人を動かすためにまず相手の欲求を汲み取る

リーダーシップパワー理論

はじめに

「自分はこのやり方でやる気になったのになぜ他の人は動いてくれないんだろう」

読者の皆さんは、こう思ったことが一度はあるのではないでしょうか?私もエンカレッジでの活動や塾講師のアルバイトにおいて、このように思ったことが何度かあります。

上司・部下・顧客・取引先など、周囲の人がいつも期待通りに動いてくれるとは限りません。しかし、社会人として活躍するためには、周囲を動かさなければならない場面が多々あると思います。

そこで、今回の記事では、周囲の人を動かすためには何が必要かどう実践すればいいのかについて執筆しようと思います。

人を動かすためには相手の欲求を汲み取ることが必要

私は、周囲の人を動かすためにはまず相手の欲求を理解することが必要だと考えています。なぜなら、個人の欲求によって影響を受けやすいものが異なるからです。

影響力の種類

まず、七種類の影響力を紹介します。

  1. 専門性の力=リーダーとしての専門性(判断力・決断力)の高さ。
  2. 人間的魅力=コミュニケーション能力の高さ。他人の気持ちへの配慮。共感力。
  3. 情報力=情報収集能力の高さ。
  4. 社会的地位=社会的地位の高さ。権力。
  5. 人脈力=社会的地位が高い人とのつながり。
  6. メリット(報酬)を与える力=その人に従った場合メリットがあるかどうか。
  7. 懲罰を与える力=その人に従わなかった場合に懲罰を加えられるかどうか。

人はこれらの影響力の中から、自分の欲求に応じて影響を受けます。また、他人に影響を与えようとする側の人も、自分の欲求に応じた影響力を用いる傾向があります。

人によって最適な影響力は異なる

先に述べたように、人は七種類の影響力の中から自分の欲求に応じて影響を受けます。人を動かすのに最適な影響力は、動いて欲しい相手によって異なるのです。

したがって、周囲の人に働きかける場合、相手に応じて適切な影響力を選択する必要が出てきます。しかし、相手の欲求が分かっていなければ、どの影響力を用いるべきか判断することができません。

だからこそ、周囲の人を動かすためにはまず相手の欲求を理解することが求められます。相手の欲求を理解した上で適切な影響力を選択して働きかけることで、相手を動かしやすくなるのです。

どうやって相手の欲求を汲み取るのか

では、実際にどのようにして相手の欲求を汲み取ればよいのでしょうか?

ここでは、相手の欲求を汲み取る工夫とそのための手段について、エンカレッジでの経験に紐づけて説明します。

相手の立場に立つ

相手の立場に立つことで、相手の欲求を理解することができます。

個人の欲求は、その人の人間性や置かれた立場によって異なります。相手の立場に立ち、相手の基準で考えることで、初めて相手の欲求を理解することができるのです。言い換えれば、自分基準で考えている限りは、真に相手の欲求を理解することはできません。

私は、長期インターン分野において企業と学生のマッチング事業を立ち上げるプロジェクトに参加し、主に企業への営業を担当していました。

この際、私は主に以下ニ点のメリットを提示して営業メールを送っていました。

  • まだ掲載社が少なく、他社媒体よりも多くの申し込みを獲得しやすい
  • エンカレッジは東京大学などに支部があり、優秀な学生を獲得しやすい

当時の私は、メリットを提示すれば相手に動いてもらえると考えていました。自分自身がメリットを重視していたため、相手も同じだと考えていたのです。

しかし、実際は一ヶ月経っても長期インターン案件を獲得することができませんでした。自分基準で相手に影響を及ぼそうとした結果、相手の欲求を満たし動かすことができなかったのです。

影響力を細分化してアプローチする

相手の立場に立つためには、影響力を細かく分類して考えてみることが有効です。影響力を細分化することで、相手に合った影響力をピンポイントで選び取りやすくなります。

先述した営業の例で言えば、私は営業先の企業にメリットを提示して働きかけようとしていました。この場合、私は「メリットを与える力」によって相手を動かそうとしていたのです。

営業先の企業は、自分達に十分なメリットがあるかを基準として、私からの依頼を受け入れるか判断します。したがって、「メリットを与える力」を用いることは間違いではありません。

当時相手の行動を促すことができなかった原因として、私がメリットの中でも「実利」しか提示していなかったことが考えられます。提供することのできる具体的な利益ばかり伝えた結果、相手のモチベーションを引き出すことができなかったのです。

それ以降、私は営業メールで、「実利」だけでなく「意義」を伝えるように心がけました。具体的には、プロジェクトに協力することで学生がキャリアについて考える際の選択肢が増え、次世代のキャリア支援につながるという「意義」を伝えるようにしました。

