妥協なきwin-winへ。アサーティブコミュニケーションの7つの基本姿勢とは。

今月の研修:アサーティブコミュニケーション

アサーティブコミュニケーションとは、相手のありのまま(権利)を侵害せずに、誠実・率直・対等な立場で、自分の気持ちや意見をわかりやすく伝えること。

A&PROではアサーティブコミュニケーションにおける7つの基本姿勢を次のように定義しています。

  1. 自分の気持ちや感情を自覚し、本当の要求は何かを明確にすること
  2. 相手の言葉を繰り返し確認する、そして気持ちを聴くこと(聞く・聴く・訊く)
  3. 相手の要求を肯定し、気持ちに応えること(自他肯定)
  4. 相手に話すときの主語を「私は、」にすること
  5. 相手に認められるためではなく、自分に誠実であるために言うこと
  6. 感情中立的に相手を認め尊重しながら、必要ならば何度でも繰り返し言い続けること
  7. 相手をよく観察し、言語・非言語的メッセージを合わせること

これらを相手とのコミュニケーションの前に何を考えるべきか、自分から相手へどうアプローチするべきか、相手からの反応をどう受け止めるべきかの観点で分類し、その重要性を明らかにしていきます。

相手とのコミュニケーションの前に何を考えるべきか

相手とコミュニケーションを始める前に、考えなければならないことがあります。

  • 自分の気持ちや感情を自覚し、本当の要求は何かを明確にすること

自分の要求と相手の要求が異なることは度々あり、そのような場合、妥協が起こり得ます。しかし、アサーティブコミュニケーションによって模索していくのは、妥協のない、双方が納得できる解決策です。

もし自分の要求が曖昧なままだったら、解決策が最適化されるどころか、お互いが損をしてしまうことさえあり得るでしょう。

例えば、相手に不満があって文句を言いたくなった時。この際の本当の要求は、文句を聞いてほしいというわけではなく、不満の原因となっている部分を改善してほしいということでしょう。これを自覚していないと、不満を言うに留まって、関係性が悪化することさえあり得ます。

予め自分の気持ちや感情、要求を冷静に判断する必要があります。

自分から相手へどうアプローチするか

次に、自分→相手、という方向性を持つ以下の項目について考えます。

  • 相手に話すときの主語を「私は、」にすること
  • 相手に認められるためではなく、自分に誠実であるために言うこと
  • 必要ならば何度でも繰り返し言い続けること
  • 言語・非言語的メッセージを合わせること

相手に話すときの主語を「私は、」にすること

主語を「私は、」にすることで事実と感情を明確に区別することができます。

例えば、最近遅刻が多い相手に対して「君は遅刻癖を直した方がいいよ」と言うのと「僕は、君の遅刻癖は直した方がいいと思うよ」と言うのとでは、相手が抱く印象が違います。前者は遅刻癖を直すべきだという決め付けられた事実を言われたように感じ、後者は気持ちを言われたように感じます。決め付けられた事実として言われるより、気持ちとして言われたほうが、コミュニケーションの深度が大きく、相手の気持ちが動きやすいでしょう。

相手に認められようとせず、自分に誠実であるために言うこと

相手に認められようとして、誇張しすぎたり、伝えるべきことを伏せたり、嘘をついたりしてはいけません。自分が相手からよく思われることは自分にとってはwinなことかもしれませんが、そのために不誠実なことを伝えてしまっては、相手にとって確実にloseなことになります。

自分が認められたい  。そのような下心で自分だけのwinを目指すのではなく、自分と相手の双方にとってwin-winなコミュニケーションを目指しましょう。

communication

必要ならば何度でも繰り返し言い続けること

自分がアサーティブであっても、相手もアサーティブであるとは限りません。パッシブな相手は、こちらの発言をよく理解していないのに理解したふりをしてしまうことがあります。もし相手が自分の言っていることを理解していなさそうであれば、繰り返し伝える必要があります。

しつこいと思われるのではないかと、説明を不十分なままにしてしまうことはあるのではないでしょうか。それもある種、しつこいと思われたくないという下心なのかもしれません。たとえしつこいと思われようと、自分が伝えたことを相手が理解してくれることの方がよほど重要ですから、必要に応じて何度でも言い続けましょう。

