自己主張することで好循環をつくる。

今月の研修:『アサーティブコミュニケーション』

はじめに

皆さんはこんな経験をしたことはありませんか?

「周りの声を意識して思っていることを伝えられず、自分だけが辛い思いをしている……。」

「それもあって、周りに対して愚痴が溜まっている……。」

こうした悪循環は、筆者の私にも、常につきまとってきました。

この悪循環を引き起こすコミュニケーションを、A&PROではPassive(受身的)なコミュニケーションと捉えます。

そして悪循環を解決させるには、「Passive(受身的)」を「Assertive(自己主張的)」へ変容させていくことが重要です。

では、「Assertive」とは何か、そして「Assertive」になるためにどうしたら良いのか、これらについて考えていきましょう。

Passiveなコミュニケーションについて

Passiveを理解する

「Passive」なコミュニケーションは、以下で定義されます。

  • Passiveなコミュニケーション:自分の要求や意見を抑え、相手の意見を大事にして発言すること。相手だけを大事にするコミュニケーション。

場面によって私は、Passiveなコミュニケーションを取ってしまうことが多くあります。例えば以下のパターンです。

  • お願いした仕事を守れず、投げ返してくる仲間に対し「忙しいなら仕方ない」と伝え、自分も忙しい中でその仕事を巻き取る。
  • メンバーに対して改善してほしいことがあるが、相手の気持ちを配慮して発言しない。

どちらも相手の気持ちだけを大事にし、自分の要求を伝えられていません。

Passiveは悪循環を引き起こす

Passiveなコミュニケーションについて、皆さんの中では、「相手のためになればそれでいいじゃないか、それが本望だ」という声もあるかと思います。

確かに、そのコミュニケーション単体ではそう思えるかもしれません。しかし積もり重なると、要求ばかりしてくる相手に嫌気が差し、その人を貶めようと陰口といった後ろ向きなコミュニケーションにも繋がりかねません。そして陰口となれば、それは誰もが利を得ないコミュニケーションとなります。

Passiveなコミュニケーションは、その場の自分にとってだけでなく、結果的に自分も周りも利を得ないコミュニケーションです。

では、自分も周りも利を得続けるコミュニケーションとは何か?

それがズバリ、Assertiveなコミュニケーションです。

  • Assertiveなコミュニケーション:自分の要求や意見を、相手の権利を侵害することなく、誠実・率直・対等に表現すること。自分も相手も大事にするコミュニケーション。
コミュニケーションをPassiveからAssertiveへ

PassiveからAssertiveへの転換方法

Assertiveになるためには、以下の手順を踏むことを意識します。

  1. 自分の本当の要求を言語化する。
  2. 相手と話す場を設け、まずは相手の状況、気持ちを徹底的に聴く。
  3. その後、要求の背景を「感情中立的に」「分かりやすく」伝える。(参考記事
  4. 主語を「私は、」にして、丁寧に要求を伝える。
  5. 互いの要求が満たされるような解決策を提案する。

各手順が重要で、漏らさないようにすることがAssertiveであり続けるコツです。

私の場合、お願いした仕事の期日が守れていない仲間に対し、自己主張をしようとするあまり「2.相手と話す場を設け、まずは相手の状況、気持ちを徹底的に聴く」を十分にできず、Assertiveなコミュニケーションに失敗した経験があります。具体的には以下です。(各数字が手順の番号と対応します。)

要求:相手に仕事をやりきってほしい。

私:「この間お願いした仕事の進捗どうだろう?」

仲間:「申し訳ない忙しくてできていない……。正直最近忙しくて厳しい……、この仕事お願いしてもいいかな?」

私:「そうか。〇〇が忙しいのは分かっている。だけど、みんな仕事を責任持ってこなすことが必要な状況なんだ。分かってくれるかな?」

仲間:「それはそうだけど……。自分の予定も大事。」

私:「それも分かるけど、私は、〇〇にこの仕事をやり遂げてほしいんだ。それによって〇〇が仲間を支え、成果に繋がるんだ。私も〇〇が協力してくれたら嬉しい。」

仲間:「正直そう言われても、時間がないものはないな……。この仕事今は厳しいや。」

私:「そうか……。でも……。」

このように「2.相手と話す場を設け、まずは相手の状況、気持ちを徹底的に聴く」が十分にできていないため一方的なお願いになってしまい、「5. 互いの要求が満たされるような解決策を提案する」ができていません。Assertiveなコミュニケーションを実践していれば、以下のようにできたはずでした。

