サッカー選手で考える「目配り」「気配り」そして「心配り」

クレド3.目配り・気配り・心配り、常に相手の立場に立つ

企業理念を判断基準とし、目配り・気配り。心配りの質を高めていきます。些細なことにこそ敏感に気づき、周りに共有することで、スピード対応に繋げます。相手(顧客・提携先・メンバー)の立場に立ち、一歩先行くサービスを提供していきます。

はじめに

皆さんの周りには、周囲へ感動を与えられるほど魅力的な人はいますか?

私にとってそれにあたる人物を考えたとき、真っ先に浮かぶサッカー選手がいました。彼の名を中村憲剛選手と言います。今回の記事では、彼がなぜ周囲へ感動を与えてきたのかを紹介します。

そして彼の生き方は、私たち自身の行動にも大きなヒントをもたらします。キーワードとなるのは「目配り」「気配り」そして「心配り」です。この3つのワードを説明した後、彼がそれらをどう体現してきたのかを紹介していきます。

この記事を読み終わった時に、皆さんが「心配り」を当たり前のように実践できるようになること。それが私の願いです。

目配りと気配りと心配りの違い

そもそも、目配り、気配り、心配りはそれぞれどう違うのでしょうか。

目配りとは

目配りとは、相手へ目を向けて何かに気付く取り組みです。話し相手の顔を見て「体調が悪そう」と気付いたり、街中でうろうろしている人を見て「困っていそう」と気付いたりすることがその一例です。

気配りとは

気配りとは、相手を助けられると自分なりに考えたものを実践する取り組みです。体調が悪そうな人に「大丈夫ですか?」と確認したり、困っている人に「何かできることはありますか?」と聞いてみたりすることがその一例です。

心配りとは

心配りとは、相手の立場から相手のためになることを実践する取り組みです。体調が悪そうな人の苦しみを理解した上で励ましたり、困っている人の苦労を労った上で優しい言葉をかけたりすることが、その一例です。

サッカー選手:中村憲剛選手の「心配り」

中村氏の略歴

中村憲剛氏は1980年生まれであり、2003年~2020年まで18年間プレーした日本のレジェンドです。2010年の南アフリカワールドカップでは、日本代表のメンバーに選出されています。チーム間の移籍が頻繁なサッカー界では珍しく、一つの「川崎フロンターレ」というチームでプロキャリアを全うしました。

彼は体格的に特別恵まれた選手ではなく、若い頃から世代別日本代表に選ばれる選手でもなく、いわゆる「エリート」とは言い難い経歴でした。また、ブレイク後も世界的に有名な選手ではなく、日本代表においてもレギュラーだった期間は長くありませんでした。

ではなぜ、彼の存在は多くの人を魅了したのでしょうか。その答えを、先述した3つのワードから探ります。

中村選手の「目配り」

中村選手の「目配り」は、プレー中の「視野の広さ」という特徴に表れています。攻撃と守備のつなぎ目のポジションを担当していたため、ピッチ上のあらゆることに目を向ける必要がありました。

通常の選手であれば、味方と相手の位置や体の向きから状況を把握しています。サッカーでは、味方・相手の位置と体の向きだけでも多くの情報が存在します。しかし、中村選手はそれだけでなく、ボールの回転やピッチの状態まで把握して状況判断を行っていました。彼のインタビューを聞くと、それらの情報への言及が頻繁に行われていると分かります。

中村選手の「気配り」

中村選手の「気配り」は、代名詞であるスルーパスの「メッセージ性」に表れています。スルーパスとは、相手の守備陣の間や背後を通すようなパスのことです。成功すればチャンスを生み出せる一方で、通常のパスよりもコースが限定され、難易度が高くなるという特徴もあります。

しかし中村選手は、豊富な情報を基に適切なパスの方向、強さ、速さを判断する力にも優れていました。ただ味方の足元にパスするのではなく、受け手がボールをトラップした後の動きにまで「気を配り」、適切なエリアに適切な質のパスを供給していたのです。だからこそ、彼のスルーパスは「メッセージがついているかのよう」と称されていました。

中村選手の「心配り」

中村選手の「心配り」は、ピッチ外での言動や行動の数々に表れています。以下に2つの例を挙げます。

一つ目は、後輩たちへの惜しみないアドバイスです。一つ一つのプレーを言語化して振り返ることを徹底し、後輩達の成長のために「心を配り」続けました。事実、多くの選手が中村選手との関わりの中で大きく成長し、日本を代表する選手になりました。「中村選手に影響された」と言及する日本代表選手達の存在が、その偉大さを証明しています。