その結果、新たに四社から長期インターン掲載の申し込みをいただくことができました。「メリットを与える力」を用いる上でメリットを「実利」と「意義」に細分化して両方から働きかけることで、相手の行動を促すことができたのです。

最後に

改めて振り返ってみると、私も自分の欲求にしたがって影響力を使おうとしていたことに気がつきました。成果を追求するために、適切な方法で周囲に働きかけることの重要性を実感する良い機会になったと思います。

今後は、自分基準ではなく相手の立場に立つことを徹底し、どんな人にも影響力のある人物を目指していきます。

これから研修を受ける方へ

この研修では、目標達成に向けて他人に動いてもらうためにはどうしたらよいかを理論的に学ぶことができます。

成果を出すために周囲を巻き込まければならない場面は誰にでもあるからこそ、リーダーだけでなく、メンバーという立場の方にもおすすめできる研修です。

研修で学んだこと

・影響を受けるものは人によって異なる
・相手の欲求を汲み取ることで相手に合わせた影響の仕方ができる 
 ようになる
・他人への影響の与え方は自分の欲求に影響される
・専門性の力=情報力+活用力
・信頼残高
・言葉に出して感謝することが預け入れになる
・顕在的なものだけでなく潜在的なものも重視する
・返報性
・コミットメントと一貫性
・社会的証明
・好意
・権威
・希少性

この記事の著者/編集者

するとコメントすることができます。

新着コメント

最新記事・ニュース

more

行き過ぎた完璧主義は仕事を停滞させるだけでなく、自分自身を苦しませてしまいます。本記事ではプロジェクトマネジメントを題材に、自分の良さをかき消さず、最大限発揮する仕事への取り組み方を考えます。完璧主義で悩んだことのある皆さんに是非ご覧になって欲しい記事です。

大庭彩 左貫菜々子 藤井裕己 谷 風花 4Picks

プロジェクトマネジメントを機能させる土台となるのが『理念のマネジメント』 プロのリーダーは、「権威のマネジメント」を避け、「理念のマネジメント」を構築し、維持し続ける。 「好き・嫌い」や「多数決」ではなく、説得力ある提案を互いに尊重する文化を構築したいリーダーのための研修です。

荒 諒理 木藤 大和 島元 和輝 川瀬 響 4Picks

復習回数を闇雲に増やしたり、ノートいっぱいに何度も書かせる記憶法は、社会に出てから通用しない。 多忙なリーダーは、重要事項を一発で覚える。 たとえそれができなくても、復習回数を最小限にし、効果的・効率的に記憶することが大切。

「やばい、キャパオーバーしていて仕事を回しきれていない・・・。」成果を生み出すためにリーダーを務め、多くの責任を引き受けたのはいいものの、こうした悩みを抱く方は少なくないと思います。本記事は、リーダーの方の中でも、「仕事を回しきれていない。」と実感している方、経験した方、キャパオーバー対策したい方に届けていくことを想定して進めていきます。キャパオーバーは解決できます!

そもそもプロジェクトとは何か。それを知ることによって、あなたが現在取り組んでいる活動をもっと豊かにすることができるはずです。プロジェクトの基本を学び、そのプロセスについて考えてみましょう。

大庭彩 上野美叡 2Picks

タスクには明確に優先順位が存在し、正しい優先順位でタスクに向き合うことが締め切りへの余裕につながります。緊急度と重要度のマトリックスを用いて改めてタスクへの優先順位をつけることを意識したいです。

大庭彩 1Picks

皆さんがリーダーを務める組織にはMVVやスローガンと言ったメンバー全員が認識している「共通目標」はありますか? そして、今その「共通目標」を何も見ずに口ずさむことができますか? もし、一度決めたことがある共通目標が形骸化してあまり浸透していない場合は私と同じ苦悩を経験するかもしれません。

大庭彩 1Picks

たとえ意見が対立しても、プロのコンサルタントやコーチは相手を導くことができる。 基礎1~3を通じて、科学的なメカニズムから築き上げた実践型コーチングについて、ロールプレイを中心に活用方法をトレーニングしていきます。 現場の活動と有機的に結びつける知恵と、今後のプロジェクトに活かす行動力。 これらを大切にするリーダーのための研修です。

たとえ意見が対立しても、プロのコンサルタントやコーチは相手を導くことができる。 基礎1と基礎2を通じて、科学的なメカニズムから築き上げた実践型コーチングについて、ロールプレイを中心に活用方法をトレーニングしていきます。 現場の活動と有機的に結びつける知恵と、今後のプロジェクトに活かす行動力。 これらを大切にするリーダーのための研修です。