言語・非言語的メッセージを合わせること

気持ちや感情を伝えるコミュニケーションにおいて、その人の印象は視覚情報(見た目や仕草など)55%、聴覚情報(声の質、話す速度など)38%、言語情報(言葉や内容そのもの)7%の割合で決定されるとされています。これをメラビアンの法則と呼びます。

例えば、不満そうな顔で褒められたとしましょう。メラビアンの法則に基づけば、自分に何か満足のいかない部分があるのだろうかという印象を受けることになり、そして実際にそう感じるでしょう。つまり、相手に言いたいことを正しく伝えるには、視覚情報・聴覚情報を言語情報と合わせなくてはなりません。

相手からの反応をどう受け止めるべきか

最後に、相手→自分、という方向性を持つ以下の項目について考えます。

  • 相手の要求を肯定し、気持ちに応えること(自他肯定)
  • 感情中立的に相手を認め、尊重すること
  • 相手の言葉を繰り返し確認する、そして気持ちを聴くこと(聞く・聴く・訊く)
  • 相手をよく観察すること

相手の要求を肯定し、気持ちに応えること(自他肯定)/感情中立的に相手を認め、尊重すること

事実には、道徳やモラルに基づく一定の”正しい/正しくない”という基準がありますが、相手が抱く感情に関しては”正しい/正しくない”の基準はありません。ですから、たとえ自分が抱く感情と相手が抱く感情が異なっていても、それを否定してはいけません。むしろ、そのような考え方もあるのだと認め、尊重しましょう。

この際、自分の考え方を否定してはいけません。双方を認めてこそ、アサーティブたり得るからです。

相手の言葉を繰り返し確認する、そして気持ちを聴くこと(聞く・聴く・訊く)

「相手の言葉を繰り返し確認すること」は「必要ならば何度でも繰り返し言い続けること」と本質的に同じです。相手が理解したふりをしてしまうことがあると述べましたが、自分も理解したふりをしかねませんから、なんとなくわかったという程度で、聞くことをやめてはいけません。言葉を繰り返し確認し(聞く)、その言葉に意図された気持ちを知り(聴く)、必要に応じて質問する(訊く)ことで、相手の気持ちを確実に理解できるよう努めましょう。

相手をよく観察すること

パッシブな相手が自分の言ったことを理解したふりをするとき、例えば、目を合わせてくれなかったり、反応が鈍かったりします。このような些細な変化をすぐに察知し、その変化に応じた対応が求められます。

実践にはトレーニングが欠かせない

ここまで3つの観点から7つの基本姿勢を考えてきました。実際のコミュニケーションでは、これらのポイントを同時に(時に、自分の気持ちや感情の自覚もコミュニケーションの最中に)実践しなくてはなりません。一度で全てを吸収し、実践するのは難しいでしょう。ですから、日頃から意識的にトレーニングする必要があります。意見が対立しそうな時は対立を避けるのではなく、むしろアサーティブコミュニケーションを実践するチャンスと思ってトライするのがいいかもしれません。

これから研修を受ける方々へ

本研修では、緊張感のある一発勝負のロールプレイによってアサーティブコミュニケーションの達成を目指します。本記事で紹介した7つの基本姿勢だけでなく、「4つの柱」「DESC法」についても深掘りし、学びを深めます。

当然、社会でコミュニケーションをとる相手が全員アサーティブであるわけではありません。しかし、一方がアサーティブであろうと努めることで、相手がアグレッシブであろうとパッシブであろうと、コミュニケーションはアサーティブに近づきます。ぜひあなたも、アサーティブコミュニケーションを創る側を目指しませんか。

研修で学んだこと

  • コミュニケーションにおいて、誰もがアサーティブ、アグレッシブ、パッシブな側面をもつ
  • 4つの柱(誠実・率直・対等・自己責任)
  • 7つの基本姿勢
  • DESC法(事実と感情を区別。責任を持って提案し、その効果を伝える)

この記事の著者/編集者

藤原穫 東京大学大学院薬学系研究科  リーダーズカレッジ リーダー 

秋田県出身。高校時代は強豪校でバドミントンをしていました。大学に入ってからは民族舞踊に励み、修士2年になった現在は薬物動態の研究をしています。趣味は旅行。死ぬまでにすべての温泉地を回りたいと思っています。これまで複数の組織で培ってきたリーダーシップに磨きをかけるべく、A&PROでの研修に励んでいます。

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