要求:相手に仕事をやりきってほしい。

私:「この間お願いした仕事の進捗どうだろう?」

仲間:「申し訳ない忙しくてできていない...。正直最近忙しくて厳しい...この仕事お願いしてもいいかな?」

私:「そうか。〇〇も最近忙しいもんな。最近はどう忙しいのだろう?」

仲間:「友人との予定が多くて、忙しい感じ。」

②・③私:「友人との予定が多いのか、分かった。友人との予定も大事なのは分かるが、みんな仕事を責任持ってこなすことが必要な状況なんだ。分かってくれるかな?」

仲間:「それは分かるよ。」

④・⑤私:「ありがとう、だから私は、〇〇にこの仕事をやり遂げてほしいんだ。それによって〇〇が仲間を支え、成果に繋がるんだ。私も〇〇が協力してくれたら嬉しい。」

仲間:「そうだよね、理解した。私も忙しいけどみんなのためになりたい。この仕事最後までやり遂げるよ!」

私:「ありがとう!よろしくね!!」

「2.相手と話す場を設け、まずは相手の状況、気持ちを徹底的に聴く」を十分に行ったことで、「5. 互いの要求が満たされるような解決策を提案する」を実現しています。これがAssertiveなコミュニケーションです。

相手の状況、気持ちを徹底的に聴くことは、非常に重要である一方、自分で判断できないために意外と難しいところです。要求を通そうとする余り、相手への理解を示しきれないことが多々起こります。傾聴の方法についての詳細は、こちらの記事で方法が示されているので是非続いて読んでください。

ここまでAssertiveなコミュニケーションについて方法を話してきましたが、passiveだと自覚されている方には、勇気がいるかもしれません。しかし、Assertiveなコミュニケーションを継続することで、自分も周りも利を得られる素晴らしい状態を創り出すことができます。

慣れない中でも、一歩を踏み出すことが重要です。是非皆さんもコミュニケーションの際は上記手順を意識してみてください。

最後に

Assertiveであったかどうかを確認する簡単な方法があります。それは相手も自分も利を得たか?(Win-Winであったか?)を自問自答することです。Win-Winであったと互いに思えるなら、それがAssertiveであった証拠です。

今回の記事の内容を要約します。

  • Passiveなコミュニケーションは悪循環を引き起こす。
  • コミュニケーションは自他の要求を大事にする「Assertiveなコミュニケーション」を意識

是非皆さんもAssetiveなコミュニケーションを常日頃から意識してみてください。

研修で学んだこと

  • Win-Winを意識したAssertiveなコミュニケーションが重要である。
  • Assertiveであるための要素として、相手に共感することがある。
  • DESC法を使って提案することが重要。

この記事の著者/編集者

山嵜晴貴  早稲田大学 先進理工学部 

事業家志向の早大理系4年生。
大学1年次にインドへ渡航し、新興国での社会課題解決に興味を持つ。
2年次の経営コンサルインターンと起業家講座の学びから、ビジネスを通じた課題解決を志向。
将来は新興国で社会インフラとなる事業を創ることを夢見る。
現在は、その一歩として日本の学生の自立支援を志し、キャリア支援団体に所属。企業イベント領域のリーダーを務める。

するとコメントすることができます。

新着コメント

  • 矢後慶樹

    早稲田大学 商学部 2021年02月12日

    私はパッシブな人間ではないので、パッシブなコミュニケーションになってしまう思考回路、そこからアサーティブになる方法を具体的に知れたのは非常に大きな学びでした。チームのメンバーがパッシブになってしまってる際は今回の記事を思い出し、相手の話を徹底的に聞くところから始めたいと思います。

