「合わせて伸ばす」リーダーが「人を動かす」
2023.04.10
4.誠実・謙虚であれ
周りの人たちに対して、損得ではなく誠実・謙虚に行動していきます。小さな約束もきちんと守り、信頼を積み重ねていきます。
はじめに
思うように人は動いてくれない
リーダーの仕事の1つにチームとしての成果を高めることがあります。チームを構成するメンバーのパフォーマンスを最大化することが出来れば、プロジェクトが生み出す価値は想像できないほど進化するでしょう。
一方で「自分は精一杯やっているけれど、なぜかメンバーが動かない...」など、人が思うように動いてくれない状態に苦戦したこともあるのではないでしょうか。
そこで、本記事では、人が何に影響されるかを学べる「リーダーシップパワー理論」をもとに「人の動かし方」について言及したいと思います。リーダーとして見本になるような当たり前の行動は出来ているものの、「人を動かす」ことに苦戦している方にお薦めの記事です。
響かないリーダーの指摘
理想のリーダーという十人十色の問い
リーダー向けの研修などで「あなたにとって理想のリーダーは誰でしょう?」という問いを出されたことはないでしょうか?歴史上の人物や有名企業の社長など沢山の名前が挙がります。理由を聞くと、人柄、社会的地位、能力の高さなど十人十色の解答が得られます。
十人十色の思いと向き合う
リーダーとして不変的に求められる能力や姿勢はあると思います。一方で、理想のリーダー像が十人十色であるように、メンバーがリーダーに求めることはメンバーごとに異なります。当然、「動こう」と思う瞬間はメンバーごとに異なります。チームの成果を高めるリーダーは、自分の信念を大事にしながらも、メンバーに「合わせる」努力が必要だと考えます。
メンバーに「合わせること」が正解とは限らない
リーダーはメンバーに全て合わせれば、良いわけではありません。メンバーへの要望メンバーの希望に応えることではなく、あるべき姿に組織やメンバーを導くことがリーダーの仕事だからです。故に、メンバーに合わせることと合わせないことの選別が重要です。
私が「合わせる」必要があると感じた瞬間
私は現在、エンカレッジ早稲田支部10期で支部長を務めております。次の代である11期の引き継ぎに関するMTGをしていた際に、大事なメンバーが私にFBを求めてきました。メンバーが提出したアウトプットには改善点が多く、FBの伝え方に迷うことがありました。
「納得できる成果物を作成するために少し厳しくFBするか...」、「相手の気持を尊重して、褒めてみるか...」など、色々と考えていました。
そんな時に頭に過ったのは2022年の2月に研修で学んだリーダーシップパワー理論でした。
「影響力」を持つためにリーダーシップパワー理論を活用
リーダーシップパワー理論概要
リーダーシップパワー理論によって、人は何に対して導かれるかを体系的に研究できます。まずは以下の表を御覧ください。
人はその成熟度に応じてどのような力に導かれやすいかは大きく変わります。相手が導かれやすい力を分析することで、相手の欲求に応じ合理的に働きかけることを可能とします。この理論を効果的に活用することで「相手を動かす」ことが出来るかもしれません。
社会的地位の高い人に影響されやすかった私
少し私の話になりますが、私は高校生の時には社会的地位の高い人に導かれやすかったように思います。先程のリーダーシップパワー理論に当てはめると、社会的地位の高い人・偉い人に導かれやすかったと思います。講演などを聞いている際に内容で是非を判断するのではなく、偉い人が話しているから大切なことと鵜呑みにしていました。
また、当時はプレゼンをする際など、自身が偉い人から影響を受けるように他の人も偉い人から影響を受けると考え、「有名企業の社長の意見」などを説得力あるプレゼンの材料にしていました。
何に影響を受けるかは相手が決めるもの
当然、偉い人に導かれにくい友人もいるので私のプレゼンが響かないことはありました。「何に導かれやすいか」は相手の成熟度が影響しており、相手が決めるものです。
相手に影響力を与えようとする際、自分が導かれやすい力に応じて人に接してしまう(高校生のわたしは”社会的地位”)傾向がありますが、それでは上手くいかないこともあります。何に影響を受けるかは人それぞれだからです。だからこそ相手に「合わせる」必要があるのです。
正しい指摘より相手に「合わせて伸ばす」指摘
ここからは私のエンカレッジの話に戻りたいと思います。メンバーへのFBの仕方を検討しているところでした。メンバーの成熟度を分析してみたところ、人間的魅力、特に相手の気持に配慮して、共感を示す人に導かれやすいと感じました。成果物の質を求めるあまり、成果物の作成過程においてやや厳しいFBをしがちな私でしたが、自分のコミュニケーションの取り方を変えてみました。
