聞くが体系的に学んだことのない言葉をテーマに学びを深めました。

これから社会人になり本格的にビジネスに携わる私にとっても、大切な心構えや、それを体現するための具体的な行動にまで落とし込めたことは、とても価値あることでした。

また今回学んだことは、ビジネスに限らず人間関係そのものにも当てはまる部分が多いと感じます。参加者によって得られる学びは様々な研修かと思いますので、ぜひ一度ご参加いただき、このように記事として発信・シェアしていただければと思います!

研修で学んだこと

  • 顧客内シェアを向上させたかどうかの最上段の判断軸は、「顧客のお役に立てたかどうか?」
  • 学習関係は、企業対顧客だけでなく、顧客対顧客の構造もあり得る
  • カスタマイゼーションの本質は、相手に選択肢を与えること
  • 顧客識別のフレームワーク RFM
  • リーダーは、メンバーに対してOne to Oneマーケティングの考え方をもって接すると、より豊かなマネジメントができる

この記事の著者/編集者

萩原佑太 早稲田大学 基幹理工学部  

高校まで10年間野球に打ち込み、一浪の末、早稲田大学理工学部へ

大学では、個別指導塾や引っ越しアルバイトを経験後、大学2年次からA&PROに所属している

A&PROでは塾講師を務め、4年次からはキャリア支援の学生団体にて顧客開拓部署のリーダーも務める
現在はA&PROと学生団体とのコラボプロジェクトに取り組み、日々相乗効果を目指し奮闘中

趣味はカラオケで、全国採点1位を獲得したことも!

最新記事・ニュース

more

早稲田大学の中都智仁と申します。大学1、2年生の頃は自分から行動することなんてありませんでした。しかし、大学3年生のコロナ禍の時期に私の人生について深く考えてから実感するほど人生が変わりました。現在はキャリア支援団体のセクションのリーダーとして常に『リーダーシップとは』という問いを考えています。

藤原穫 信宗碧 2Picks

今回はプロジェクトの全体構成を見直すにあたって有効なツールを取り入れ、改めて自分のプロジェクトについて振り返りました。その中でも、QFDというツールについてご紹介します。 QFDは品質機能展開とも呼ばれ、顧客のニーズに応えるための各施策を考え、それらがどのニーズを満たしているか、また互いの施策が相反していないかなどを、網羅的な視点で確認するためのツールです。

あるテーマについて、真剣に話し合うという経験は、非常に貴重でためになるものであると思います。その一方で、そういった機会はなかなか得られないことが多く、今回参加させていただけたのは非常に嬉しかったです。 私は今2年生ですが、アルバイトを始めたとき、リーダーになったとき、大学生になったとき、もっと早くこのような経験をしておけたら良かったなと思うとともに、今からでもやっていきたいと思いました。

「メラビアンの法則」や「真実の瞬間」と向合い、各メンバー自身がブランド形成の重要要素であることを自覚していきます。 「目配り」「気配り」「心配り」の各段階を理解し、「マナー」「サービス」「ホスピタリティ」「おもてなし」の違いについて研究。 「マニュアル」「サービス」を理解・実践するのは当然。 「ホスピタリティ」「おもてなし」を顧客・メンバーに提供したいリーダーのための研修です。

研修にあたり本気で向き合ってくださった森口さん。今の私の素直な気持ちを引き出していただきました。自己防衛してしまうところや、本気で取り組んでいないことを真正面から伝えてもらい、学生時代に厳しいことを言われる機会がなかったので、大学生活の中でもとても刺激的な2日間を送ることができました。自分の弱みに丁寧に向き合うこと、そして何か前に進みたいという思いになれたあの瞬間を作って下さったこと、心から感謝しています。

藤原穫 1Picks

実は私は一度参加を見送っています。ですから、そういった立場の人間からのメッセージとして受け取ってもらえればと思います。結論から言うと、「もっと早く参加すればよかった」と思いました。我々に本気で向き合ってくれる講師の方のもとで、リーダーを目指し悩む仲間と共に、自分に向き合い続ける二日間は非常に濃いものでした。多くの学びや刺激がある一方で苦しい思いをすることもあります。しかし、他の場所では経験できないような貴重な二日間だったと思います。リーダーになるために本気で変わりたいと思える人はぜひ参加してほしいなと思います。

藤原穫 1Picks

森口さんに「賢そうに見られることに甘えている」という言葉を頂いたとき、はっとさせられました。私は相手のことを考えず、ただ自分のしたいコミュニケーションを行っているだけだったのです。リーダーは率先してコミュニケーションを体現すべき存在です。今後はアウトプットを繰り返し、自分を厳しく律しながら一歩引くメリハリを大切に、発言していきます。 森口さんとの約束でもある「リーダーのリーダーになる」という言葉を胸に、今後の団体や社会人としての活動に励みます。

藤原穫 1Picks

そもそもプロジェクトとは何か。それを知ることによって、あなたが現在取り組んでいる活動をもっと豊かにすることができるはずです。プロジェクトの基本を学び、そのプロセスについて考えてみましょう。

参加者全員が紹介する通り、これはただの研修やインターンではなく、講師も本気で向き合ってくださり、参加者全員が限界以上にやり切るプログラムになっているため、遂行するには大きな覚悟と目的が必要です。しかし、受講することで今まで気づかなかったこと、新たな学びをたくさん得られる研修を通じて、必ず一歩成長することができます。

田村稔行 1Picks

もしあなたが成長したいのならばリーダーになりたいかは問わずとも迷わずこの研修に参加するべきです。それがあなたの市場価値を高め、職場での活躍につながるのではないでしょうか。そんな成長欲求マシマシの人ならこの研修は一生の財産になるはずです。

田村稔行 1Picks

この研修を通して私はようやくリーダーシップを発揮できる人材となる第一歩を踏み出すことができたと思います。この研修で終わりではなく、この研修を契機に自分の中での考えを改め、今後の生活で実践を重ねることで自らを高め、更にはチームを良い方向に牽引できる人材に成長できるよう努力します。

藤原穫 1Picks

『自責思考』という言葉をご存知ですか?ポジティブに用いられることが多いこの言葉ですが、責任というものを正しく認識していないと、制限なく責任を背負うことになります。このような自責の沼から抜け出す方法をご紹介します。