二つ目は、地域貢献活動への積極的な参加です。所属したチームでは「地域密着型クラブ」というコンセプトの下、様々な地域貢献への取り組みが行われていた中で、中心的役割である中村選手自身が先頭に立って活動を行ってきました。ホームタウンの住民達に「心を配る」姿勢があったからこそ、周りの選手たちにも「地域への感謝と還元」という文化が根付き、「地元川崎市を愛し、川崎市民に愛されるクラブ」の実現へと繋がりました。

サッカー選手の中で「目配り」「気配り」に長けた選手は少なくありません。一方で、「心配り」にまで特徴を持つ選手はそこまで存在しません。この「心配り」までが体現されていたからこそ、中村選手は多くの人に愛される選手だったと結論付けることができます。

逆境にあっても「続ける」ことの大切さ

中村選手は「目配り」と「気配り」、そして「心配り」の理想を体現した選手でしたが、それが常に100%評価されていたわけではありませんでした。特に地域貢献活動について、「サッカー選手だからサッカーに集中すべきだ」との声も存在していました。チームはあと一歩のところでタイトルを獲得できず、その度に理由としてこの点が挙げられていました。

しかし、彼やチームは「心配り」を止めませんでした。周囲の将来のために「心を配り続けた」のです。川崎フロンターレが初めてタイトルを獲得した時、中村選手は「これまでの地域貢献活動が間違いでなかったと証明できてうれしい。日本一のサポーターと日本一になりたかった」と述べています。彼自身が信じて行動を続けたからこそ、結果が出たときに改めて大きく評価されたのです。

おわりに

自分へどう応用させるか

私たちは中村選手のように、サッカーが上手なわけではありません。しかし、中村選手の「目配り」「気配り」「心配り」は我々の日常にも応用できると考えています。

「目配り」においては、視野広く周りのメンバーのことを観察していくこと。「気配り」においては、相手の細かな変化も踏まえた上で適切なコミュニケーションを模索すること。「心配り」においては、相手の将来を本気で考えて必要なことは何かを考え抜くこと。そして、それを「やり続ける」こと。

私自身もこれまでを振り返り、「心配り」を「継続させる」取り組みが不十分だったと痛感しました。「誰かが困っていそうだ」と自分の視点で気付いたら、声をかけたり手伝ったりはしていましたが、相手の視点でその人の将来まで考えての行動はできていませんでした。

現在の私は、「心配り」を重んじた取り組みを継続させようとしています。所属するNPO団体においては自らの引退が迫り、次代へ引き継ぐための資料作りを行っている中で、ただ事実のみを引き継ぐような資料が目立っていました。私は、「行動の背景にあった想いまで引き継がなければ、後輩視点で本当に【役立つ資料にならない」と考え、その時々の楽しさ、苦しみ、そして喜びを含めて直接伝えるようにしています。

どんなメンバーに対しても「心配り」を持って伝えていくことで、彼らも「心配り」を大切にして活動する習慣をつけてくれるはずだ、と期待しています。

今後においても、最低週に一度は行動の中で「心配り」ができたと自覚できるよう、常に相手の立場に立ってアンテナを張っていきます。そして、その取り組みを信じて継続することも大切にしたいと考えています。

皆さんへ伝えたいこと

中村選手の例は「心配り」について、特別なスキルに基づくものではなく、凡事徹底の結晶であると証明しています。しかし、彼のように継続できる人間は一握りで、想像以上に難易度の高い所為であることにも、触れなければなりません。

だからこそ今回の記事は、皆さんが「心配り」を体現するための第一歩になってほしいと考えています。日頃の行動への反省を基に、皆さんも実践可能な「心配り」を考えてみてください。

そもそもの「目配り」、自分視点で実践する「気配り」も大切にしながら、相手目線で実践するもう一歩先の「心配り」へ。中村選手を良い手本として、ステップアップしていきましょう。

この記事の著者/編集者

原駿介 早稲田大学 エンカレッジ早稲田支部 CC副部署長 

神奈川県川崎市出身。
積極的に行動できる性格と丁寧な対話力を活かし、これまで数多くリーダーポジションを経験。
高校の生徒会組織において代表の一人を務め、大学ではサークルとゼミにおいてそれぞれ副代表を務める。
現在、大学生のキャリアについて考えるNPO団体エンカレッジに所属し、1,2年生向けサービスを統括する副部署長を務めながら、後輩たちの育成を行うプロジェクトでも活躍。

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