相手に「合わせて伸ばす」ことで、「出来ること」を増やす
例えば、求める成果物に対して何が足りていないのかを伝える形ではなく、①相手の成果物に見え隠れた工夫や苦戦している点を分析する、②そこまでの努力を尊重しながら次の段階を促してみる、などのような工夫をしてみました。
相手に「合わせて伸ばす」ことで、相手を適切にモチベートしながらも成果物の質を段階的にはですが、高めることができました。また、同じ指摘をすることも少なくなったように思います。チームの成果を高めるために、メンバーの成長段階に「合わせて」、少しずつじっくりと「伸ばす」ことが、安定して強固な組織を創るポイントになることも学びました。
事業成果を高める組織・人財育成を常日頃から行う
読者の皆さんの中には、メンバーに「合わせて伸ばす」ことは当たり前に思える方も多いかもしれません。ただ、私がFBの仕方に深く悩んだ背景には「事業と組織どちらに注力するべきなのか」という問いがあったのです。
急成長している事業を有する会社でもそれを支える人財や組織体制が十分でないとすぐに崩れてしまいます。一方で、人財や組織体制を強固に固めてから事業を成長させるという手もあると思いますが、そもそも固める環境を用意することが難しいでしょう。
事業と組織は車の両輪のようなもの
私が代表を務めるエンカレッジ早稲田支部においても似たような悩みを抱えていました。
組織が不安定なまま、事業を突き進めるか。それとも組織の成長レベルに合わせて事業を進めていくか。事業と組織は車の両輪のようなもので相互の成長が欠かせないと分かっていましたが、正解のない問いにぶつかっていました。
ただ、正解がないからといって、行動しないわけにはいきません。そんな際に私が大切にしたいことは事業成果を高める組織・人財育成を常日頃から行っておくことです。
思いがけない状況に対応できるように、常日頃から
私たちを取り囲む社会は急激に変化します。既存の商品が超人気商品になることや会社の存続をかけて新規事業の立案が急遽開始されることなど、予想しにくいことが沢山あるでしょう。
そんな際に、人財足りない・組織が未熟などの理由でビジネスチャンスを逃すことは非常にもったいないですよね。ただ、急速な変化を乗り越えられる組織や人財は一朝一夕で得られるものではありません。
だからこそ、リーダーは組織・人財育成に常日頃から力を入れる必要があるのです。
過度ではなく、適度な成長環境を
また、過度な成長環境は成長ではなく、ストレスや失敗を与えるため非常に危険です。常日頃から人財育成に力を入れ、適切な成長環境を用意することも大事です。メンバーに「合わせて伸ばす」ことを継続することで、来る変化をチャンスに変えられる素晴らしい組織が創れるでしょう。
最後に
今月のテーマは”誠実・謙虚であれ”でした。リーダーとして組織を支えるメンバーに常日頃誠実に向き合うことは非常に大切だと考えます。そして、組織・人財育成は一朝一夕でいくわけでもないでしょう。組織・メンバーに「合わせて伸ばす」意識を持ち、来る変化をチャンスに変えられるような準備が大切です。常日頃から中長期的な未来に対しても向き合うこともリーダーの役割です。私も”現在”にはもちろん、”未来”にも誠実に向き合うように日々、取り組みたいと思います。
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新着コメント
2023年03月17日
「常日頃から中長期的な未来に対しても向き合うのがリーダー」ということから気づきを得ました。事業と組織は車の両輪のようなものであり、トレードオフ的にどっちが大切と決めるのではなく、人財に向き合うことで中長期的な事業成果の拡大を図るという選択肢を持つことがリーダーとして大切なのではないかと感じました。一朝一夕で成し遂げれない人財育成、組織戦略だからこそ日々の細かなコミュニケーションにさえも狙いを持って積み重ねていくことが大切であることを学びました。ありがとうございました。
2022年12月16日
“組織・人財育成は一朝一夕でいくわけでもないでしょう。組織・メンバーに「合わせて伸ばす」意識を持ち、来る変化をチャンスに変えられるような準備が大切です。”
その通りだと思いました。今じゃなくていいや。じゃなくて、今できる準備をしっかりとやっていく。リーダーとして誠実にチームに向き合うとは、そういうことなのかな、と考えさせられました。
また、自分が影響を受けやすいやり方で、ついついメンバーにも接してしまいがちですが、一人一人に向き合った対応をとるには、相手のことを知ることが、まず大切だとわかりました。