  • 前田佳祐

    早稲田大学教育学部 2021年02月12日

    私も所属団体でリーダーの役職で活動していますが、ついついメンバーの顔色を伺ってしまい、自分の要求を言い出しづらい時があります。しかし要求を伝える側として、まず相手の事情や状況をしっかり理解することが重要だと、この記事を見て初めて気づきました。
    常にコミュニケーションではwin-winのコミュニケーションを目指し、相手の要求を理解するヒアリングをすることと自分の伝えたいこともしっかり伝えることを意識していきたいと思いました。

  • 大庭彩

    2023年10月05日

    相手の気持ちと自分の要求のバランスを見つける難しさ、とても理解できます。

    相手を尊重することは大切ですが、(相手を傷つけず)自分の意見や要求を明確に伝えることも同じくらい重要だということ。Passiveなコミュニケーションは、その場の自分にとってだけでなく、結果的に自分も周りも利を得ないコミュニケーションになるということ。

    シンプルだけど難しい…!でも絶対必要。重要。
    ということを、改めて考える機会をいただきました。
    実践し、より建設的なコミュニケーションを私も実現したいと思います。⋆

最新記事・ニュース

more

復習回数を闇雲に増やしたり、ノートいっぱいに何度も書かせる記憶法は、社会に出てから通用しない。 多忙なリーダーは、重要事項を一発で覚える。 たとえそれができなくても、復習回数を最小限にし、効果的・効率的に記憶することが大切。

「やばい、キャパオーバーしていて仕事を回しきれていない・・・。」成果を生み出すためにリーダーを務め、多くの責任を引き受けたのはいいものの、こうした悩みを抱く方は少なくないと思います。本記事は、リーダーの方の中でも、「仕事を回しきれていない。」と実感している方、経験した方、キャパオーバー対策したい方に届けていくことを想定して進めていきます。キャパオーバーは解決できます!

そもそもプロジェクトとは何か。それを知ることによって、あなたが現在取り組んでいる活動をもっと豊かにすることができるはずです。プロジェクトの基本を学び、そのプロセスについて考えてみましょう。

大庭彩 上野美叡 2Picks

タスクには明確に優先順位が存在し、正しい優先順位でタスクに向き合うことが締め切りへの余裕につながります。緊急度と重要度のマトリックスを用いて改めてタスクへの優先順位をつけることを意識したいです。

大庭彩 1Picks

皆さんがリーダーを務める組織にはMVVやスローガンと言ったメンバー全員が認識している「共通目標」はありますか? そして、今その「共通目標」を何も見ずに口ずさむことができますか? もし、一度決めたことがある共通目標が形骸化してあまり浸透していない場合は私と同じ苦悩を経験するかもしれません。

大庭彩 1Picks

たとえ意見が対立しても、プロのコンサルタントやコーチは相手を導くことができる。 基礎1~3を通じて、科学的なメカニズムから築き上げた実践型コーチングについて、ロールプレイを中心に活用方法をトレーニングしていきます。 現場の活動と有機的に結びつける知恵と、今後のプロジェクトに活かす行動力。 これらを大切にするリーダーのための研修です。

たとえ意見が対立しても、プロのコンサルタントやコーチは相手を導くことができる。 基礎1と基礎2を通じて、科学的なメカニズムから築き上げた実践型コーチングについて、ロールプレイを中心に活用方法をトレーニングしていきます。 現場の活動と有機的に結びつける知恵と、今後のプロジェクトに活かす行動力。 これらを大切にするリーダーのための研修です。

「自分と仕事をしたいか」と思われているかどうかは他者の言動を大きく変化させます。相手方の時間を頂いているという認識があなたの評価を変えるでしょう。適切な準備を行うことで周囲と豊かな関係性を築きたい方に必見の記事です。

大庭彩 香山 渉 谷口 宗郁 3Picks

たとえ意見が対立しても、プロのコンサルタントやコーチは相手を導くことができる。 基礎1と基礎2を通じて、科学的なメカニズムから築き上げた実践型コーチングについて、ロールプレイを中心に活用方法をトレーニングしていきます。 現場の活動と有機的に結びつける知恵と、今後のプロジェクトに活かす行動力。 これらを大切にするリーダーのための研修です。